「kintone hive vol.3」レポート【前編】
東急電鉄がシェアオフィス事業でkintone活用、増加する“業務部門主導IT”とは?(1/2 ページ)
業務アプリケーション開発用PaaS「kintone」。東急電鉄がシェアオフィス事業で、ANA成田エアポートサービスが塩漬けのまま更新し続けてきた業務システムの刷新でkintoneを導入した事例をお届けする。
サイボウズは2016年5月26日、同社が提供する業務アプリケーション開発用のPaaS(Platform as a Service)「kintone」のユーザーイベント「kintone hive」を開催した。3回目となる今回は、大手企業を中心に4社が導入事例を発表。kintone活用のヒントが得られる機会とあって、200人以上が参加し熱心に聞き入っていた。前編では、業務部門の担当者が発表した2社の事例についてレポートする。
関連記事
kintone hiveに関する記事
kintone事例記事
kintoneとは?
類似製品に関する記事
東急電鉄がサテライトシェアオフィス事業でkintoneを活用
kintone hive事例セッションのトップバッターとして登壇したのは、東京急行電鉄 経営企画室でサテライトオフィス事業を担当する野崎大裕氏だ。東京西部から神奈川に住んでいる人々には欠かせない生活の足として毎日306万人を輸送する鉄道事業と、不動産事業が大きな柱となっている企業である。
その東急電鉄が2016年5月20日に、首都圏近郊居住地および地方都市におけるサテライトシェアオフィス事業「NewWork」をスタートした。鉄道会社が運営するだけあり、施設はいずれも駅から至近に展開。フリーアドレス型のデスクと、固定席として占有利用が可能なデスクを用意する他、会議室やテレフォンブースも設置。この事業を通じてユーザー企業には、「人材の確保、オフィスコストの削減、生産性の向上、BCP(事業継続計画)強化と4つの価値を提供していきたい」と野崎氏は語る。
NewWorkの大きな特徴はICカードを使った完全会員制で、各オフィスを無人で運営するという点にある。顧客は専用ICカードさえ持っていれば、提携オフィスを含めて日本全国の施設をキャッシュレスで利用できるようにした。
ユーザー企業には、利用ライセンスである専用ICカードを契約口数に応じて付与する。顧客が入室時および退室時にこのカードを使って出入口を解錠/施錠した際、利用場所や利用状況を記録する仕組みだ。東急電鉄は、この入退室情報を収集して利用状況を可視化し、請求金額を管理するためのシステムをkintoneで構築した。
野崎氏が実現したかった機能は、大きく2つある。1つはオフィスの利用実績をWebブラウザで確認できるインタフェース、もう1つは各種帳票の発行機能である。
前者の利用実績管理は、シェアオフィス運営の無人化にどうしても必要な機能だ。さらにこれをユーザー企業にも使ってもらえるインタフェースとすればオフィス滞在時間を可視化でき、遠隔勤務地における労務管理を実現できる。オフィスコストの可視化にもつながる重要な機能だ。
後者は料金請求業務など東急電鉄側が利用する機能。NewWorkには定額制と従量制の料金体系があり、今後は提携オフィスの拡大を見越し、異なる料金体系を組み込むことも考えられる。そのように料金体系が複雑になると事務過誤も発生しやすくなるため、効率化だけではなく正確な事務処理のためにもシステム化が欠かせなかった。
カスタマイズ性が高くサービス成長に合わせてシステム構築が可能
kintoneでのシステム開発を選んだのは、カスタマイズ性の高さとコストの低さ、そしてクラウドであることが理由だと野崎氏は言う。中でもカスタマイズ性の高さは大きなポイントとなったようだ。
ウォーターフォール型開発に代表される従来の開発手法では、サービスの内容が固まってシステム要件が決まらなければ開発に着手できない。さらにシステムの完成を待ってからサービスをローンチすることになるので時間がかかりがちだ。「kintoneはサービス開始後も状況に応じて容易に仕様変更できるので、『こんなサービスにしたいね』というふわっとしたアイデアの段階から開発をスタートできます。サービスローンチまでのリードタイム短縮に大きく貢献してくれました」(野崎氏)
東急電鉄が現在、kintoneで実現している機能は次の4つだ。
- シェアオフィス管理
- 営業時間や物件オーナーとの契約状況を管理する機能。提携オフィスも含めて一元管理できる
- 利用企業管理
- 契約しているライセンス数や企業そのものの情報に加えて、請求先住所や契約担当者名などを管理する機能
- 利用実績管理
- 利用企業のライセンスに応じた利用実績を管理する機能。カード番号ごとの入退室時間、利用オフィス、金額、入退室時のエラーを記録し、一覧で確認できる。今回のシステムの中心的な機能
- 利用料金請求機能
- 利用実績を集計して利用企業ごとの請求金額を算出、請求書を発行する機能。利用企業からも閲覧可能にすることで、利用実績や請求料金を事前に知ってもらえるようにする
実際の構築に当たったのはシステムインテグレーター(SIer)のアールスリーインスティテュートだ。データ処理やWebでの表示はkintoneで行い、実際のデータはAmazon Web Servicesのクラウドサービス「Amazon Web Service」(AWS)に蓄積する仕組みで全てをクラウドで完結させている。
これらに加えて今後は、シェアオフィスごとの稼働率や売り上げを管理できる利用実績分析機能や、売り上げ達成率など費用面での予実執行率を把握するための予実管理機能、提携店に向けた情報提供に使える情報共有機能を実装していく予定だという。
小規模で利用しやすいようクレジットカード対応も考えており、それもkintoneで実装していく予定だという。「サービス開始後にこうして改良していけるのもkintoneを使うメリットの1つですね」と野崎氏は期待を膨らませる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「kintone hive vol.3」レポート
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] 取引先のセキュリティをどう管理する? 「SCS評価制度」対応の勘所を解説 -
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] SCS評価制度「★4」取得のカギ 最大の壁を突破する方法とは? -
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] 2026年度末から運用開始 「SCS評価制度」に備えて製造業がやるべきことは? -
事例
[ネットワンパートナーズ株式会社, アイビーシー株式会社] ハイブリッド環境の一元管理と快適な無線LAN環境、三井ホームはどう実現した? -
市場調査・トレンド
[TD SYNNEX株式会社] 調査で学ぶセキュリティ運用の実態 人を増やさず品質を維持する方法とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
2
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
3
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
4
IBM iのブラックボックス化を打破 資産継承と進化を実現する「IBM Bob」の実力
-
5
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
6
LINEヤフーはなぜ「社内の管理者」すら信用しないインフラを作ったのか
-
7
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
8
脱VMwareか、継続か? 仮想化ソフト主要6製品の料金とライセンスを徹底比較
-
9
【基本情報技術者試験】データを複数ディスクに分散する「RAID」の仕組みと特徴
-
10
【基本情報技術者試験】そもそもOSは何をしている? 「ジョブ管理」の仕組みを解説
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
2
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
3
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
4
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
5
5分で分かる Microsoft 365のデータ損失に備えるためのバックアップの仕組み
-
6
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
7
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
8
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
9
ソフトウェア開発の属人化と手戻りをどう防ぐ? 速さと品質を両立させる方法
-
10
ランサムウェア攻撃“究極の対策”はこれだ
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー