従業員エンゲージメントツールを含めるか、など
人事がRFPに盛り込むべきHRMシステムの要件と機能(2/2 ページ)
HRMシステムに何を求めるか?
基本的なHRMシステムでは企業が人的資源を管理できる。そうした管理をするために、従業員の雇用や、従業員の業績の管理と追跡に対応したツールセットが用意されている。また、業績に応じて異なるレベルの従業員報酬を決めるツールセットも備える。このようなHRMシステムは、HR部門やその他の経営幹部向けに労働力に関するレポートや分析も提供する。こうした中核機能に加えて、以下のような差別化要素となる機能も用意されている。これらの機能は、多くの企業にとってHRMシステムの極めて重要な要件になる。
- 従業員の業績確認プロセスと管理プロセスの使いやすさ、ワークフローの自動化
- 従業員の傾向と成果を示す業績分析レポートと、従業員の定着を後押しする予測分析
- 企業内で最高業績を達成している従業員や、離職する恐れが非常に高い従業員を推定する。
- 職務内容を簡単に作成および改訂できる機能
- 柔軟な報酬システム
- 標準報酬と成果給を同時に社内の異なる事業部門で利用できるようにする。
- 雇用活動で候補者を段階的に絞り込む機能
- 就職面接に向けて最も魅力的な候補者を探し出すために、HR部門が提供する精選された基準を利用する。
- 社内トレーニングシステム
- 従業員がトレーニングに登録し、オンラインクラスを受講して、指導者からの成績が付く。それにより、社内職務について認定を受けられる。
- 社内職務とプロジェクトに関する掲示板
- 社内にはさまざまなチャンスがあることを従業員に示す。
従業員エンゲージメントツールを求めているか?
HR関連ソフトウェアベンダーは、各種モバイルデバイスやソーシャルメディア形式のコラボレーションを通じて従業員エンゲージメントを向上する方法を機能として提供している。
これは、ほとんどのベンダーにとって発展途上の分野だ。大半の企業にとってもそれは変わらない。従業員エンゲージメント分野はまだ進化の過程にある。そのため、従業員エンゲージメントツールはコア機能やHR関連ソフトウェアほど成熟していない。セルフサービスの従業員エンゲージメントツールを提供するHR関連ソフトウェアベンダーに対して、企業は少なくとも2つのことを求めるべきだ。それは、使いやすいインタフェースを用意していることと、一般的なモバイルデバイス基盤をサポートすることだ。HRMシステムの要件として、企業は以下を含めることも検討が必要になる。
- 場所の制約がないプロジェクトコラボレーション
- ビジネスの差し迫った課題を解決しなければならない場合に、大企業の従業員が社内にいる各分野の専門家を素早く見つけられる機能
- モバイルデバイスから利用できる企業提供のオンライン講座
- 福利厚生の選択更新を目的に、モバイルデバイスを使用する従業員による企業のHRシステムへのセルフサービスアクセス
- 従業員の意見やアンケート調査
- 人事部長や上級管理者が社内の従業員満足度を評価できる
ソフトウェア導入とサポートにどのようなことを見込めるか?
HR関連ソフトウェアは導入やサポートが簡単でなければならない。そのため、ほぼ全てのHR関連ソフトウェアベンダーが、新しいソフトウェアを導入する手間を最小限に抑えることに重点を置いている。これには、新しいソフトウェアを既存のハードウェアやソフトウェアに調和させ、既存の企業システムと統合することも含む。
ただし、提供する導入やサポートの範囲を全ベンダーが具体的な条件で保証しているわけではない。そのため、見込めることをベンダーと共に明確にすることが大切だ。ベンダーからのサポートと回答が必要なソフトウェア導入とパフォーマンスの重要領域は以下の通りだ。
- 統合が必要な場合、新しいソフトウェアを企業の既存のソフトウェアやソフトウェアとどの程度統合できるか。また、統合にはAPIを利用するのか、サポート契約を結んだベンダー間でのパッケージ化された統合なのか、それともカスタム統合なのか。こうした疑問への回答が欠かせない。
- サービスレベルアグリーメント(SLA)で、システムの稼働時間とサポート義務(年中無休の稼働とサポートなど)を示す。SLAの対象にすべき要素は、他にもHR部門やIT部門からの質問、システムの問題を解決するための平均回答時間、テスト/実証済みの災害復旧計画などがある。
- サードパーティーデータセンターを使用しているクラウドベースのベンダーは、サードパーティーのデータセンターで障害が発生した場合の緊急時の対応策を整備していなければならない。
- ベンダーシステムとデータセキュリティの基準は、少なくとも顧客企業のガバナンスに求められる要件を満たしている必要がある。
HRMソフトウェアの価格とROIはどうなっているか?
どの企業にとっても予算は重要な検討事項だ。柔軟で拡張性の高い(スケーラブルな)HRシステムを用意する場合も同じことがいえる。HRソフトウェアベンダーはそれを認識しており、スケーラブルな価格とスケーラブルなソフトウェアの両方を提供している。多くの場合、これらは使用する従業員のユーザー数単位か、ソフトウェアで使用するモジュール単位に基づく。
また、これらのベンダーは価値を定量化するためにROI(投資収益率)の計算式を事前に構成している。ただし、企業は価格とROIについての話し合いに積極的に関わる必要がある。
- 実行可能なら、ソフトウェア投資の見返りを求めるために、HR部門と連携してベンダーの手を借りずにROIの独自の計算式を作るべきだ。見返りとニーズは全ての企業で独自になるため、ROIの計算式を作る上で決まった方法はない。ただし、大抵の企業は達成を見込んでいるコスト削減や時間節約といった要素に着目する。正確には、雇用、人材開発、重要な従業員の雇用継続などの分野で新しいソフトウェアを使用し、改善することによる削減や節約だ。
- 主要HRソフトウェア製品の機能と要素を理解することが重要になる。また、どのソフトウェアモジュールが追加料金を伴う拡張機能かを把握することも欠かせない。
- HRMシステムの要件により、IT部門やHR部門への追加投資が必要になるかどうかを評価する。例えば、自社ネットワークの拡張、モバイルデバイスの追加、トレーニングカリキュラムを作成するためのHR担当者の増員などだ。
- ソフトウェアを完全に購入する場合との比較で、リースの現実性について調査する。
HRベンダーは強力なビジネスパートナーになるか?
どのベンダーも新しいソフトウェアについて、十分に成熟した導入計画を提供している可能性が高い。また、その計画を指揮または共同指揮する献身的なプロジェクトマネージャーも用意するだろう。ほとんどのベンダーは、新しいソフトウェアに関するHR担当者やIT担当者向けのオンサイトトレーニングに加え、製品を支援する優秀なサポート組織も備えている。
賢明な判断を確実に
HRMシステムの具体的な要件を確認したら、主要HR製品を調査することになる。実際には、評価する変動要素は多数存在し、賢明な判断を確実に下すにはそれら全てを評価しなければならないだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
「IBM iはDXのボトルネック」は誤解 意外と知らない今風モダナイズの効果
-
6
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
7
「朝8時にバッチが終わらない」データ爆発の危機をJPX総研はどう乗り越えたか
-
8
AI導入後に発覚する「社内文書を読めない」問題 情シスは何を直せばいい?
-
9
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
10
「Windows 10」が入ったままの“Windows 11未移行PC”に残された延命手段
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
5
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
6
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー