ベアメタルを利用しない手はない
コンテナを動かすプラットフォーム選択、ベアメタルサーバ vs. 仮想マシン(1/2 ページ)
「Docker」コンテナをベアメタルサーバで動作させれば、移植性と安定性が得られる。だが、コンテナの動作場所として仮想マシンの方が適している場合もある――専門家が説明する。
コンテナの使用を検討する理由はよく知られている。だがコンテナの導入先となるインフラの種類についてはどうだろう。「Docker」などのコンテナ環境のホスティングプラットフォームとしては、ベアメタルサーバの方が仮想マシンよりも適しているのだろうか。
当然その答えはさまざまな条件に応じて変わる。そこで、ベアメタルホストと仮想サーバでコンテナを動作させる場合の長所と短所を挙げながら、どちらが適しているかを考えてみよう。本稿ではコンテナとしてDockerを取り上げているが、ここでの教訓はあらゆる種類のコンテナプラットフォームに広く当てはめることができる。
併せて読みたいお薦めの記事
ベアメタル vs. 仮想マシン
- 徹底比較:ベアメタルクラウド vs. 仮想サーバ、支持者が口をとがらせて語るメリットとは
- 1回で分かる:物理サーバを仮想サーバのように使えてしまう「ベアメタルクラウド」
- クラウドサービスの救世主? ベアメタルサーバの実力とは
Dockerとは
コンテナを理解する
ベアメタルサーバと仮想マシンの比較
ベアメタルサーバと仮想化ホスティング環境の長所と短所にそれぞれ重みを付けるのは目新しいことではない。これは、2000年代に仮想化がデータセンターで広く採用されるようになるころからCTOの念頭にあった。それは誰もがDockerを知るようになるはるか前のことだ。
ベアメタルサーバの主な長所を簡単に挙げるとすれば以下のようになる。
- ハードウェアエミュレーションによってシステムリソースが浪費されないため、パフォーマンスが高い
- 需要の高い期間にアイドルになるマシンリソースがないため、全てのリソースをフル活用できる
- インフラ内でのホスト、ネットワーク、ディスクの競合がほとんどないため、管理が容易
一方仮想マシンには以下のような長所がある。
- 仮想マシンイメージをサーバから別のサーバに移すだけで、ホスト間でアプリケーションを簡単に移動できる
- 異なる仮想マシン内で動作するアプリケーションはそれぞれ独立している。その結果、セキュリティのメリットが幾つか生まれ、管理の複雑さを抑えられる
- 全てのアプリケーションを同じ種類の仮想マシンに展開することで、基になるホストサーバが同じ種類でなくても、インフラ全体で一貫したソフトウェア環境を維持できる。
しかし、仮想マシンには幾つか欠点もある。
- サーバのリソースをフル活用できない。例えば、仮想マシンのディスクイメージを作成するためにサーバホストにストレージ領域を確保すると、そのディスクをアタッチした仮想マシンがその全領域を使用していなくても、そのストレージ領域を他の目的に使用できなくなる
- 仮想マシンから物理ハードウェアに直接アクセスできない。例えば、仮想マシンのコンピューティング操作をホストのGPUにオフロードすることはできない。できるとしても簡単ではない。それは、仮想マシンが基になるホスト環境から抽象化されているためだ。
- 仮想マシンのパフォーマンスは一般に物理サーバほど高くない。それはリソースが仮想サーバのエミュレーションに使用されるためだ
最近の仮想化プラットフォームは、管理者がこうした制限を回避できる仕組みを用意している。例えば、動的ディスクイメージを作成できる。これにより、仮想マシンによるディスク使用量が増加するにつれてイメージが拡張され、ゲストが実際に使用する前にホストのストレージ領域が使用できなくなるのを防ぐことができる。また、場合によってはパススルー機能を利用して、仮想マシンからホスト上の物理ハードウェアに直接アクセスすることもできる。
ただ、このような仕組みは常にうまく機能するとは限らない。このような仕組みは全種類のホストやゲストOSでサポートされているわけではなく、管理上の負担も増加する。実行するアプリケーションからベアメタルへのアクセスが必要なら、そのようなアプリケーションはベアメタルサーバで実行するのが最適だ。
あるいは、ベアメタルサーバのコンテナ内部でアプリケーションを実行すれば、ベアメタルと仮想化の両方の長所を生かすことができる。
不可能を可能にするベアメタルでのコンテナの実行
ベアメタルでコンテナを動作させれば、仮想化の欠点を補いながら、仮想マシンの多くの長所を生かすことができる。ベアメタルサーバで動作するコンテナにより以下のことが可能になる。
- アプリケーションのプロセスがホストサーバをサポートするOSと同じOSで動作するため、パススルー技法を使わずに、アプリケーションからベアメタルハードウェアにアクセスできる
- システムリソースの使用量を最適化できる。コンピューティング、ストレージ、ネットワークなど、コンテナが使用するリソースを制限できるが、通常、コンテナでは1つのコンテナがこれらのリソースを専用で使用する必要はない。そのため、ホストはシステムリソースを必要に応じて配分できる
- ホストサーバから独立したハードウェアエミュレーション層は存在しないため、アプリケーションのパフォーマンスはベアメタルのパフォーマンスと等しくなる
また、ベアメタルのコンテナホストを使用することで、これまで仮想マシンを使わなければ利用できなかった以下の長所も得られる。
- ホストサーバ間で簡単に移動できる移植可能な環境内部にアプリケーションを展開できる
- アプリケーションの分離。議論の余地はあるが、コンテナの分離レベルは仮想マシンほどではない。だが、コンテナにより管理者はアプリケーションが相互作用することを防ぎ、各コンテナに関連付けられる権限やリソースへのアクセス権に厳格な制限を設定することができるようになる
端的に言えば、ベアメタルで動作するコンテナは不可能を可能にする。ベアメタルのパフォーマンスとハードウェアアクセスの長所に加え、仮想マシンの移植性と分離機能も得られる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー