帳票処理の自動化が可能に
AIを搭載した帳票設計不要のOCRサービス トーマツが提供開始
トーマツは人工知能(AI)モデルを搭載した財務・経理部門向けOCRサービスを提供開始した。見積書や請求書を読み取り、入力処理を自動化する。サービス導入後も使用履歴を通して学習し、識字精度を向上できる。
有限責任監査法人トーマツとデロイト トーマツ リスクサービスは2018年11月8日、見積書や請求書などの帳票内の文字をデータ化する光学文字認識(OCR)サービス「AI-OCRソリューション」を提供開始した。同社が開発した人工知能(AI)モデル「Deep ICR」に過去の帳票を学習させることで、従来のOCRソフトウェアに必要だった事前の帳票設計を不要にしたことが特徴だ。
AI-OCRソリューションは帳票に印刷された文字(活字)を読み取り、帳票の転記、集計、整理を自動化する。PDF形式の見積書の画像から文字データを抽出し、TSV形式でファイルに出力するなどの使い方が可能。企業や自治体の財務・経理部門が使う会計システムへの入力処理業務や、工場における修理保守の見積書類処理での利用を想定している。
Deep ICRは中核技術として、機械学習の一つであるディープラーニング(深層学習)を採用。帳票の読み取り不備や、それに対する人の修正内容を教師データとして学習し、帳票の識字能力を向上できるという。トーマツのリスクアドバイザリー事業本部で新規事業推進シニアマネージャーを務めるシェイク・シャハリアルホサイン氏は「請求書に書かれた住所など、書類によってレイアウトの違う文字列も認識して出力できる」と説明する。
4つのアルゴリズム・機能で構成
本サービス群の主要なアルゴリズムや機能は、以下の4種だ。
- 書類の傾きや背景ノイズ、不鮮明文字を補正する「クレンジングアルゴリズム」
- 文字の抽出と構造化をする「セグメンテーションアルゴリズム」
- 識字をして文字をデータに変換する「リコグニションアルゴリズム」
- 出力や解析された文字の修正をする「エクスポート・エディタ機能」
上記はそれぞれ、個別の業務に適した形でカスタマイズできる。エクスポート・エディタ機能のカスタマイズでは、ユーザーインタフェース(UI)の変更が可能だ。トーマツはユーザーの用途に応じて上記のアルゴリズムを改修した、用途別アルゴリズムの開発を進めている。
AIシステムの開発を進めるトーマツ
AI-OCRソリューションは提供開始時点では、活字の帳票などの半定型文書(定型部分と非定型部分が混在した文書)に適したアルゴリズムを採用した。次のバージョンでは活字認識の精度向上に加え、手書き文字の読み取りを可能にするアルゴリズムを実装する。今後は契約書や手紙などの非定型文書を解析できるアルゴリズムをカスタマイズで組み込めるようにするという。
トーマツは、2020年までに日本国内に20人、アジア太平洋地域に40人のAI技術者を擁する体制を整え、AIモデルの提供と研究開発を進める。同社はDeep ICRに自然言語処理技術を取り入れ、高度な文章解析を可能にする研究に取り組んでいる。Deep ICRで使用した画像解析のAI技術を応用し、表情から感情分析をするAIシステムの開発も計画していると、シェリル氏は説明する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
5
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
6
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
-
7
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
8
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
9
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
10
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー