Gartnerの年次予測
知らないとは恥ずかしくて言えない2019年の「10大ITトレンド」(2/2 ページ)
5. エッジ機能の拡張
シアリー氏によると、デジタル世界が物理世界と出会う場面では、エッジの強化が欠かせない。Gartnerでは、ストレージやコンピューティングと高度なAIおよび分析機能が、2028年までの間にエッジデバイスの機能を拡張すると予想している。
AIやクラウド機能がエッジデバイスに直接組み込まれるようになり、エッジのインテリジェンス性は強まっている。それは良いことだが、エッジがライフサイクルの異なる多数の部品で構成されるようになった今、複雑性は増し、管理や統合上の課題も増える。
「従って、それは朗報でもあり、悪いニュース(状況)でもある。エッジの機能はますます増え、分析や活動も増える。だがその全てを管理する単純作業も必要になる」とシアリー氏。
高速化して機能も増える5G対応のエッジは2019年に登場し始め、エッジとの間のさらに安定した通信が可能になると同氏は言い添えた。
6. イマーシブ(没入型)エクスペリエンス
Gartnerの予想では、2022年までに企業の70%は消費者向けと企業向けの没入型技術の実験に乗り出し、25%はこの技術を製品に搭載する見通しだ。
没入型エクスペリエンスは単なる仮想現実にとどまらない。われわれがデジタル環境をどうコントロールし、デジタル環境をどう見るかという問題でもあるとシアリー氏は言う。その全ての背景にはユーザーエクスペリエンスの根本的な変化があり、複雑性が人からシステムへとシフトしている。
このシフトには、音声で起動し、音声で駆動するシステムが含まれる。だが、そうした没入型エクスペリエンスを作り出すのは音声だけではなく、全ての感覚を使うことだとシアリー氏は指摘した。これは、われわれと相互作用するコンピュータに囲まれた世界の中で、没入型の周辺ユーザーエクスペリエンスを提供するということだ。
「マルチエクスペリエンス世界が到来する。だがそれは10年の旅になる」(シアリー氏)
7. ブロックチェーン
ブロックチェーンに言及しないトップ10技術トレンドがあるだろうか。Gartnerの予想では、2030年までにブロックチェーンが創出する事業価値は3兆1000億ドルに達する見通しだが、そこへ達するまでには時間がかかる。
まずは基本的な定義として、Gartnerがいうブロックチェーンとは、共有型のトークン化され、デジタル化された資産の記録であり、非集中化され、分散された取引記録は改ざんが不可能で、追跡することができる。これは一種のコンセンサスの仕組みであり、従って単一の権威は存在しない。
だが、ブロックチェーンは変異しつつある。スマートコントラクトや同様のプロジェクトでは、ブロックチェーンの管理がもっと集中化され、アクセスはある程度コントロールされて、代替のコンセンサスの仕組みを持つようになる。これはブロックチェーンの純粋な概念に抵触するとシアリー氏は言う。
「これはブロックチェーン実験を通じたブロックチェーン対応から、私の言う『ブロックチェーンに触発された』今日のソリューションへと移行するモデルであり、ここにはコンセンサスの仕組みは存在しない可能性がある。完全な分散型ではないかもしれない」(シアリー氏)
8. スマートスペース
シアリー氏によると、スマートスペースとは、人が住み、インターネットで接続されたインテリジェントな自律型の技術を活用した物理あるいはデジタル環境を指す。
スマートシティーは以前から存在していたが、IoTやブロックチェーン、AI、デジタルツインの助けを借りて、スマートシティーは成熟し、発展している。
同氏はその発展を4段階に分類している。第1フェーズは孤立した非接続型のシステム。第2フェーズは接続されたシステムで、APIを使って機能にアクセスし、システムを統合する。第3フェーズではシステムの連携性が高まってアプリケーションが互いに通信するようになり、半インテリジェンス化される。第4フェーズ(シアリー氏によれば、現時点で成熟が見られる)のインテリジェント環境では、オープンな接続された連携型のインテリジェントなエコシステムが形成される。
9. デジタル倫理とプライバシー
以上のリストで取り上げた技術は全て、デジタル倫理とプライバシーに関わる。それを無視すれば採算は合わない。Gartnerの予想によると、2021年までに、プライバシー保護の欠如を指摘された組織は、ベストプラクティスを守る競合相手に比べて100%高いコンプライアンス経費を負担することになる。
何十億台ものエンドポイントが情報を収集するようになった今(インテリジェントエッジがそれを拡大させている)、データ利用に関するプライバシーとコンプライアンス、倫理に対して注意を払うことは一層不可欠になる。
「いずれは、『できるか』ではなく『やるべきか』のみが問われるようになる。顧客の承認は得ているのか。顧客と対話しているのか。つまり、これは技術トレンドでありながら、その質問に答える非技術系スタッフが多数必要になる」
10. 量子コンピューティング
量子コンピューティングに予算を割り当てる組織は現在の1%未満から、2023年までに20%に増えるとGartnerは予想する。
量子コンピューティングが成熟して主流の技術となるまでの道のりはまだ遠いことから、これはトップ10技術トレンドの中で最も論議を呼ぶだろうとシアリー氏は認めている。だが過去1年半で大きな進展があったことを受け、Gartnerのハイプサイクルの生産性曲線フェーズでは、10年以上かかるとしていた期間を5~10年に短縮した。単純な処理能力だけでも、ほぼ全ての業界に破壊的な影響力をもたらす可能性があるとシアリー氏は解説する。
だが、これにはハードウェアの調達は伴わない。もし聴衆のCIOが量子コンピューティングの実験を望むのであれば、自分たち自身で行う必要はないとシアリー氏は指摘し、次のように語った。「あなた方が自前の量子コンピュータを調達することがあるのかどうかは分からない。近い将来、サービスとしての量子モデルが主流になると私は思う」
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