各種メッセージングアプリの長所と短所を比較
Apple「Business Chat」がショートメッセージに取って代わる日は近い?(2/2 ページ)
顧客との表現力豊かな会話
メッセージが送信されたら、それは対話として扱われるだろうか、それとも1回限りの通知として処理されるだろうか。
SMSではほとんどのサービスが一方通行のコミュニケーションだ。例えば、企業は技術者が訪問する時刻をユーザーに通知する。そのメッセージにURLを追加することもある。だが、企業がそのメッセージの返信を待つことはない。SMSをベースに構築した一部のシステムやサービスでは双方向のSMSを提供している。だが、その普及率や人気はそれほど高くない。プログラム可能なSMSはその性質上、コストが高くつくためだ。
ソーシャルメッセージングアプリケーションとBusiness Chatは対話を目的に構築している。顧客と企業はどちらも、送ったメッセージには必然的に返信があると想定している。これらのチャネルは履歴を保持しているため、メッセージやコンテキストがSMSよりも長く残る。
前述の表では、「表現力」がコミュニケーションの種類とその豊かさを指している。SMSは表現力に乏しく、メッセージを短くしなければならない。長いメッセージは分割してから連結する。絵文字、スタンプ、画像、動画にも制限がある。ほとんどの場合、企業がこれらのメッセージを送信するのは対話を続ける目的でランディングページへのリンクを共有するためだ。
ソーシャルメッセージングとBusiness Chatには、SMSに大きく欠けている豊かさが取り入れられている。その豊かさに加え、これらのチャネルではシンプルなフォーム入力機能も用意されている。ラジオボタンなどがその例だ。この機能が追加されたことで、botが実現可能となり、顧客との対話が改善できる。コンタクトセンターのコンテキストでもこれは役立つツールになる。コンタクトセンターではこのツールで実際にやりとりしている。
ID確認、ブランド設定による顧客と企業の支援
顧客と企業の間でコミュニケーションをする際は、コミュニケーション相手を把握する重要性が倍増する。顧客はそのやりとりを企業やそのブランドと結び付ける必要がある。
SMSでは、ブランドの設定や身分証明の方法が限られる。達成できる最大の手法がSMS Sender IDだ。これは、企業が番号ではなく、企業名で識別されるメッセージを送信できるようにする。この機能は特定の国でしか利用できない。また、使用できる長さと文字種の点でさらに制約を受ける。
ソーシャルメッセージングではもっと優れた身分証明機能とブランド設定機能が用意される。これは身分証明と確認済みのアカウントを使用するところから始める。アカウントでは企業が電話番号を使用する代わりにテキストで企業名を表現できる。顧客のコミュニケーション中の相手が企業であり、その企業に成り済ました別者ではないという確信を顧客に与えることができるため、確認済みのアカウントを使うことで詐欺の可能性を減らせる。
Appleは企業がメッセージスレッドに対してブランドを設定できるようにすることで、これをさらに一歩進めている。以下がその例だ。
支払いと価格設定について
顧客はSMS経由で商品の代金を支払うことができる。だが、この機能は世界的に見て、通信事業者、顧客、企業からあまり使用されていない。
アジア太平洋地域の大手ソーシャルメッセージングプラットフォームは、アプリケーション経由での支払い機能を備えている。LINEには「LINE Pay」、WeChatには「WeChat Pay」、Kakaoの「KakaoTalk」には「KakaoPay」がある。FacebookはFacebook Messengerに支払い機能を追加しているところだ。Telegramは支払い用ツールとして「Stripe」を統合している。メッセージングアプリケーション経由での支払い機能には、SMSの同機能よりもユーザーフレンドリーなインタフェースが用意されている。
Business Chatは「Apple Pay」と統合される。そのため、iPhoneユーザーは企業とやりとりした上でiMessage内から支払いが可能だ。面倒なことはほとんど関わってこない。
SMSは顧客にとっては無料だ。だがA2P SMS、つまり企業が送るメッセージやインターセプトするメッセージは安価とはいえない。米国の場合、メッセージごとに0.0075ドルが掛かり、企業にとっては最も高価なメッセージングオプションになる。ただし、価格はメール数、地域、サイズに応じて変わる。
ソーシャルメッセージングは、ソーシャルメッセージングアプリケーションと統合されている場合は無料なのが一般的だ。サードパーティーのメッセージングアグリゲーター経由で対応する場合、米国の価格はメッセージ当たり0.000001ドル程度になる可能性がある。
Business Chatはまだテストモードで、企業との統合は恐らく無料だ。メッセージングアグリゲーターを経由する場合はソーシャルメッセージングと同等の価格帯になるだろう。
価格と使い勝手に差があることから、企業は今後数年でSMSからソーシャルメッセージングへと移行するはずだ。市場が成熟するにつれ、企業は多様なチャネルで顧客とやりとりすることを目指すようになるだろう。
SMSは広く普及したチャネルだ。だが圧倒的に制限が厳しく、高価なオプションになる。Appleが市場に参入し、全てのiPhoneで利用可能なエンドツーエンドのサービスを提供している。それにより、通信事業者、Google、ソーシャルメッセージングアプリケーションには、さらに向上しなければならないというプレッシャーがかかっている。
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