クラウドだけではなくオンプレミスでも
Tableauに学ぶソフトウェアサブスクリプションモデルの有用性(1/2 ページ)
Tableau Softwareが同社の製品にサブスクリプションモデルを全面的に取り入れたことにより、クラウドを連想させるサブスクリプションベースのソフトウェアの価格は、オンプレミスの導入でも役に立つことが示された。
ソフトウェアの販売担当者が見込み客のために100万ドルもの見積もりを作成し、何カ月もかけて関係各部署を駆け回って高額な投資の妥当性を説得して回っていたのは、いつのことだろうか。もちろん、そのようなビジネスプロセスがすっかり過去のものになったというわけではないが、常識は変化している。ソフトウェアのライセンスを購入するという従来の形態は減り、サブスクリプションモデルが増えているのだ。
定期的な支払いによって企業がソフトウェアを借りるという考え方は新しいものではない。SaaS(Software as a Service)が誕生してから何年も経過している。だが、クラウドコンピューティングによって、ソフトウェアのサブスクリプションモデルは一気に普及した。クラウドはSaaSアプリケーションにうってつけだ。企業は自社のインフラに投資することなく、簡単にSaaSアプリケーションを導入して使用できる。
そして、現在、SaaSのサブスクリプションモデルは、オンプレミスでも普及しようとしている。Tableau Softwareが2017年前半に同社のセルフサービスBI(ビジネスインテリジェンス)とデータ視覚化ソフトウェアの主要価格モデルをサブスクリプションに移行すると発表したのは、注目に値することだろう。
このような決断の背後にあるものを理解するために、SaaSの歴史を簡単に振り返ってみたい。
1960年代までさかのぼるが、当時Tymshareという企業が存在していた。同社のビジネスモデルは「タイムシェアリング」と呼ばれ、まだ自社でコンピュータを購入または追加購入する金銭的余裕がない企業や組織にメインフレームのハードウェアサイクルとソフトウェアの時間を貸し出すというものだった。同社と同社の同業であるコンピュータ処理サービス機関は、このビジネスモデルを1980年代初頭まで継続した。当時、PCの台数は少なく、インターネットの規模は小さかった。そのため、タイムシェアリングサービスを提供できる企業は、Fortune 1000に名を連ねる大企業だった。
クラウドの転換点
IBMがクライアントPCを販売し、UNIXサーバが企業での使用に対応できるプラットフォームになると、タイムシェアリングビジネスモデルは衰退した。ただし、サービスシェアリングという概念がなくなることはなく、一部の企業は今日のSaaSテクノロジーの前身となるテクノロジーを提供していた。その際、自社のソフトウェアの使用を制御する方法としてドングルなどが用いられていた。
大半の企業は、ライセンスを購入して自社所有のソフトウェアを何年も使用することを好んでいた。これは、企業の規模には関係ない。IT業界は入れ替わりが激しい。多くのソフトウェアベンダーが誕生しては姿を消している。ソフトウェアのサブスクリプションモデルには、ベンダーが倒産した場合に、アプリケーションと自社のデータにアクセスできなくなるというリスクが付いて回る。これに対し、ソフトウェアを所有すると、そのようなリスクはなく安心感が得られる。
その後、インターネットは生活の一部になった。そして、サーバとネットワークは、以前よりも手ごろな方法でユーザーがアクセスできる外部のサーバファームに大規模なコンピューティング能力を維持できるところまで進歩した。その結果、クラウドコンピューティングというビジネスが誕生して急成長を遂げることになる。
クラウドの成長を大きく後押したのは、大企業ではない。Salesforce.comの成功は、クラウドがその威力を発揮した好例だ。Salesforceの創設者がターゲットにしたのは、本格的なビジネスツールを必要としながらITのサポートが最小限または全く得られない全ての中小企業だった。このような企業には、自社でサーバを所有したり、高価な営業支援ソフトウェアの購入を検討したりする余裕がなかった。当初、同社が構築したのは、大部分の中小企業のニーズを満たす、機能が限られた販売管理システムだった。その後、このシステムをインターネットに移行し、Webブラウザ経由でアクセスできるようにした。これ以降の同社の躍進については説明するまでもないだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[Jamf Japan 合同会社] MDMだけでモバイルセキュリティは十分? 不足する対策を16項目でチェック -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的な家電メーカーが実践する「クリエイティブプロセス効率化」の方法とは? -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的テクノロジー企業に学ぶ、プロセス標準化とプロジェクト納品自動化の秘訣 -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソニー・ピクチャーズ テレビジョンに学ぶ、次世代サービスデリバリーのヒント -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソミック石川に学ぶ、ICT浸透後に直面した「工数管理」の課題と解決策
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
2
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
3
エンジニアが選考を辞退する本当の理由 7割が隠す“面接の違和感”とは
-
4
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
5
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
6
膨らむAIコストに歯止め GitHubのマルチモデルルーターは何が違うのか
-
7
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
8
Anthropicが明かす AIは入力データを「どこまで覚えているのか」
-
9
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
10
なぜOpenAIやAnthropicのAIは「脱走」したのか 情シスが迫られるエージェント統制
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
4
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
-
9
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
10
少額減価償却資産が40万円未満へ拡大、令和8年度税制改正で押さえるべき変更点
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー