小中学校の授業向けIT製品徹底ガイド【第2回】
IT活用授業の基本中の基本 「大型提示装置」「実物投影機」とは?(2/2 ページ)
「実物投影機」の主要なタイプ
実物投影機は、通信タイプと可搬性の違いによって大別される(図2)。その他、解像度によって価格帯が異なってくる。
通信タイプの違いによるメリット、デメリット
通信タイプ別に見ると、一般的に有線型の実物投影機の方が、無線型よりも安定的に動作する傾向がある(表3)。配線に問題がなければ有線型を選択し、配線が授業の妨げになる、あるいは屋外などLANケーブルを配線しにくい場合のみ、無線型を選択することが望ましい。
| タイプ | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 有線型 | ・一般的に通信が安定しやすい | ・配線が邪魔になってしまうケースがある |
| 無線型 | ・配線が不要で移動がしやすい | ・無線LAN環境がないと通信ができない |
可搬性の違いによるメリット、デメリット
実物投影機を1クラスに1台ずつ整備可能な場合は、常設型にして常時活用可能な形にしておくと、活用が進みやすい(表4)。予算の都合上、全クラスへの整備が難しい場合は、なるべく小型で移動しやすい移動型の製品が望ましいと考える。
| タイプ | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 常設型 | ・移動型と比べて高解像度で映すことができる | ・1クラスに1台を用意しないと移動や設置に手間がかかるため、使われなくなる可能性がある |
| 移動型 | ・使うときだけ動かして使うことができる | ・小型であるため機能が限定されるケースがある |
「大型提示装置」「実物投影機」の選び方
大型提示装置や実物投影機の製品選定時のポイントは、以下の3点だ。
- 全教室へ常設可能な機器整備をする
- 教員にとって使いやすい配置が可能な製品を選択する
- 消耗品のコストも含めて検討する
選定ポイント1.全教室へ常設可能な機器整備をする
大型提示装置や実物投影機は、タブレットをはじめとする児童生徒のIT活用に当たって必須の機器だといえる。高機能・高性能の機器を数台入れるよりも、多少グレードが低くても全教室に常設可能な台数を確保することが肝要だ。
例えば電子黒板機能でいうと、文部科学省は2017年8月に示した「学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議 最終まとめ」(以下、ICT環境整備最終まとめ)において、電子黒板の整備を推進するこれまでの方針を転換。電子黒板に限らず、大型提示装置の整備をすべきだと記載した。これは「電子黒板機能を持つことを必須としない」と解釈でき、結果として1台当たりの整備コスト減につながり得る。
ICT環境整備最終まとめでは、中学校においては実物投影機の導入を必須としていない。実物投影機がない場合でも大型提示装置があれば、デジタル教科書やデジタルカメラの映像、問題を瞬時に切り替えて次々と表示する「フラッシュ型教材」などと組み合わせて利用することで、実物投影機の役割をある程度代替できる。
選定ポイント2.教員にとって使いやすい配置が可能な製品を選択する
教育現場で大型提示装置と実物投影機がきちんと活用されるためには、「教員にとって使いやすい配置が可能かどうか」がポイントとなる。教員にとって使いやすい配置とは、教員が実物投影機で作業をする際に児童生徒の顔が見え、横目で大型提示装置を確認できる、といった配置だ(図3、4)。
学校ごとの配線事情によって、実現可能な配置はおのずと限られるだろう。教員が使いやすい配置が可能かどうかを見定めた上で、詳細なスペックの検討に移るべきだ。
選定ポイント3.消耗品のコストも含めて検討する
一般的に通常投影/単焦点プロジェクター型の大型提示装置の場合、定期的にランプの交換が必要となる。こうした消耗品はそれなりのコストがかかる。予算を継続的に確保できずに交換できなければ使われなくなり、装置を整備した意味が失われかねない。
繰り返しになるが、大型提示装置と実物投影機はIT活用の基礎となる要素だ。教室の環境に沿った整備を目指してほしい。
執筆者紹介
高橋 純(たかはし・じゅん) 東京学芸大学教育学部准教授 博士(工学)
1972年神奈川県生まれ。修士(教育学)、博士(工学)。園田学園女子大学情報教育センター助手、富山大学人間発達科学部准教授を経て、現在、東京学芸大学教育学部准教授。教育工学、教育方法の改善、教育の情報化に関する研究に従事。第17回日本教育工学会研究奨励賞受賞。中央教育審議会専門委員(初等中等教育分科会)、学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議委員、日本教育工学協会副会長など。
粟田 輝(あわた・あきら) チエル社長室長
1982年広島県生まれ。2008年、慶應義塾大学大学院理工学研究科・開放環境科学専攻修了。2008年、日本総合研究所入社。2018年から現職。これまで教育関連企業向けのコンサルティングを多数実施し、企業の目線から教育現場へのIT導入などを推進。最近は各種執筆や勉強会での講演など、精力的に活動している。
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小中学校の授業向けIT製品徹底ガイド
教育機関に役立つIT製品には、どのようなものがあるのか。本連載では急速にIT化が進む小中学校の授業でのIT活用に焦点を絞り、幾つかのカテゴリーに分けて、授業に役立つ主要なIT製品分野を紹介し、各IT製品分野の選定ポイントをまとめる。
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