Gartnerが2016年版 市場評価レポートを発表
BI/BA製品の「リーダー」は3社のみ、大変動ランキングに波紋
GartnerがBI/BA製品に関する2016年版の評価レポート「Magic Quadrant」(マジッククアドラント)を発表した。ベンダーのランキングには幾つかの大きな変化があった。
米国の調査会社Gartnerは2016年2月初旬、待望のビジネスインテリジェンス(BI)およびビジネスアナリティクス(BA)製品に関する2016年版ベンダー評価レポート「Magic Quadrant for Business Intelligence and Analytics Platforms」を発表した。同社によれば、2016年版はBAツール市場の大きな変化を反映した内容になっているという。
「新規購入の大半は、ビジネスユーザーを中心に据えた最新のプラットフォームだ。この変化に伴い、市場に新たな視点が加わり、ベンダーのランキングも大きく変動している」とレポートには記されている。
関連記事
BIとは?
BI/BA製品を知る
BI/BA製品選びのポイント
BI製品導入事例
新たなランキングで上位に入ったのは、Tableau Software、Qlik、Microsoftの3社だ。Gartnerが2016年版で「リーダー」と評価したBI/BAベンダーはこの3社のみ。2015年版でこれらの3社とともにリーダーに選出されたMicroStrategy、IBM、SAP、SAS Instituteはいずれも、2016年版では「ビジョナリー(概念先行型)」に格下げされた。2015年版ではこの他にInformation BuildersとOracleもリーダーに選出されていたが、2016年版ではInformation Buildersは「ニッチプレーヤー(特定市場指向型)」に格下げされ、Oracleはランキングから完全に脱落している。
こうした変化の背景には、Gartnerが評価に際し、ビジネスユーザーのサポートに、より重きを置くようになったことがある。レポートによると、BIレポーティングソフトウェアは徐々に事業部門が購入するケースが増えてきているという。この変化を認識しているベンダーは高得点を獲得し、そうではないベンダーが順位を下げた。また、セルフサービス機能の使い勝手が良く、導入時の選択肢に柔軟性がある製品のベンダーが高得点を獲得し、上位にランクインしている。レポートによると、Microsoft、Qlik、Tableauのソフトウェアは個々の事業部門で導入できる他、中央集約型のITプロジェクトの一環としても導入でき、クラウドにもオンプレミスにも配置できるという。
2015年版からの最大の変化は、Oracleがランキング外となったことだ。Oracleの広報担当者はランキング外となった理由について、「Gartnerの評価プロセスが始まる直前にクラウド対応BI/BAツールの最新版をリリースしたため、レファレンスユーザー(代表的な事例となるユーザー)の情報を提供する時間がなかったからだ」と説明している。
このレポートの執筆を担当したGartnerのアナリストの1人、ジョシュ・パレントー氏によれば、Oracleの既存のBI/BA製品を検討した結果、市場の変化やビジネスユーザーのニーズへの対応の遅さからランキング外の評価になったという。
Oracleをランキングから外すという判断は突然下されたものではない。Gartnerは2015年版のMagic Quadrantレポートにおいて、OracleのBI/BAツールについて「企業のIT部門による実装に重点を置いており、ユーザビリティに欠け、ビジネスユーザーに焦点を当てていない」と批判している。
Oracleの他に2016年版でランキングから脱落したのは、OpenText(旧Actuate)、Panorama Software、Prognoz、Salient Management、Targitなどのベンダーだ。レポートによると、これらのベンダーは新たな評価基準の一部を満たさなかったためにランキング外になったという。
新たにランキングに加わったベンダーの中で最大手はクラウドCRM(顧客関係管理)サービスを提供するSalesforce.comだ。他にも2015年版では圏外だったBeyondCore、ClearStory Data、Domo、Platfora、Sisenseなどが2016年版ではランク入りしている。これらのベンダーは新しい評価基準を全て満たし、全ベンダーの上位24社にランクインした。
レポートによれば、BI/BAツール市場では向こう数年間、柔軟性とセルフサービス機能を重視する傾向が強まる一方だという。この見方が正しいのなら、Oracleをはじめ2016年版においてランキング圏外となったベンダー各社が今後成功するためには、よりビジネスユーザー指向のサービスを展開していく必要があるだろう。
アドバンストアナリティクスのプラットフォーム市場の変化は小規模
GartnerはBI/BAツールに関するレポートとともに、アドバンスト(Advanced)アナリティクスツールに関するレポート「Magic Quadrant for Advanced Analytics Platforms」も発表した。こちらのレポートではランキングの変動はほとんどなく、2015年版と同様、2016年版ではSAS Institute、IBM、KNIME、RapidMinerがリーダーに選んだ他、新たにDellをリーダーに加えている。
レポートによると、アナリティクス市場では特に予測的(Predictive)および処方的(Prescriptive)アナリティクスのセグメントが急成長中であり、2020年にはBI/BA分野の新規投資の40%を呼び込むことになる見通しだという。アドバンストアナリティクスのカテゴリーには、予測モデリング、アドバンスト統計、データマイニング、機械学習など、従来のBIレポーティングよりも深い洞察を得るための各種の手法が含まれる。
ランキング上位のベンダーには変化がなかったが、レポートによれば、アドバンストアナリティクス市場は目下、急速に発展中だという。従って、現在市場のリーダーであるベンダーのソフトウェアを使用している企業はもっとニッチなプレーヤーの製品に目を向けることでメリットを享受できるかもしれない。上位ベンダーは恐らく向こう数年間で入れ替わる見通しだという。
具体的には、幾つかの新しいトレンドが市場を破壊することになるという。「R」「Python」「Apache Spark」などのオープンソースツールは存在感を増しつつあり、企業が利用できるデータソースの数は増加している。複雑なイベント処理やIoT(モノのインターネット)に関連するストリーミングアナリティクスのニーズも高まっている。今後はこうした変化にうまく乗じることができたベンダーが優勢に立つことになるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[ファインディ株式会社] AI利用率だけでは説明できない成果 開発組織の競争力を生む「開発資本」とは? -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] AI活用を成功へ導く、シンプルで費用対効果に優れたクラウド基盤とは? -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] マネージドKubernetesには限界も――メリットをフル活用する新たな選択肢とは? -
技術文書・技術解説
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] 決断の日が迫る「vSphere 8」サポート終了問題 考慮すべきリスクと選択肢は? -
製品資料
[サイバーソリューションズ株式会社] メール誤送信対策のルールが肥大化 苦しむ情シスはどうすれば救われるのか?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
3
「アップグレードできないJava」をどう守る IBMとRed HatがAIで400件超修正
-
4
パッチなしで「今すぐサーバを落とせ」 Kiteworks異例警告の波紋
-
5
「企業におけるAI導入検討度とIT投資優先度」に関するアンケート
-
6
kintoneで実践 製造業のための「見積もり管理」改善のヒント
-
7
「IoT通信環境の構築・運用」に関するアンケート
-
8
祝10周年! 創業者も予想できなかったRaspberry Pi活用例
-
9
「サイバー犯罪株式会社」に潜入 現地調査で判明した“犯罪者求人”の実態
-
10
鉄道とIT、老舗企業はスマホアプリでいかに息を吹き返したか
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
2
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
3
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
6
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
7
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
8
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
9
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
10
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー