アナリストは熱視線を送る
ビジネスプロセス管理の新たなトレンド ローコード開発と人工知能に注目すべき理由
ビジネスプロセス管理(BPM)が進化し続けている。このトレンドの中でアナリストは、人工知能(AI)、機械学習、ローコード開発プラットフォームに着目するようになった。その理由とは。
ビジネスプロセス管理(BPM)はこれまで、生産性と効率を上げてコストを下げることに重点を置いてきた。だが最新トレンドは、BPMを使ってデジタルトランスフォーメーションを促す方向へと進んでいる。
BPMとは、継続的な変化に対応するために企業のワークフローを改善する体系的アプローチだ。こうしたプロジェクトは複雑で多くのリソースを必要とし、骨の折れることが多い。だがBPMの新たなトレンドは、ワークフローソフトウェアを自動化してビジネスのタスクやアクティビティの流れを円滑にすることを中心に据えている。そのトレンドには、ローコードアプリケーションプラットフォームの導入、人工知能(AI)の使用、音声入力と会話型入力などがある。
「当社は、実際にはビジネスプロセス管理ではなくデジタルプロセス自動化という用語を使っている。テクノロジーのトレンドが、デジタルトランスフォーメーションを直接サポートするようにシフトしているからだ」と話すのは、Forrester Researchのアナリスト、ロブ・コプロビッツ氏だ。
BPMの主な原動力は、コストの削減ではなく、カスタマーエクスペリエンスとデジタルトランスフォーメーションへ重点を置くことに変わりつつある。この変化の過程において、企業はバックオフィスのシステムとプロセスをデジタル化に対応させる必要がある。
ローコードのすすめ
コプロビッツ氏によると、BPMの変化は3つあるという。まず1つが、デジタルトランスフォーメーションの実現に求められる膨大な数のプロセスをサポートするローコード開発へのシフトだ。ローコードは高速なので、多くの開発作業について経営陣から理解を得られやすい。2つ目の変化がローコードモバイル開発など、ユーザーエクスペリエンスへの注目、3つ目が、専門知識の新たなソースとしてより従来型の分析、外部のコグニティブサービスの統合を拡張することを目的とした急速なイノベーションである。この急速なイノベーションは幾つもの分野に見られるが、その中で恐らく最も興味深いのが音声、チャット、機械学習のような新しいインタフェースだと同氏は語る。
通信プロバイダーMetTelでネットワークサービス担当バイスプレジデントを務めるエド・フォックス氏は、BPM環境でアプリを素早く開発する方法として、ビジネスアナリストとパワーユーザーに対してはローコード開発環境を推奨している。同氏は「シチズンデベロッパー」(注1)を支援するという考えを好む。だがMetTelが使用しているのは、ローコードで開発した組み込みのBPMプラットフォームではなく自社製のBPMシステムだ。同社は、迅速なサービス開発環境を通じてWeb開発者向けのプラットフォームを提供する企業Telestaxと連携している。
注1:開発専門職ではないがプログラミングをする人。企業においては、IT部門に承認された開発環境とランタイム環境を使って、アプリケーション開発をするIT部門以外の従業員のこと。
「まだ始まったばかりだが、最近Telestaxと協力してオープンソースベースのリアルタイムコミュニケーションアプリの開発に着手した。当社のBPMプラットフォームを自社と顧客のために保持することが目的だ」(フォックス氏)
当初MetTelは、BPMプラットフォームをネットワーク管理用に構築した。だが年月を経るごとに、顧客は特にネットワークの運用、通信コストの管理、インベントリの調達と管理について、より優れた透明性のある方法を求めるようになった。こうした機能を提供し、顧客がネットワーク運用に関連する全てをダッシュボードで表示できるようにするため、同社の研究チームは独自のカスタマーポータルとコミュニケーションプラットフォームの開発(コードネーム「Bruin」)に乗り出すことになる。これは、MetTel固有のネットワークの制御メカニズムにもなった。
「このプラットフォームは自動化、合理化、ビジネスインテリジェンスによってコストを30%カットする。さらに、以前には不可能だったことを可能にし、より優れた意思決定、容量の増加、ネットワーク運用コストの3分の1削減を実現した。どれも当社にとって大きな変化だ。言うまでもないことだが、主要顧客の多くがこのプラットフォームを使用している」と同氏は話す。最近の事例でいうと、このプラットフォームを「EIS Portal」と呼ぶ米国連邦政府は、15年に及ぶ500億ドルのエンタープライズインフラサービス契約をMetTelと結んだ。
AIとBPMの大改革
一方、Forresterのコプロビッツ氏によると、BPMは「大々的な改革」の真っ只中にあり、その改革においては自動化を増進しカスタマーサービスを強化するためにAIが取り込まれているという。同氏は、
- AIが機械学習を通じてプロセスを最適化する
- 認知に関する専門知識の新たな情報源を使って人間を増強する
- 新しいユーザーインタフェースを導入する
という3つの主要分野に使用されていると主張する。BPMシステムは構造化されたプロセスを自動化するのに適している一方、自然言語処理やセンチメント分析などのAIテクノロジーは、構造化されていないデータソースの意図を解釈するのに役立つと付け加えた。
通信とITのネットワーク管理は自動化とインテリジェンスに尽きるとフォックス氏は語る。分析とAIから得られる洞察は、大きなネットワーク容量によってネットワークの順応性を高め、低コスト、柔軟性という要素によって高度なサービスをサポートする。本質的にネットワークはデジタルトランスフォーメーションの基盤であり、BPMはデジタル運用を企業全体に拡張できるようにするためにネットワークを強化し続けるという。「MetTel研究チームは、botや、IBM『Watson』などのディープラーニングアプリケーションの使用拡大を通じ、AIで当社のBPMプラットフォームを強化するさらなる方法を実験しているところだ」とフォックス氏は話す。
その一方、Accentureでテクノロジーおよびイノベーション担当最高責任者を務めるポール・ドハティ氏はこう語る。「情報化時代の夜明け以降、AIは最も斬新なテクノロジーだと当社は考える。AI、そして新たな自動化の形式は、ビジネスプロセスにおいてアジリティーを生み出す新たな方法を提供している」
TelerxでPegaソリューション担当ディレクターを務めるアミット・ラジャラム氏によると、BPMのトレンドにより、同氏がBPMおよびワークフロー担当ディレクターという肩書を持った10年前と比べてテクノロジーがはるかに進化したという。「ここ数年でBPMは高度な分析、意思決定、AI、機械学習、自然言語処理、強化されたレポート形式など、はるかに多くのニュアンスと側面を持つよう進化してきた。かつてはおまけ付きのワークフロー最適化エンジンに過ぎなかったものによって、今や極めて多くのことを成し遂げられるようになった。もはやタスク自動化とコスト削減だけにはとどまらない」
さらにBPMベンダーとエンドユーザーは、音声とチャットによるやりとりを、それらを管理するビジネスプロセスとシステムで実現し始めている。BPMを専門とするGartnerのアナリスト、サマンサ・サール氏は「モノのインターネット(IoT)、AI、機械学習、仮想アシスタント、会話型プラットフォームなどのデジタルテクノロジーにより、リアルタイムに利用できる情報は格段に増えた」と話す。
「従って、これら全てのリアルタイム情報と分析を活用できるインテリジェントなプロセスを設計して、意思決定の自動化を促進するチャンスは大いにある。つまり、より重要なプロセスを設計するチャンスがあるということだ」(サール氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
9
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー