「Google、Microsoft、Red Hatの買収なら歓迎」との声も
「Dockerは2018年に身売り」とのうわさは本当か? 同社幹部に聞いた(2/2 ページ)
コンテナオーケストレーションツールの市場規模は不透明
Dockerは業績を公表していないが、同社の最高執行責任者(COO)スコット・ジョンストン氏によれば、レガシーアプリケーションをクラウドに移行するためのプログラムとして2017年春に発表した「Modernize Traditional Apps」(MTA)の好調に押され、Docker EEの売上高は2017年に100%増加したという。451 ResearchやIDCなどの調査会社は、Dockerの売上高を3000万~5000万ドル程度だと推定している。ジョンストン氏はこうした数字について「不正確だ」と否定したが、正確な数字の公表は断っている。
ジョンストン氏によれば、Docker EEは約400社の顧客を有しているという。だがこの数字だけでは全体像は分からない。それにもかかわらず、Dockerは今後の成長の見通しについて楽観的だ。ジョンストン氏はオープンソースのPaaS(Platform as a Service)ソフトウェア「Cloud Foundry」の開発団体が2017年に発表した顧客調査結果「Global Perception Study」を引き合いに出し、「コンテナを使用している企業のうち、オーケストレーションツールを導入している企業はまだわずか15%だ」と指摘する。
これとは異なる状況を示す調査データもある。
インフラ監視サービスベンダーのDatadogが同じく2017年に公開したデータによると、コンテナ導入企業の40%がコンテナオーケストレーションツールを使用している。CNCFが2017年に発表した調査結果によると、2016年から2017年にかけてはKubernetesの導入件数が増加した他、Red HatのKubernetesベースの企業向けコンテナ基盤構築ツール「Red Hat OpenShift Container Platform」も成長を遂げた。
DockerはDocker EEにKubernetesを採用し、Kubernetes市場に参入したが、その競争は激しい。市場では、他社に先駆けてKubernetesを採用したRed HatのOpenShift Container Platformが好調を維持しており、クラウド大手各社がホスティング形式のKubernetesサービスを提供している。コンサルタントによると、顧客はAmazon Web Services(AWS)のコンテナオーケストレーションツール「Amazon EC2 Container Service」などクラウドベンダーが提供するサービスを好み、Docker EEの他、「Docker for AWS」「Docker for Azure」といったDockerのサービスを契約する顧客はほとんどいないという。Docker for AWSとDocker for Azureはそれぞれ、AWSとMicrosoftのクラウドでDockerを簡単に導入するためのツールだ。
「Docker EEの顧客が400社だというなら、AWSのオーケストレーションサービス『Amazon Elastic Container Service』(Amazon ECS)やKubernetesを導入している企業は、どれほどかという話だ」。アジャイル開発のコンサルティング会社cPrimeで、DevOpsマネージングディレクターを務めるブランドン・サイプス氏は語る。Docker EEの導入企業は確かに増加しているのだろう。「だが最低限の規模に到達できなければ、どうしようもないのではないだろうか」とサイプス氏は指摘する。
IPOや事業売却の可能性は
アナリストによれば、Dockerはこれまでに推定2億4000万ドル以上のベンチャーキャピタル資金を調達している。さらにDockerは2017年には、最新の資金調達ラウンドで7500万ドルの調達を目指し、報道によれば評価額は13億ドルに達したという。新しい資金は、MTAプログラムの好調な勢いを維持し、次へとつなげるために使われる。ジョンストン氏は、企業向けIT市場にはDockerが「大きな企業体」となる余地があるとの考えを示す。ただし同氏は、新規株式公開(IPO)の計画があるとまでは言っていない。さらに「Dockerが2018年に事業売却を目指す」とのうわさを否定。「現在、身売りに関する交渉は一切なく、その計画もない」と説明する。
それでも業界観測筋は、Dockerが事業を売却する可能性を排除していない。「現時点では提案はないのだろう。だからといって今後、妥当な提案があった場合に検討しないことにはならない」。IDCのアナリスト、ゲイリー・チェン氏はこう語る。
Dockerの核となるコンテナ技術はオープンソースであり、万が一Dockerが買収されたとしても、Kubernetesのサポートによって顧客は守られる。ただし買い手によっては、Dockerは特定の技術スタック(構成要素)に注力する可能性もある。Dockerの10億ドルを超える評価額を考えると、どこが買い手になるにせよ、IBMやMicrosoft、Oracle、Red Hatなど、かなりの大手でなければならないだろう。
「OracleやIBMの傘下に入ることになれば、そこでDockerの運命は確定する。GoogleやMicrosoft、Red Hatに買収される方が、受け入れられやすい結果につながるのではないだろうか」とビショップ氏は語る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
IT製品の導入に関するアンケート「サーバ&ストレージ」編
-
8
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
9
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー