ConcurとIntelの語る“データ管理の教訓”
IT部門とビジネス部門の一触即発の危機を解決、セルフサービスBIはどのように役立つ?
「2016 TDWI Executive Summit」で、ConcurとIntelがセルフサービス型のビジネスインテリジェンス(BI)ツールを導入した戦略とそのメリットについて自社事例を紹介した。
ラスベガスで2016年2月2月1~2日に開催された「2016 TDWI Executive Summit」で講演した複数名のビジネスインテリジェンス(BI)マネジャーは、実体験に基づくアドバイスを同業者に提供している。それは、セルフサービス型のBIテクノロジーについて心配するのを止めて、歓迎することを学ぶというものだ。
必要な分析ニーズが満たされていないビジネス部門がIT部門やBIチームをうまくかわす方法として、セルフサービス型のソフトウェアが導入されることは少なくない。その結果、分析作業にまとまりがなくなり、IT部門とビジネス部門の間で少なからぬ問題を引き起こしている。部門間の対立に疲れた企業では、クラウドベースのセルフサービス型のBIが導入され、IT部門がサポートするサービスとして受け入れられている。
例えば、SAPの子会社であるConcurでは、セルフサービス型のBIツールを軸にデータ分析を実施している。Concurでは、2014~2015年にかけて、出張費と経費のアプリケーションの開発担当者が、社内のBIプログラムを復活させている。使用したのは、TableauのBIとデータ視覚化ソフトウェア、アジャイル開発プロセス、エンドユーザー支援とコミュニティー構築イニシアチブだ。そう語るのは、ConcurでBIのシニアマネジャーを務めるデイビッド・ハン氏だ。
ハン氏がConcurに入社したのは、SAPに買収される8カ月前に当たる2014年4月のことだ。「当時のConcurには確実に新しいアプローチが必要だった」と同氏は語る。変化をもたらすために、まず同氏は問題と欠点を網羅した長いリストを作成した。このリストには、次のようなことが含まれていた。BIチームは要請された機能を迅速に開発できていなかった。その理由の1つは、同社が以前BIプラットフォームとして導入していたIBMのソフトウェア「IBM Cognos」に関するスキル不足にあった。そのため、ビジネスアナリストや他のユーザーはExcelスプレッドシートを使用せざるを得ないことが少なくなかった。また、同じ基準であるにもかかわらず、部門ごとに大幅に異なる数値が報告される状況が発生していたとハン氏は話す。
このような状況から、ごく限られたデータしか分析されておらず、BIチームとビジネス部門は不仲であった。「フードファイトのような状況で、両者が顔を合わせると一触即発という雰囲気だった」(ハン氏)
ビジネス部門にとってBIを適切に運用する方法
新しいセルフサービス型のBIテクノロジーと開発プロセスにより「状況は大幅に改善した」とハン氏は語る。アクティブなBIユーザーの数は、200人から1000人以上に増えている。また、そのうち約900人がTableauのソフトウェアを使用している。この取り組みによって、新しいアプローチのビジネス価値を短期的に示す成果も得られたという。例えば、請求と顧客関係管理のデータを組み合わせたBIダッシュボードから約1000万ドルの追加利益を得られたとConcurは考えている。これは、営業担当者による上位製品の販売や抱き合わせ販売の能力アップに起因するものだ。
大手半導体メーカーのIntelの販売活動とマーケティング活動でも、Concurが最初にBIプログラムを導入したときと同じ種類の問題に直面している。Intelで販売/マーケティングITグループのチーフBIアーキテクトを務めるデイビッド・シェーファー氏は、「当初はレポートとダッシュボードの全作成工程を制御して、厳重にデータを取り締まろうとしていた」と話す。だが、そのようなことを実現するには、BIに関する膨大な残務リストに対処しなければならなかった。IT部門がビジネス部門のユーザーから寄せられた小さなリクエストに対応するのに平均で6カ月もの時間を要していたのだ。
短気で苛立ったユーザーは、ITグループを“お役所仕事的な対応をするグループの集まり”と見なすようになったとシェーファー氏は言う。データを管理して、BIの要請を入念に吟味するITグループを構成しているチームを“髪粉を付けたかつら(※)をかぶった社会”と辛らつな言葉で評したビジネスアナリストもいたと当時を振り返る。この状況に対して、ビジネス部門はITグループを回避して、会社のデータウェアハウスに直接アクセスするために自分たちで導入した新しいBIツールやExcelを使用するようになった。その結果、一貫性のないデータを含む局所的なスプレッドマート(スプレッドシートのデータマート)が生まれた。
※訳註:中世の貴族が着用していたかつらのこと
セルフサービス型のBIに対して大きく開かれたデータの門戸
Intelは2008年に対応を変え始めたとシェーファー氏は言う。同氏のチームは、アジャイルBI手法を採用して、新しい販売とマーケティング用のデータをセットアップした。同氏は、これを「リーンデータ管理」モデルと呼んでいる。それ以来、ITグループは、ビジネス部門のアナリストや他のユーザーが使用を希望するセルフサービス型のBIテクノロジーに対して、データマートへのアクセスを許可している。そして、ITグループは2つのセルフサービス型のBIツールを公式にサポートしている(ただし、具体的なツール名は明かしていない)。だが、ビジネス部門は、他のツールを自分たちで導入して管理するか、自分たちが使用を希望するソフトウェアをITグループがサポートすることに対してチャージバックを支払うことができる。
「以前は使用するツールを強制しようとしていたが、もうそのようなことはしないと決めた。ユーザーには好きなツールを使用するように伝えている。私たちは、この変化を受け入れようとしているだけだ」(シェーファー氏)
バックエンドでは、2014年初頭に、ITグループが徐々に準備を進めて、データマートをホストするための新しいHadoopクラスタを導入した。ClouderaのHadoopディストリビューションベースのクラスタは、さまざまなレベルのデータの準備とデータクレンジングをサポートしており、ユーザーには情報の分析について追加の選択肢が提供される。未加工のデータは24時間以内に処理されて、セルフサービス型のBIツールでアクセスできるようになるとシェーファー氏は語る。クリーンなデータセットは3日以内、完全に順応して整合性のあるデータは2カ月以内に利用できるようになる。
Intelが社内で追跡した結果から、75%以上の販売部門とマーケティング部門のアナリストは、セルフサービス型のBIテクノロジーをアクティブに使用するようになっていることが判明している。また、全クエリの約85%はITグループがサポートしているHadoopクラスタとインメモリ分析プラットフォームにあるデータに対して実行されている。「一度実行して終わりではなく、何度も繰り返し使用されている」とシェーファー氏は言う。
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