失敗しない「学校IT製品」の選び方:電子黒板編
「電子黒板」の主流が“移動式”から“常設”に移る切実な理由(1/2 ページ)
クライアントPCの画面を大画面で共有でき、画面に直接書き込める「電子黒板」。利用形態の変化とともに進化する電子黒板について、普及の背景も踏まえつつ解説する。
教育機関がIT導入を進める際、無線LANやタブレットとともに、必ずといっていいほど検討対象に入るのが「電子黒板」だろう。電子黒板はその名の通り黒板を電子化したものであり、授業や講義で教員が学習者に教えるために使う専用機器だ。電子黒板を使うと、教員が学習者に教えたい内容や共有したい内容を大きな画面で投影できる。
一口に電子黒板といっても、その種類は幅広い。さらに、教育機関でのIT活用環境の変化に合わせて、電子黒板の導入形態にも変化が起こりつつある。本稿では、電子黒板が普及した背景や電子黒板の主要な製品タイプを整理した上で、教育機関における電子黒板の有効性を考える。
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日本国内の電子黒板の普及状況
電子黒板は、米国や欧州では10年以上前の2000年代初頭から順調に普及している。私が所属する日立ソリューションズや日立製作所が扱ってきた電子黒板「StarBoard」も、1990年代に製造を開始し、ヨーロッパを中心に10年以上よく売れ続けている製品だ。
一方、日本国内で電子黒板の本格的な導入が開始されたのは比較的最近のことである。発端となったのは、2009~2010年ごろの「スクール・ニューディール政策」だ。スクール・ニューディール政策では、主に公立小中学校を対象に、学校の耐震化や太陽光発電の導入と併せて、電子黒板をはじめとするIT機器の導入を推進した。
電子黒板は、海外の教育機関ではそれなりに一般化した設備である。にもかかわらず、国内の電子黒板の歴史はまだ数年しかないともいえる。各小中高校に導入されている電子黒板は、その多くが初めて導入された“第1世代”だ。
日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)が2014年5月に発表した「第9回 教育用コンピュータ等に関するアンケート調査」の結果によると、小学校・中学校の合算では電子黒板の整備率が75.3%と8割近くに達する。ただし、この数値は全教室に電子黒板を導入した学校の割合ではなく、1台でも導入していれば「電子黒板整備済み学校」と判断して算出したものだ。
教室への電子黒板の導入は、まだまだ試験的なものにとどまっているのが現状である。全ての普通教室に電子黒板が据え置かれ、いつでも自由に使える状況になっている教育機関はそれほど多くない。
ただし、この数年で状況が変わりつつある。文部科学省や総務省の実証実験やさまざまな目標値が出てきたことで、教育機関のIT導入ニーズの高まりとともに電子黒板の導入は全国的に右肩上がりに伸びてきている。
文部科学省が2014年9月に発表した「平成25年度 学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」によると、2014年3月時点で、電子黒板は全国の公立学校(小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校)で8万2528台が導入され、前年度から1万台以上の増加となった。ただし、1教室当たり1台の電子黒板を配備するとなると、なんと全国の教室で47万台が導入されることになる。つまり今後、従来の5倍以上の電子黒板が整備される必要があるのだ(図1)。
“旧世代”の電子黒板の3タイプ
“第1世代”、いわば“旧世代”の電子黒板は、大きく3つのタイプに分類できる(図2)。
タッチディスプレイ型
1つ目は、2009年当時から最も導入が進んだと考えられる、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどを採用した「タッチディスプレイ型」と呼ばれるタイプだ。このタイプを学校単位または階単位に整備している教育機関が多い。タッチディスプレイ型電子黒板にはキャスターが付いているので、必要なときに予約をして、休憩時間に設置場所から教室へ移動させて利用する。
タッチディスプレイ型は、画面サイズが最大でも50インチ程度と、家庭のリビングに置いてあるテレビとそれほど変わらない。つまり、リビングと比べてかなり大きな教室には画面が小さ過ぎる。その割にはスペースを取りがちで、置き場所や用途が限られてしまうのだ。
プロジェクター一体型
2つ目は、プロジェクターに電子黒板機能を内蔵した「プロジェクター一体型」と呼ばれるタイプだ。スクリーンやホワイトボード、黒板などに画面を投影し、電子ペンなどを使って画面の操作や書き込みができる。タッチディスプレイ型と同様にキャスターで移動できる製品もあるが、さらに多くのスペースを取ることが多く、そのため活用の頻度が制限されてしまう。
プロジェクターを採用した電子黒板の中には、プロジェクターと専用スクリーンボードを組み合わせて1つの筐体にした「ボード型」といわれる製品もある。ボード型は短焦点型プロジェクターを採用し、前面からプロジェクターでスクリーンボードに投影する形を採る。プロジェクター一体型とボード型は、基本的にはプロジェクター部とスクリーンボード部とが一体化しているか分離しているかの違いしかない。投影方法が異なる同じ種類の電子黒板だと認識していただいてよいだろう。
ユニット型
3つ目は「ユニット型」と呼ばれるもので、ペン操作やタッチ操作といった電子黒板機能を後付けで手軽に使えるようにした製品である。画面は別売のプロジェクターを使い、黒板やホワイトボードへ投影する。小型で持ち運びがしやすい手軽さが評価されて導入に至る傾向が強く、今後も別の電子黒板を導入した上でのオプション的な位置付けとして生き残るだろう。
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失敗しない「学校IT製品」の選び方
教育機関がIT製品を導入する際、どのような点に気を付けて製品選定を進めればよいのか。製品分野の基礎知識をおさらいしつつ、製品選びのポイントを伝授する。
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