POSデータと現場の声、業務データを横ぐしで分析
メガネ業界で快進撃を続けるJINS、データ活用基盤で経営は“視界良好”
メガネ専門店「JINS」を展開するジェイアイエヌは、POSデータと現場の声、業務データをひも付けるデータ分析システムを2014年4月に構築した。機能性メガネなどで急成長を遂げる同社のデータ活用体制や分析基盤とは。
メガネ専門店「JINS」を展開するジェイアイエヌは、POSデータと現場の声、業務データをひも付けるデータ分析システムを2014年4月に構築した。利用したのはBIツールの「QlikView」とクラウドサービスの「kintone」および両者をつなぐ「kintone Connector for QlikView」。ジェイアイエヌの担当者がアシストのイベントで行った講演を基に、同社のデータ活用体制や分析基盤などを紹介する。
機能性メガネで急成長
ジェイアイエヌは、軽量メガネ「Air frameシリーズ」や、ブルーライトによる目の疲れを軽減するPC用メガネ「JINS PC」など、ヒット商品を開発してきた。先日も、疲れや眠気を可視化するアイウェア「JINS MEME」を発表して大きな注目を集めた。
同社の強みの1つは、製造小売り(SPA)体制にある。企画から生産、流通、販売までを自社で一貫して行うことで、無駄なコストを徹底的に削減。レンズ・フレーム・ケース込みで4900~9900円(税別)という高品質・低価格を実現している。顧客の声をデザインに反映しやすいというメリットもある。
機能性に焦点を当てたこれまでにないユニークな商品戦略により、2014年3月末には総店舗数が250店(FC、海外店舗を除く)を超え、JINS PCの累計販売本数は発売から約2年半で350万本を突破するなど、消費者の支持を集めている。
JINSのデータ経営を支えるIT戦略
その同社の成長を支えるのが、「データ経営」を実現するIT戦略である。ジェイアイエヌ 業務革新室兼eコマースグループ マネジャー、菰田泰生氏は、データ分析業務を単なる業務改善にとどめるのではなく、経営戦略として横展開することが重要だと話す。
ジェイアイエヌでは、ビジネスインテリジェンス(BI)などのデータ分析業務を遂行する上で、「良質、高速なPDCA」「データ重視文化の醸成」「最新技術へのトライアル」の3点を重要視している。
「アクションにつながらない分析は行わない。PDCAを回すために必要なKPIの見直しや改善はすぐに着手、確認している。また、分析能力に優れた一部の人だけが分析するのではなく、全社員がデータを基に判断する文化の醸成を目指している」(菰田氏)
最新技術への関心も高く、最近では非構造化データ処理やマイニング技術、カラム型データベースを積極的に試しているという。
この3つを実現するために行っているのが、「ETLコンポーネント、BI帳票の内製化」「データモデルの内製化」だ。前者は業務の変化にできる限り追従してユーザーの意見をすぐに反映させるために、後者は基幹システム、マスターデータの設計に分析の思想を入れ込むために必要だ、と菰田氏は説明する。スキーマの設計も必ず内部で行っているという。
5つの階層に分かれた分析体制
ジェイアイエヌでは、データ分析基盤の開発・運用プロセスを情報システム部門の管轄外に置いている。これは「データを使い、人にいかに簡単、スピーディーにデータを届けられるかを追求した結果」と菰田氏は説明する。
具体的には、「リポート閲覧・定期配信」「オンライン分析」「カスタムクエリ」「リポート作成」「データモデル、ETL」という5つの階層に分けて分析体制を構築している。詳細は下図を参照されたい。
「できない」から「やってみよう」に変わった情報分析
同社では、2011年12月から店舗の売り上げ分析やECサイトの分析にクリックテック・ジャパンのBI製品「QlikView」を利用している。店舗を統括するスーパーバイザーが、店舗や外出先からモバイル端末で商品の売り上げ推移、購買客層をアドホックに分析したり、商品企画部門がPOSの売り上げデータをドリルダウンして分析結果を商品発注に反映するなど、情報活用を進めている。
その選定理由について、菰田氏は次のように説明する。「QlikViewの選定理由は3つ。インメモリ技術による高速なOLAP性能と、Ajax技術によるWeb/モバイル対応、そしてスキーマレス/連想技術による開発容易性だ。QlikViewはデータを事前に定義する必要がない点を特に評価した」
データ経営を推進する同社では、次の取り組みとして、従来では規格化されず利用されていなかった日々の業務データの活用に着手した。「店舗の売り上げを分析する際に、基幹システムのデータだけでは売り上げ要因を分析するのに限界があった。その一方で競合店情報や、集客、天気、陳列、店内などの現場情報といったデータは、報告されているが十分に活用できていなかった」(菰田氏)
そこで同社は、サイボウズの業務アプリケーション構築クラウド「kintone」を導入し、競合店情報・現場情報をクラウドに集約する仕組みを構築した。店舗の現場担当者らによってkintone上に蓄積されたデータは、アシストの開発した「kintone Connector for QlikView」を用いて、QlikViewに取り込まれる仕組みとなっている。
kintoneとQlikViewを組み合わせることで、POSデータに加えて今まで活用できていなかった現場の声、業務データなど外部・内部要因を含めて分析が可能になった、と菰田氏は話す。
「例えば、売り上げの上下動が商品起因なのか、個店の実力に起因しているのかが分かるようになった。さらに個店の場合、接客や清掃、陳列などのスコアが下がっていないか、といったようにデータを横ぐしでつなげることで、洞察を深めることができるようになった」と菰田氏は利用部門の声を紹介した。
講演の最後には、「形式的な報告業務で活用度が低かったデータがkintoneによって“活用可能なデータ”として価値が上がり、データ化のスピード、精度ともに圧倒的に改善した。また、kintone由来のデータソースが増えてもQlikViewの開発容易性を生かしてデータの横ぐし表示をすぐに実現できるようになった」と菰田氏は語り、「できない」が多かった情報分析から「やってみよう」の情報分析への改革を実現できた、とこれまでの取り組みをまとめた。
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