マンガで解説:ありすぎて泣けるIT課題
なぜビジネスインテリジェンス(BI)の使い方はこんなに難しいの?
BI(ビジネスインテリジェンス)を導入して、「これでMicrosoft Excelのレポート作りは卒業!」とみんな喜んでいたはずなのに……データ分析の難しさに戸惑っている人が、ここにも一人います。
せっかくBI(ビジネスインテリジェンス)を導入したのに、「従業員がいつまでたってもBIの使い方を理解してくれない」「そもそもBIを使ってくれない」などの理由でBIの活用が進まない事例は、枚挙にいとまがありません。とある中堅企業のA社もそんな状況に陥りかけています。
BIを導入する前から各種集計やレポートを作成していた人にとっては、BIの導入によって「作業から解放される」と思っていたのに、操作の問い合わせ対応に奔走することになったり、BIでは思うようなレポートが出せないからという理由で、相変わらず集計やレポートの作成を依頼されたり……となって、以前より忙しくなってしまう――こんな未来もあり得るでしょう。「そうはさせないぞ」と奮起した、A社で働く謎の魔法使いさんも、いざBIを起動してみると、次々現れるグラフや表を前にして大混乱。お得意の魔法をどう使ったらよいかも分からない状態になってしまいました。
本来ならばBIの各機能により、従業員が自分自身でデータを分析できる環境が整っているはずなのに、なぜそんな事態に陥ってしまうのでしょうか。
BIは導入してもメリットがない?
BIではなく勤怠管理システムや、経費精算システムの導入であれば、従業員は何とかシステムの操作方法を習得して使おうとするでしょう(不満が全く出ないということはありませんが)。システムを使用しないと、給料や交通費、接待費などを支払ってもらえないから――つまり自分に不利益が生じるからです。一方でBIは、使わなくても自分が不利益を被ることはありません。
さらに問題なのが「自分はデータを分析する立場ではなく、データを見て判断を下す立場だ」と思っている人の存在です。このような人にとっては、いきなり「BIを導入したから、BIの操作を覚えて自分で作業してデータを分析しなさい」と言われても、負担が増えるだけでメリットがありません。BI導入以前は担当者に依頼すれば、タイムラグがあるとはいえ、自ら作業することなく提出された集計やレポートを確認して判断できていたからです。
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BI使用、第1の壁:分析作業は判断に必要ない?
企業は事業を存続させるために、さまざまな判断をしなければならず、判断する立場の人の責任は重大です。業務量も膨大なことが多く、分析に時間をかけている余裕はないのかもしれません。本当に重要なことは、いかに素早く、より適切な判断ができるか、のはずです。データが準備されていない状況での判断であれば、過去の経験を基にしつつ論理的な判断をするしかありません。
データが準備され分析可能な環境が整っている状況にもかかわらず、誰かがまとめた集計やレポートの到着を待つような人は、できるだけ素早く判断をしようという意思がないともいえます。もし、より適切な判断をしようと心掛けているのであれば、他人が分析した内容の是非を判断するよりも、自分も含め関係者が同じデータをさまざまな観点から分析して意見を出し合う方が、適切な判断を下せる確率を高めることができるのではないでしょうか。
BIはこのように、素早く、より適切な判断を下すために必要な機能を実装しているツールです。より適切な判断をしようと考えている人であれば、BI導入による自分への負担をデメリットと感じることは本来ありえないはずなのです。言い換えれば、判断を下す側であることを理由にBIを使いたがらない人は、判断を下す立場であるといっても、より適切な判断をしようとは考えていない可能性が高いのです。
BI使用、第2の壁:分析には決められた手順がない
学生時代に学んでいた数学では、ほとんどの場合、解き方と正解がありました。企業活動においても、見積書や貸借対照表、損益計算書の作成などは、しかるべき手順が明確になっています。手順を覚える手間は掛かりますが、覚えてしまえば、その作業に迷うことはほとんどありません。ところが分析となると、同じように数字を扱うにもかかわらず、どうしたらよいか分からなくなってしまう人がいます。
「分析」を辞書で引くと、その意味は「複雑な事柄を一つ一つの要素や成分に分け、その構成などを明らかにすること」(出典:デジタル大辞泉)と説明されています。しかし、企業における分析は、構成を明らかにすることを目的としてなされることはほとんどありません。何らかの課題があり、その課題の原因を探り、対策を立案・実行し、その結果を検証するために、分析をしています。
例えば「前年と比較して売り上げが10%下がっている」という課題に対して、
- 全製品の売り上げがおしなべて下がっているのではないか
- 特定の製品のみ下がっているのではないか
- 一部の地域でのみ売り上げが下がっていることが影響しているのではないか
- 値引き回数が前年より増えているのではないか
などの仮説を立てて、売り上げ減少に影響を及ぼす主要因を探し、その要因に適切な対策を施す、といった具合です。このような分析は「探索型データ分析」とも呼ばれています。探索型データ分析では、この手順で分析するといった約束事はなく、BIに実装されているドリルダウン機能(年、月、週、日など階層構造になっているデータを層ごとに深堀りしてデータを表示する機能)や、任意の2つの項目からクロス集計を作成する機能などを駆使して仮説を裏付けるデータを探すことになります。
このように分析作業は、数字を扱う業務にもかかわらず、手順が明確になっていません。このことが、BIの使い方が分かりにくいといわれる要因になっています。
BIの活用の鍵とは
ところがBIという枠組みを外せば、課題に対して仮説を立て、その原因を特定し、対策を立案し、実行するといったサイクルは、企業内で日常的に回されています。トヨタ自動車の生産現場における「なぜなぜ分析」や、ロジカルシンキング手法の一つである「ロジックツリー」などの手法を使って課題解決をしている人も多いでしょう。BIは課題に対する原因を数字によって特定するためのツールだということさえ理解できれば、決してBIの操作は難しくありません。
BIを導入して上手に活用するためには、BIを使用する側が陥りがちな壁を認識し、あらかじめ対策を準備しておくことが大切です。
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