Azure Cosmos DBもバージョンアップ
SQL Server 2019の新機能 Hadoop、Sparkを内包して企業の「データポータル」に?
SQL Server 2019プレビュー版にHadoopとSparkが組み込まれ、「多目的データポータル」に位置付けられることになった。同時にAzure Cosmos DBもアップデートされる。
Microsoftは2018年9月「SQL Server」がリレーショナルデータ以外のさまざまなデータモデルも扱えるようになると発表した。
同社は、データ分析フレームワークの「Apache Spark」(以下、Spark)と、分散処理フレームワーク「Apache Hadoop」(以下、Hadoop)用の「Hadoop分散ファイルシステム」(HDFS)が利用可能な「SQL Server 2019」プレビュー版を、さまざまな機械学習パッケージとともにリリースした。これにより、SQL Serverを導入している多くの店舗で、SQL Serverを大規模なデータ分析のテスト環境として利用できるようになる。
SQL Server 2019プレビュー版のデータベース管理システム(DBMS)には、オープンソースのHadoopコンポーネントが含まれている。追加されるのはHDFSとSparkデータ処理エンジンだけではない。Hadoopに接続するための認証システムである「Apache Knox Gateway」、セキュリティフレームワークの「Apache Ranger」、タスク管理サービス「Apache Livy」も利用可能だ。これらの機能はSQL Server 2019の一部であるKubernetesクラスタのLinuxで使用できる。
近年、Sparkは、ビッグデータ処理の最先端を行く組織のためのツールとなっている。Sparkを使うことで、大規模な分析、データ抽出、変換、コンバージョン、機械学習などの作業ができるためだ。
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しかし、SparkとHDFSのインストールは、SQL Serverを使っている大半の店舗にとっては難しい。これに関して、フロリダ州オーランドで開催されたMicrosoft Ignite 2018カンファレンス(以下、Ignite 2018)では、SQL Server 2019のSparkとHDFSについて以下のニュースが発表された。
「基本的にMicrosoftは、HDFSとSparkの実行に必要なインストールプロセスを、SQL Serverにバンドルする予定だ。われわれの顧客の大半はビッグデータ処理のためのインフラ構築を重荷に感じているため、これは非常に重要だ」テクニカルサービスを事業とするPythianのコンサルタント、ワーナー・チャベス氏は述べる。
調査会社Constellation Researchの主席アナリストであるダグ・ヘンシェン氏は「ビッグデータインフラを持たない組織が新規導入を検討する際に、このバンドルが注目される可能性は大きい」と語った。
同氏はこう続けた。「SQL Serverを利用している店舗が将来のデータプラットフォーム戦略を計画するのにも役立つ」
「データ科学者やデータアナリスト、さらには先進的なデータベース管理のデータ型でさえも、SQLデータベースのデータとHDFSなどのビッグデータを混合して処理するようになってきている。彼らはログファイル、ソーシャルストリーム、モバイルアプリのJSONデータ、Webサイトの訪問履歴、その他さまざまな非構造化データを収集している」とヘンシェン氏は語った。
「SQL Server 2019は、これらの非構造化データを単一のDBMSプラットフォームに集約する。このDBMSプラットフォームはオンプレミスまたはIaaS(Infrastructure as a Service)で提供されるクラウドに構築され、Kubernetes上で動作する。これにより、異なる性質のデータを同時に扱うことへのニーズに応える」と同氏は言う。
「2018年9月24日に一般公開された『Azure Data Studio』は、SQL Server 2019を組み合わせることで、SQL Server内の構造化データへのアクセスが可能になる。加えて、SQL Serverの全てのデータ、およびSQL Serverと同じプラットフォームにあるSparkへ索引形式でアクセス可能である。これらのデータアクセスは1つの開発者向けインタフェースで実行できる」、とヘンシェン氏は語る。
SparkとHDFSによる大規模なデータクラスタリング機能は、MicrosoftのSQL Server 2019の早期導入プログラムに登録したユーザーにまず提供される。未登録のユーザーは、ビッグデータ対応機能のないプレビュー版をダウンロードできる。Windows、Linux、Docker環境にインストール可能だ。
Azure Cosmos DBのアップデート
Ignite 2018で説明されたツールやAPIの中には、開発者が外部データベースに接続して取得するデータをSQL Serverで分析するためのAzure Data Studioのプラグインがある。対応データベースはSQL Server 2019、Oracle Databese、Teradata Database、MongoDB、PostgreSQLなどだ。
さらに今回のアップデートでは、Microsoftのクラウド型マルチモデルデータベース「Azure Cosmos DB」に、全てのクラウドリージョンでの複数マスターの読み書き機能が実装された。
Microsoftのクラウドおよびエンタープライズグループ担当副社長のスコット・ガスリー氏は、Ignite 2018での製品発表時にこう語った。「開発者はCosmos DBを使用することで、大規模なレプリケーションを自在に実行できるグローバルクラウドシステムを構築できる」
同氏は、「開発者は、一般的に利用されているMongoDB、MariaDBなどのデータストアに対する共通APIを使用して、データベースにアクセスできる」と述べた。さらに、Ignite 2018でAzure Cosmos DB用の「Cassandra APIプラグイン」を新たに追加したと説明した。
シェル石油の挑戦
Ignite 2018のハイライトの多くは「AI(人工知能)やビジネスの変革を可能にするデータ」に関するものだった。
このイベントに出席していたRoyal Dutch Shell(シェル石油)の技術担当副社長兼CTO(最高技術責任者)であるユリ・セブレヒツ氏によると、シェル石油ではMicrosoft Azureのクラウドとデータツールを使用してIoTの取り組みを支援しているという。同氏は、Microsoftがデータ関連のオープンソース技術を採用したことを称賛した。
「シェルは最新の開発をもたらすオープンソースのプラットフォームを導入することに前向きだ。シェルはクラウドだけでなく、シェルが有する4万4000の小売店の端末でもオープンソースを活用しようとしている」と同氏は付け加えた。
世の中の組織は、データと分析についての一般的な考え方を変える必要がある、とセブレヒツ氏は指摘する。
「データ重視の考え方にシフトすることが重要だ。データより意見が重要だった時代とは違う」と同氏は語った。
このように、Ignite 2018は、多様なソフトウェアの発表によって、データに関する考え方の転換にも大きな影響を与えたといえる。
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