「1人1台タブレット環境」も見据える
“使われない電子黒板”をなくすには「常設化」しかない――青山学院初等部 井村教諭(1/3 ページ)
普通教室におけるIT整備の最初のステップとして、電子黒板を導入する教育機関は多い。タブレット導入も見据えて電子黒板を整備・運用していくポイントは何か。青山学院初等部の事例を紹介する。
青山学院初等部(東京都渋谷区)は2012年、電子黒板の導入を皮切りにIT整備を本格化した。同校では、タブレットの1人1台体制を将来のゴールに描きつつ、まずは普通教室と一部の特別教室に電子黒板を導入した。その後、4年生を対象にタブレットを試験的に活用するなど段階的取り組みを進めている。
小学校や中学校のIT整備は、電子黒板やプロジェクターなど大型提示装置の導入から着手し、それから段階的にタブレット導入へと取り組みを広げていくケースが多い。それはなぜか。デジタル教科書や資料の提示、学習者の理解を促すための拡大表示など“見せる”ことが目的のIT活用であれば、これまでの一斉授業のスタイルを大きく変えることなくITを導入できる可能性が高いことが理由の1つだ。
一方で、タブレット活用の動きが活発化している最近では、電子黒板の導入・活用についても、将来的に学習者がタブレットを活用することを視野に入れて進める必要がある。青山学院初等部も電子黒板を導入した翌年の2013年にタブレットを10台を借用して試験導入するなど、双方向型の授業に挑戦している。本格的なタブレット導入を見据えて、現場ではどのようにITの整備や活用を進めているのか。青山学院初等部の事例を紹介する。
変更履歴(2016年4月6日19時15分)
記事掲載当初、1ページ目で「青山学院初等部も電子黒板を導入した翌年の2013年にタブレットを10台導入し、双方向型の授業に挑戦している」としていましたが、より事実関係を明確にするために「青山学院初等部も電子黒板を導入した翌年の2013年にタブレットを10台を借用して試験導入するなど、双方向型の授業に挑戦している」と変更しました。
加えて3ページ目で「1人1台のタブレット環境を試験的に整備している4年生の教室」としていた箇所は、正しくは「4人で1台のタブレット環境を試験的に整備している4年生の教室」です。また「タブレットの1人1台環境を他学年にも拡大する青山学院初等部」としていた箇所は、正しくは「タブレットの4人1台環境を他学年にも拡大する青山学院初等部」です。おわびして訂正します。本文は修正済みです。
導入したのに使われない電子黒板
青山学院初等部は2012年12月、普通教室のIT整備に本格着手した。「子ども一人一人が輝く授業」をコンセプトに掲げ、教員主導の授業から児童主体の授業への移行を目指してITを授業で活用している。
最初のIT整備として青山学院初等部が進めたのは、電子黒板の導入だ。1年から6年まで各学年に1台ずつの計6台を配備。併せて実物投影機(書画カメラ)やドキュメントスキャナーも整備した。大型提示装置である電子黒板を中心に、デジタル教科書や資料の提示、拡大表示など“見せる”ことを目的にしたIT機器を導入した形だ。
電子黒板の導入を真っ先に進めたのは、将来的なタブレット1人1台環境に向けた“地ならし”の意味が大きいという。青山学院初等部でIT導入の陣頭指揮を執る井村 裕 教諭は、「いきなりタブレットを導入するよりも、電子黒板や実物投影機を先に導入する方が、今までの授業スタイルを変える必要もなくITを取り入れやすいと考えた」と語る。
いずれ1人1台のタブレット環境を本格的に開始するとしても、電子黒板がなくなることはない。児童が自分の考えをクラス全員に発表したり、質問への回答を一斉表示したりする際に、電子黒板は大いに役立つからだ。そうであれば、まずは教員に電子黒板の使い方や、ITを活用した授業の進め方に慣れてもらうことを最優先すべきだ――。青山学院初等部はこうした考えの下、電子黒板の導入を進めていった。
常設化が利用促進の鍵に
期待が込められた電子黒板だったが、導入初年度は「活用頻度が低かった」と井村教諭は打ち明ける。当時は廊下に電子黒板を置き、教員が必要なときにいつでも使えるようにしていたが、結果としてあまり使われなかったというのだ。
2年目からは、電子黒板の共用を取りやめ、普通教室への常設を進めた(写真1)。具体的には、2012年に6台の電子黒板を導入した後、2013年に7台、2014年に15台を段階的に導入。全普通教室と特別教室の一部に計28台の電子黒板を完備した。
「常設にできるかできないかが、電子黒板の利用率に大きく関わる」と井村教諭は語る。電子黒板を共用すると、使用のたびに大きな電子黒板を移動する必要がある。すると移動作業やその後の設定が大変で、誰も使いたがらないという。
常に教室に電子黒板があれば、こうした負荷は掛からない。電子黒板の常設化によって、教員が本当の意味で「必要なときにいつでも使える」環境が実現できるのだ。
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