GDPR対策の強固な基盤になる可能性
Office 365のできること、できないこと データ保護機能は十分?
Microsoft「Office 365」は高度なデータ保護機能を搭載しているが、全ての機能が十分なわけではない。セキュリティとストレージ管理機能の概要と、補完すべきポイントとは?
Microsoft「Office 365」は2011年にリリースされて以降、利用者を増やし続けている。Microsoftの発表によれば、商用環境でのOffice 365のアクティブユーザーは1億2000万人に上るという。ITプロフェッショナルがOffice 365の導入に対応する機会も増えている。そのため、Office 365のデータ保護戦略の策定と適用がITプロフェッショナルの仕事リストの上位にくるようになった。
2018年3月、Osterman ResearchがOffice 365の成功を裏付ける内容の「Supplementing the Limitations in Office 365」(Office 365の制限事項を補完する)というホワイトペーパーを作成した。この調査によって、中~大規模企業の社内ユーザーのOffice 365普及率が2014年には5%だったのに対し、2018年1月には60%以上になり、年々着実に上昇していることが明らかになった。Osterman Researchはさらに、企業におけるOffice 365普及率が2019年1月までに80%近くまで上昇すると予測している。
同ホワイトペーパーではOffice 365について、優れた機能が多いとしながらも、全ての機能が十分なわけではないと評価している。ただし、Office 365が不完全だとは評価していない。むしろ、Office 365は多くの場合、サードパーティーやMicrosoft自身の製品と統合することで、通信、共同作業、セキュリティ、アーカイブ、バックアップと回復、コンプライアンス、ストレージなどの要件を完全に満たすことができる強固な基盤になり得るとしている。特に、中~大規模企業環境でOffice 365のデータ保護機能やストレージ管理機能を利用する場合は、この評価がよく当てはまる。
Office 365データ保護機能の実力
Office 365のデータ保護機能の中には、機能を完全に実現するにはサードパーティーのサポートが必要になるものがある。その一例が「アーカイブ」だ。アーカイブ機能は、Office 365のコンテンツの種類全てに対してネイティブに利用できるわけではない。例えば、「SharePoint」、特定のツールの追加メッセージ(Appleの「iOS」とGoogleの「Android」のSMSメッセージなど)、サードパーティー製コンテンツなどはアーカイブがサポートされない。これらの種類のメッセージを適切にアーカイブするには、サードパーティー製品を利用する必要がある。
「Office 365 Message Encryption」は、2017年にOffice 365の暗号化機能が「Azure Information Protection」と「Azure Rights Management」に結び付けられ、大幅に改善、簡素化された。サインイン制限も緩和された。
以下に、Office 365に用意されている高度なデータ保護機能を幾つか紹介する。
- 「Advanced Threat Protection」:「Exchange Online」「SharePoint Online」「OneDrive for Business」「Microsoft Teams」でリンクと添付ファイルをチェックして、既知の脅威、未知の脅威、新しい脅威をブロックする。
- 「アドバンストデータガバナンス」:Office 365 Enterprise E5バージョンのサービス機能。データの生成時に、機密度のラベルを自動的かつ能動的にデータに適用する。
- データ損失防止ポリシー:SharePointやOneDrive for Businessドキュメントの機密データに対する、望ましくないアクセスや外部共有を特定してブロックする。また、外部共有できないようにドキュメントをロックする。
複数地域機能(Multi-Geo)とGDPR
Microsoftは、「複数地域機能(Multi-Geo)」という新しい有料サービスを用意している。これは、1万人以上のOffice 365ユーザーがいる企業が、複数の関連テナントを複雑な手順で設定しなくても、単一のOffice 365テナントを複数の地域に展開し、それぞれの地域にデータを分けて保存できるサービスだ。最初はExchange Onlineのみで、その後はOneDrive with SharePoint Onlineでも使えるようになる。この機能は、コンテンツとデータを複数のローカルOffice 365データセンターに分けて保存できるため、データ保護に関する法規制、管理、コンプライアンスにプラスの影響をもたらす。
Office 365のデータ保護は、欧州連合(EU)の「一般データ保護規則」(GDPR)を順守する上で特に重要になる。GDPRは、忘れられる権利を保証することを含め、EU居住者の個人データを保護することを目的としている。2018年5月25日以降、企業はGDPRに従う必要がある。
Office 365でできることとできないこと、Office 365のデータ保護機能を補完すべきポイントを知ることが、緊急性を帯びている。GDPRを順守しない場合に課される罰金は、大企業にとってさえも、突然かつ非常に高額な出費だ。Office 365のデータ保護を利用する場合のほか、EU居住者の個人データを取得、処理、保存する可能性がある他の分野のITを利用する場合も、GDPRの対象となる。
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