各種メッセージングアプリの長所と短所を比較
Apple「Business Chat」がショートメッセージに取って代わる日は近い?(1/2 ページ)
ショートメッセージサービス(SMS)に限界が見え始めている。一方で「Business Chat」などのコミュニケーションツールは、顧客とコンタクトセンター間のやりとりの質を高めるものとして期待が集まっている。
ショートメッセージサービス(SMS)が滅びかけている。今や個人対個人の対話はほとんどない。アプリケーション対個人(A2P:Application to Person)のやりとりも減りつつある。SMSの成長度合いの推定値では減少を確認できないが、顧客の間では既にその価値が下がっているのが分かる。
企業がSMS経由で顧客と連絡を取る際に使うのはテキストチャネルだ。そのメッセージではマーケティングキャンペーンを共有することもあれば、ワンタイムパスワードや2要素認証コードを中継することもある。配送、渡航計画の変更、口座の入出金を顧客に通知する場合もある。
併せて読みたいお薦め記事
Apple「Business Chat」とは
ユニファイドコミュニケーションの動向
SMSの問題は、第2のスパムメール置き場と化していることだ。つまり、企業からの販促メッセージはこの置き場に届き、読まれることなく消えていく。SMSアプリケーションを開く理由は、オンラインサービスやアプリケーションへのログインに使用するPINコードを取得するためでしかない。場合によっては、そのようなプロセスさえ自動化している。
ここ数年、コンタクトセンターは顧客との対話の一部をテキストチャットに移行しており、SMS経由ではそうしたやりとりをしなくなっている。代わりに、コンタクトセンターのWebサイトはメッセージング機能を用意している。顧客は、チャットウィジェットで質問して回答を受け取ることが可能だ。こうしたチャットウィジェットは、強力なマーケティングツールや販売ツールになっている。この市場が伸びている証拠として、メッセージングに関するスタートアップ企業Intercomは最近、1億2500万ドルの資金を調達してユニコーン企業へと成長した。
急成長を遂げる「Facebook Messenger」「LINE」
こうした進化の次の段階が、企業と顧客間でのソーシャルメッセージングだ。個人対個人の対話では顧客のSMS離れが起きている。最近はソーシャルメッセージングアプリケーションの方が好まれるようになった「Facebook Messenger」「LINE」「WhatsApp」「WeChat」「Telegram」などがその例だ。これらのアプリケーションはいずれも月間アクティブユーザー数が1億人以上に成長しており、ネットワーク効果(注1)を通じてその価値を高めている。
※注1:ユーザー数が増えるほど、ネットワークの価値が高まり、ユーザーの便益が上がること。
ソーシャルメッセージングはSMSに対抗する安価な通信方法として始まった。だが、急成長を遂げ、SMSよりも強力で表現力豊かなツールになっている。最近では、ソーシャルメッセージングベンダーと企業は、最初の暫定措置としてソーシャルメッセージングチャネルを使用して顧客に対応するようになった。
Appleは「iMessage」によってSMSに独自の方式を導入した。この方式では、Appleの「iPhone」ユーザーは何もしなくてもSMSの代わりにiMessageでメッセージを交換することになる。特定のアプリケーションを選択する必要さえない。Appleはこのアプローチにより、かつて通信業者がSMSで構築した大規模なユーザー基盤を速やかに獲得した。同社は最近、企業向けチャット機能「Business Chat」をリリースした。これは顧客と企業が相互に交流する1つの方法になる。
SMS、ソーシャルメッセージングアプリケーション、Business Chatには、メッセージの豊かさ以外にも異なる点がある。本稿では、これらのチャネルを検討する際、リッチコミュニケーションサービス(RCS)は除外した。他のオプションに比べて対象範囲が極めて小さいためだ。RCSは将来的にその範囲を広げるかもしれないが、2018年には実現しそうにない。
| SMS | ソーシャルメッセージング | Business Chat | |
|---|---|---|---|
| 見つけやすさ | 電話番号経由 | アカウント経由 | 検索や「マップ」「Siri」 |
| 使いやすさ | 双方向のSMS、低い普及率 | ビルトインアプリ | ビルトインアプリ |
| 表現力 | 低い、テキストとURLのみ | 高い | 高い |
| 認証とブランド設定 | SMS Sender ID | 認証済みアカウント | 認証済みアカウントとブランド設定オプション |
| 支払い | SMSでの支払い | ビルトイン(場合による) | 「Apple Pay」 |
| 価格 | 高価 | 安価、または無料 | 安価、または無料 |
顧客に見つけてもらうための他のやり方
表の項目「見つけやすさ」とは、顧客が企業を見つけるメカニズムのことだ。SMSであれば、ユーザーは企業の電話番号を検索し、その番号にメッセージを送信することになるだろう。だが、メッセージを受け取った企業は、その顧客の電話番号が手に入る。これはスパムや悪用の要因になりかねない。
ソーシャルメッセージングでは、顧客はソーシャルネットワークを通じて企業とつながる。このチャネルでは、ソーシャルネットワークに参加して企業を検索するという、顧客の意識的な努力が必要になる。
Business Chatでは、ユーザーはAppleの「iOS」に搭載されているあらゆる検索システムを使って企業を検索できる。例えば「Siri」や「Safari」、検索、「マップ」などを利用できる。顧客が企業を検索すると必ず、その企業のBusiness Chat IDが表示される。そのため、企業にとってはBusiness Chatの方が強力なチャネルになる。
ソーシャルネットワークチャネルとBusiness ChatチャネルはどちらもWebサイトに埋め込むことが可能だ。この点にも注目する必要がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー