ITILの専門家が語る
CIOを悩ませるIT運用管理の課題トップ10
ITILの専門家として長いキャリアを積み重ねる中で、多数の企業にコンサルティングを行ってきた。その経験から、ITサービスの提供についてCIOを悩ませ続ける課題を10件紹介する。
ITサービスの提供については、さまざまなノウハウが何年にもわたって蓄積されている。ここ数年を見ても新たなベストプラクティスが追加されている。にもかかわらず、ITサービス管理プログラムが目指すところまで、企業がいまだ到達していないのは驚くべきことだ。
本稿では、数年にわたって多数の企業で幾度も目にしてきた、ITサービスの提供にまつわる課題を紹介する。これらの課題は全て「より良く、より迅速に、より安価なITサービスを提供する」というビジネスニーズに企業が応えられるかどうかに直接関わってくる(紹介する課題は順不同で、全ての企業に当てはまるわけではない)。
ITサービスの提供について長きにわたって存在する一般的な課題10件
- ベストプラクティスへの理解と導入の不足:変更が必要な「理由」と、現状がもはや許容できる状態にないことを管理部門とスタッフが理解することが重要になる。
- コミュニケーションの不足:1つ目の課題と関連する。ITサービスの提供を導入し継続的に改善するには、IT部門内の中で上下左右あらゆる方向に効果的なコミュニケーションをタイムリーに行うことが必要になる。
- ビジネスの知識不足:ITサービスの足並みをビジネスの戦略、目標、目的にそろえるには、ビジネス自体と、そのビジネスが実現しようとする目標を理解しなければならない。
- ITプロセスの成熟度とビジネスニーズの不一致:多くの企業が、全てのITプロセスの成熟度を最大限に高めなくてはならないと考えている。だが、実際にはITプロセスの成熟度はビジネスのプロセスの価値とそろえる必要がある。(成熟度を1~5段階に分けたとして)成熟度が3に達していれば十分な場合が多い。ビジネスにとって価値がないのに成熟度を上げると、ほぼ間違いなくITプロセスに過剰な出費を伴い、オーバーエンジニアリングに陥る。ただし、ビジネスに必要な成熟度に欠けるとリスクが生じる。
- プロセスとサービスの継続的改善の不足:ITサービスの提供は、一度で終わるプロジェクトではない。プロセスとサービスに改善の余地がないかどうかを絶えず確認する必要がある。
- 成果の迅速な特定と導入の不足:5番目の課題と関連する。継続的な改善は、IT部門がプロセスの改善を要する段階的な変化を特定できるかどうかに左右される。
- 有意義なメトリクスの不足:ITサービス管理(ITSM)には多数のメトリクスがある。企業はこれらのメトリクスを用いて、ITとビジネスにおける意思決定を戦略、戦術、運用の観点から改善する必要がある。
- 組織的変更の一貫性ある管理の不足:変更管理、中でもそれを実行する人材は、ITサービスの提供においてほぼ間違いなく最も重要で最も困難な一面だ。
- 迅速な提供と品質重視のバランスの欠如:エンドユーザーが基本的に求めるのは、高品質のサービスが迅速に提供されることだ。だが、IT部門はそのニーズに応えていないことが多い。ユーザーの期待に応えるため、IT部門はアジャイルとDevOpsの手法を取り入れている。これらのアプローチを正しく実行すれば、高品質のサービスを迅速に提供できる。
- 問題管理への注目不足:問題管理は、繰り返し発生するインシデントを取り除く。その結果、従業員は(書籍『LeanIT』で定義される)無駄な活動ではなく、価値ある活動に時間をかけることが可能になる。同書の著者の意見によると、問題管理はITILの中で最も付加価値の高いプロセスで、このプロセスにもリーン手法が役立つという。問題管理は可用性、安定性、信頼性を向上させる。また、顧客満足度を高め、サービス提供にかかるコストを削減できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
3
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
4
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
「IBM iはDXのボトルネック」は誤解 意外と知らない今風モダナイズの効果
-
9
「朝8時にバッチが終わらない」データ爆発の危機をJPX総研はどう乗り越えたか
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー