IT部門の管理が不要で成功した例もある
RPAソフトウェア導入を成功させる「3つのアプローチ」とは(2/2 ページ)
自動化の「SPARC」
現在、Fannie MaeにはRPA研究拠点、RPA配信チーム、RPA運用指揮センターを抱えている。これらはいずれも、SPARC(Smart Process Automation and Robotics Center)の管轄下にある。SPARCは、技術部門と事業部門の18人の職員が共同で運営しており、スクラム開発手法を使ってプロセスの自動化を進めている。これまでに、22の社内プロセスがSPARCによって自動化された。
この作業経験から、RPAソフトウェアが他のアプリケーションの影響を受けやすいことが分かった。他のアプリケーションに適用した更新プログラムやパッチによってbotが影響を受けたり、運用不能に陥ったりしないように、厳密な変更管理手法が必要になる。また、RPA環境の整備について「環境全体が問題なく稼働していることを確認する毎日の再編成の頻度面でメリットがある。botはジョブでミスをすることがない」とカーン氏は説明する。
RPAとIT部門の3つの関わり方
RPAの導入全てに同レベルの配慮が必要なわけではない、とレポフスキー氏は話す。一部のRPAソフトウェアベンダーは、事前プログラム済みの部品(コードブロック)を用意して、企業がbot作成に利用できるようにしている。コードブロックを組み合わせる方法は簡単で、事業部門チームでも自力でbotを作成できるという。
「bot構築のために専門性の高い開発者を雇わない。自動化対象のプロセスを理解していれば、基本的にはドラッグアンドドロップで作成できる」(レポフスキー氏)
電力会社Duke Energyでは、KofaxのRPAソフトウェアを2017年に導入し、既にあるコールセンターの自動化プロセスの幾つかを最新式にし、高度化した。このRPA導入について、同社でデジタル戦略マネジャーを務めるポール・ワトキンス氏が話した。
RPAによるコールセンターのプロセス自動化以降、経理、人事、サプライチェーン、ITなど、さまざまな部門のマネジャーがRPAプロジェクトに興味を示し、取り組みを進めているそうだ。
ワトキンス氏がKofaxを選んだ理由は、社内にRPAを広めるためもあるが、IT部門以外のスタッフの技術知識レベルでも利用できる点にあった。
「スタッフが理解できる自動化ツールを提供したかった」(ワトキンス氏)
ワトキンス氏によると、RPAプロジェクトへのアプローチは3つあるという。事業部門がRPAプロジェクトに取り組むITチームを擁するか、専門サービス会社と連携するか、RPAプロジェクトの大部分を遂行する独自の従業員を活用するかだ。
ワトキンス氏は、RPAの成功には大抵のソフトウェア導入と同様に技術チームと事業チームが連携する必要があるという考えを示しながらも、「IT部門からの援助をほとんど受けずに自動化を行っているチームもある」と話す。
技術チームと事業チームの連携に関しては、KofaxのRPAテクノロジーの採用と導入の主導権はIT部門が握っていたとワトキンス氏は言う。技術チームはセキュリティの問題や、タスクの遂行に必要なアプリケーションに基盤からアクセスできるようにするといった環境のリエンジニアリング(再設計)の問題に対処する必要があった。また、当初は予想していなかった作業であるが、botを運用に移すに当たり、botをサポートするよう仮想環境を設計し直す必要もあった。
「何が制約になるのかは、設計を始めた時点では分からない。そのため、いつでも対応できるように準備して、素早く適応できる必要がある」とワトキンス氏は言う。そして、そのような体制を整えるには、事業チームと技術チームの緊密な連携が必要になると補足した。
同時に、RPA導入によって、追加の技術スキルに対するニーズも明らかになった。特に、プログラミングとネットワーク関連のスキルと、データベースのアクセスとアーキテクチャ関連作業のスキルだ。
事業部門のユーザーがbot作成者になる
RPAプロジェクトへの着手に当たり、このようなIT部門の協力がある企業ばかりではない。中には、IT部門が実質的に全く関与しない企業もある。
その一例が、国際的なソフトウェア企業ABBYYだ。
ABBYYでグローバルマーケティングのシニアバイスプレジデントを務めるブルース・オーカット氏は、同社がRPAテクノロジーを採用した目的を、営業部門における潜在顧客や潜在需要の管理に関するプロセスの自動化だと説明する。同氏は、プロセスの自動化によって、スタッフの作業時間が削減され、より短時間で処理可能な、より効率的なプロセスを作成できたという。
「プログラマーにならなくても、このようなソフトウェアロボットを作成できる。技術知識を持ったビジネスパーソンになれる」。オーカット氏はこのように話し、同社ではデジタル変革への取り組みの一環として、2016年からオープンソースツールを使ってプロセス自動化を行っていると説明した。
「RPAはIT部門のネットワークに触れ、インフラを利用するのだから、初期段階はIT部門が関与すべきだ。だが、基盤が整って稼働したら、事業部門のユーザーが自分で管理できるようになる。事業部門のユーザーは、コードを記述したり、製品を開発したりすることはないが、プロセスを構成して問題を解決するだけの十分な技術知識がある」(オーカット氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
7
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
10
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー