UCaaSは群雄割拠の時代
SlackやAlexaとの統合も常識に ビジネスコミュニケーションツールの次の一手は
ユニファイドコミュニケーションツールの先進的なベンダーは利用の広がる「Slack」などのビジネスチャットツールや、音声認識技術との統合に乗り出している。
ユニファイドコミュニケーションサービスベンダーであるRingCentralは自社プラットフォームを強固にし、オープンなクラウドベースの通信を普及させることを重視したアプリケーション統合サービスを幾つか発表した。
RingCentralは APIプラットフォームを拡張し、開発者が音声やメッセージング、ファクスなどをビジネスワークフローに統合することを可能にした。RingCentralは、今日のマルチクラウドアプリケーション環境において同社のオープンプラットフォームは新しいサービスである人工知能、チャットbotおよびアプリの統合サービスを利用したビジネスコミュニケーションを可能にし、エコシステムに配慮したアプローチであるとしている。
併せて読みたいお薦め記事
Alexaはビジネス利用を模索
Slackはコラボレーションをどう変えるか
G Suite、Alexaとも連携
例えば、Googleの「G Suite」向けに新しく発表したアドオンサービス「RingCentral」を使うと、ユーザーはRingCentralを介した通話に対して電子メールによるコミュニケーションを可能にし、GmailからSMSを送信できる。また、ユーザーは、直近の通話履歴、音声メールおよびSMSを閲覧したり、RingCentralの連絡先の相手がオンライン状態もしくはオフライン状態にあるのかを確認したりできる。
さらに、「Amazon Alexa」向けのSkillsでは、Alexaを実装した「Amazon Echo」デバイスなどとの統合を可能にしており、ユーザーが音声をインタフェースにしてボイスメールを再生させたり、返信を行ったりすることが可能だ。また、ユーザーはテキストメッセージの送信や確認をし、RingCentralアプリを使用してRingCentral外部への通話機能を利用したり、SMSを送信したりすることもできる。この統合サービスは2017年末までに利用可能となる予定だ。
もう1つの統合がRingCentralによる「Slack」の統合だ。会議機能や通話機能をSlackのメッセージングプラットフォームに導入するように設計した。この統合により、SlackユーザーはRingCentralにアクセスし、ビデオ会議や音声会議のために スラッシュコマンドを使用することが可能となる。このサービスはRingCentral App Galleryの中で利用できる。その際、Slackのアカウントとベンダーのクラウド通話システムであるRingCentral Officeのサブスクリプションが必要だ。
APIをオープンにして通信の発展を促進
RingCentralの統合サービスは重要である一方で、「他の多くの『サービスとしてのユニファイドコミュニケーションサービス』(UCaaS)プラットフォームもAPIモデルへの移行に伴い、かなりオープンになってきている」とZK Researchの首席アナリスト、ゼウス・ケラバラ氏は言う。また、「アプリの統合サービスは市場において必須の機能となりつつある」と同氏は補足した。
例えば、多くのベンダーは、広く普及しているクラウドベースのCRMプラットフォームである「Salesforce」を統合している。しかし、「顧客は、最も一般的なアプリの統合に加えて、さらなるアプリの統合サービスを期待している」とケラバラ氏は話す。特に、「特定の垂直市場または事業分野に恩恵をもたらす統合サービスへの期待が大きい」という。
「今や多くのベンダーがAPIを公開しているので、それらを利用すれば統合はずっと容易になる」と彼は言う。「私は、これがこの業界の大きなメリットの1つだと思っている」
特に、RingCentralは「最も成熟したUCaaSプラットフォームを有するのに加え、Glipを使用したチームメッセージングサービスも提供している」と産業アナリストのデイブ・ミシェルズ氏は最近のレポートに書いている。しかし、幾つかのプロバイダーはじりじりとRingCentralに迫っている。
「RingCentralはUCaaSやメッセージング、動画による通信サービス、コンタクトセンター、統合サービスなどに全力を挙げている」とミシェルズ氏は言う。「同社は、業界の大半が開発しようと試みているものを既に提供しているという好ましいポジションにいる」
供給と需要の不均衡
UCaaS市場は、8×8 WestやMitel、Masergyなど特に多くのプロバイダーがひしめき合っている。AT&Tのような古くからある通信ベンダーもこの市場に参入している。Dimension DataのようなシステムインテグレーターはUCaaSツールを販売している。Cisco SystemsやMicrosoftなどの古くからあるUCベンダーもUCaaS製品を提供している。
「UCaaSプロバイダーの数は多過ぎる」とケラバラ氏は言う。「供給が過剰で需要に見合っていない。何らかの統合が必要だ」
そして、そのような統合が先日、発表された。Ciscoが「BroadSoftを買収する予定」と発表したのだ。「この統合が市場における影響力を立証するだろう」とミシェルズ氏は言う。「業界の統合は続いていくだろう」とも彼は付け加えた。UCaaSだけではコモディティ化したサービスだと徐々に見られるようになってきているからだ。
この買収がRingCentralやその他のプロバイダーに及ぼす影響は、「今の段階ではそれほどないであろう」とケラバラ氏は付け加えた。というのは、主にUCaaS製品を購入しているのは中小企業だからだ。しかし、より多くの大企業がUCaaSを購入するにつれてRingCentralにとってこれは逆風となり、Cisco社に恩恵をもたらすことになるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
AIで人を減らした企業がもう心変わり 「AIブーメラン現象」の実態
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー