ライバル企業はもう始めているかもしれない
急増する採用チャットbot、人事部門の仕事を変えるアプリとは?(2/2 ページ)
ブラックボックスの中身は
人材採用にAIを早期導入したアプリケーションからは、技術的にも倫理的にも不安定な基盤に基づいているような印象を受ける。だが、これはその可能性を損なうものではない。また、採用チャットbot同様、HireVueなどのベンダーが提供するツールも雇用におけるバイアスを最小限に抑えることを保証する。ビデオ面接プラットフォームの屈指のメーカーである同社は、AIベースの感情分析を早くから取り入れている。
アルゴリズムは応募者の適性に重点を置き、採用担当者の判断をゆがめる不適切な要素に影響されないというのがその考え方だ。不適切な要素とは、担当者と趣味が似ているとか一流大学を卒業しているとかいったようなことだ。HireVueでは、短いビデオ面接にAI分析を適用することで、採用前評価の成功予測率を上げることができると主張する。多くの場合、採用前評価は電子アンケート調査で行われる。
そこで、AffdexMeに向かってさまざまな表情を作りながら、応募者が採用システムの裏をかけるかどうか考えてみた。最大の弱点を尋ねられたら、2つの常識的な判断のはざまで悩むことになるだろう。それは、正直であろうとする衝動と、うその弱点を述べ、長所の中に隠そうとする衝動だ。例えば、弱点は「働き過ぎることです」「慎重過ぎることです」と答えることになる。こうした返答をする場合、不安や必死さを隠すようにトレーニングすることはできないだろうか。それはあるサイトで既に行われていた。そのサイトでは、表情を抑えることによりAffdexMeを使用する行動面接に上手に対応するヒントを提供している。
諸要素からバイアスを取り除くことは重要な課題だが、問題はその手段だ。McKinsey & CompanyのMcKinsey Global InstituteがAI全般について疑問を呈したように、アルゴリズムに提供するデータの中に性差別や人種差別のようなバイアスが入らないようにするにはどうすればいいのか。担当者にはAIのブラックボックスを確認し、AIが結論を導く方法を知る権利はあるのだろうか。AIから与えられた情報に基づく決定の責任は誰が負うのだろうか。
採用チャットbotでは他にも倫理的な問題が浮かび上がる。例えば、応募者に対して、対応するのが生身の人間ではないことを伝えるかどうかだ。チャットbotを構成するには基準が必要であり、それを決めるのは企業の担当者だ。その担当者が、年齢や体が不自由であることを理由に特定の応募者を秘密裏に除外することはないと言い切れるだろうか。
こうした状況に対応すべく、求職者のためにドキュメントを交換し、単調でつまらない仕事のスケジューリングに対応しながら、社交上のあいさつを交わせるチャットbotを求職者が四苦八苦して探すことにはならないだろうか。「Proletariat.ai」(労働者階級AI)という名前のAIが必要になるかもしれない。
この他の採用チャットbotとして、Wade & Wendyのパーソナルキャリアガイド「Wade」と「Wendy」には大いに期待を寄せていた。ただ残念ながら、Wadeは依然β版の段階だ。筆者はキャンセル待ちリストGroup 21に載っているという。思い描くのは空中ケーブル付きの宇宙ステーションだ。そこから、乗組員の小グループがどこか見知らぬ場所へと連れ去られるのだ。Wadeは筆者と会うことを心待ちにしており、間もなくキャリアの冒険に加えることを約束している。Wadeと一対一で話せるのはいつだろう。AffdexMeの画面にもう一度目を向けて思う。永遠に待ち続けられるわけではない。
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