東京ダイヤモンド工具製作所「UnitBase」事例
ユーザー企業が向かうべき内製化、ノンプログラミング開発ツールの導入現場を取材(1/2 ページ)
東京ダイヤモンド工具製作所の社員数は約300人、システム担当はたった1人。業務効率化が課題の同社が選んだセルフサービス開発ツールは、kintoneやSalesforceではなくUnitBaseだった。
効率化、高品質化、コスト削減の課題をいかにクリアするか
東京ダイヤモンド工具製作所は工場でガラスや金属を加工する際の工具を製作、販売、再生する企業だ。同社でシステム担当のマネージャーを務める小久保 拓志氏は、いわゆる「一人情シス」と呼ばれる立場にある。IT系企業を経て、10年前に同社にシステム担当として転職した。社内でシステムに関わる業務に対応できるのは小久保氏のみ。社内のITに関することは全て小久保氏に集中する。システム業務の課題は効率化、高品質化、そしてコスト削減だ。
かつてFAX(ファクシミリ)や電話だった連絡手段はメールやスマートフォンへと置き換わり、紙の台帳は電子帳票へと置き換わる。年を追うに連れ、どの業務もデジタル化が進んでいるのは周知の通り。小久保氏の業務が膨れ上がるのは想像に難くない。徹底的に効率化を進めていく必要がある。
システムが止まればどの業務でも支障を来してしまうため、高いサービスレベルを維持する必要がある。さらにコスト削減というプレッシャーもある。近年ではグローバル化の流れで、海外メーカーとの競争が激しくなってきている。システムに限る話ではないが、コストはできる限り削減する必要がある。
効率化、高品質化、コスト削減という課題に対して、同社は多くの社内システムでパッケージソフトウェアとクラウドサービスを採用している。例えば販売管理や生産管理、原価管理は「MCFrame」、人事給与は「OBIC」、情報システム(グループウェア)は「desknet's NEO」、テレビ会議システムは「IC3(アイシーキューブ)」などだ。
情報系システムのインフラは主にクラウドサービスの「Amazon Web Services」(AWS)を利用している。自社でサーバを保有するとなるとハードウェアの保守や更改が必要になるが、AWSを利用していれば、こうした保守からは解放される。基本的にAWSの仮想サーバ「Amazon EC2」にソフトウェアをインストールし、専用線接続サービス「AWS Direct Connect」を利用してバックボーンから閉域網でセキュアにAWSへ接続しいる。ただしEC2はIaaSなのでインフラは自社で管理しなければならない。EC2で稼働するシステムの中にはSaaSに置き換えられるものもあるが、小久保氏は「実際に試算したところ、5年以上など長く使うソフトウェアであればEC2にパッケージをインストールして使う方が、SaaSを使うよりコストメリットがありました」と話す。
営業現場の情報共有に課題が
東京ダイヤモンド工具製作所は多くの業務でパッケージを採用しているものの、パッケージではまかない切れない業務もある。同社の場合、品質管理における検査票システムなどがそれに該当する。これらは過去に、システムインテグレーター(SIer)が開発したシステムや内製化したシステムを利用している。
加えて受注前の見積もり情報管理のデータベースがある。同社が扱う商品は、多くが顧客の要件に合わせた個別生産で1点ものだ。顧客ごとに要件も仕上がる工具も全く異なるため、営業間で見積もり情報を共有する必要性があまりなかった。
これまでは見積もり情報を共有しなくても業務をこなせていた。だが業務効率化や後任の負荷軽減を考えると、過去の履歴から見積もり情報を再利用したり、検索したりしやすい方が望ましい。顧客企業側で情報共有が進んできていることも後押しとなった。東京ダイヤモンド工具製作所では営業は地域で分担しているため、同じ顧客企業でも拠点が異なれば担当営業は異なる。顧客企業が発注した工具の情報を拠点をまたいで共有するようになると、似たような工具で見積もり金額の差が浮き彫りになる。もちろん同じ工具を作るわけではないので単純な比較はできないものの、見積もりを出す側も情報を共有しておいた方がいいということだ。
かつて同社はクラウド形式の顧客管理サービスを利用していたが、同社の営業スタイルにはなじまなかった。同社では共有すべき項目が少ないにもかかわらず、入力項目が多く営業担当の負担を増やしていたため利用を断念したという。
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