小中学校の授業向けIT製品徹底ガイド【第3回】
タブレット、ノートPC、2-in-1――児童生徒用コンピュータは何を選ぶべきか?(2/2 ページ)
「学習者用コンピュータ」の選び方
ここまで学習者用コンピュータのタイプ別メリット、デメリットを整理してきた。製品選定時のポイントは、以下の通りだ。
- OSは慎重に選定
- カメラの有無を確認
- 台数にこだわって整備
選定ポイント1:OSは慎重に選定
学習者用コンピュータの選定時に重要な要素となるのが、搭載OSだ。特にユーザーアカウント管理やデータ保存の考え方は、今後の運用に大きな影響を与える。全体的な整備計画の中でOSを選定する必要がある(表5)。
| OS | ハードウェア | ユーザーアカウント | データ保存先 | 代表的な学習用ツール(オフィススイート) |
|---|---|---|---|---|
| Windows | ・さまざまなベンダーが販売 | ・ローカルアカウント ・「Microsoftアカウント」 |
・「OneDrive」(オンラインストレージ) ・ファイルサーバ ・ローカルディスク |
・「Microsoft Office」 |
| macOS | ・「Mac」 | ・ローカルアカウント ・「Apple ID」 |
・ローカルディスク ・「iCloud Drive」(オンラインストレージ) |
・「iWork」 |
| iOS | ・「iPad」 | ・Apple ID | ||
| Android | ・さまざまなベンダーが販売 | ・「Googleアカウント」 | ・「Googleドライブ」(オンラインストレージ) | ・「G Suite」 |
| Chrome OS | ・「Chromebook」(ノート型、さまざまなベンダーが販売) ・「Chromebox」(デスクトップ型、さまざまなベンダーが販売) |
選定ポイント2:カメラの有無を確認
文部科学省の「平成30年度以降の学校におけるICT環境の整備方針について」(以下、整備方針)には、カメラは「あることが望ましい」と記載されている。写真や動画を活用した各種学習シーンを想定すると、整備の際には必須の機能と考えるべきだ。インカメラだけではなくアウトカメラがあると、デジタルカメラの代わりとして、さまざまな学習シーンで写真や動画の撮影が可能となるため、さらに活用の幅が広がると考えられる。
選定ポイント3:台数にこだわって整備
前編で述べた通り文部科学省の整備方針は、学習者用コンピュータについて「3クラスに1クラス分程度の配備」をすべきだと求めている。しかしながら実際の教育現場の中で、学習者用コンピュータを充電しながら各授業に合わせた活用を進めるとなると、この台数では不十分だと言わざるを得ない。高性能な学習者用コンピュータを少数台整備するのではなく、比較的安価で、かつ学習用ツールを十分に利活用できるスペックの学習者用コンピュータを、なるべく多く整備すべきだ。
特に私立学校においては、児童生徒の私物コンピュータを学校活動で利用するBYOD(Bring Your Own Device)の可能性も検討してもらいたい。学習者用コンピュータの整備に当たっては、次回以降で解説するインフラ整備も必須となる。全体の予算が厳しければ、学習者用コンピュータではなくインフラ整備に予算を振り分けることや、BYODを前提とした整備も選択肢となる。
第4回では、充電保管庫のタイプ別メリット、デメリットを整理した上で、その選定ポイントを紹介する。
執筆者紹介
高橋 純(たかはし・じゅん) 東京学芸大学教育学部准教授 博士(工学)
1972年神奈川県生まれ。修士(教育学)、博士(工学)。園田学園女子大学情報教育センター助手、富山大学人間発達科学部准教授を経て、現在、東京学芸大学教育学部准教授。教育工学、教育方法の改善、教育の情報化に関する研究に従事。第17回日本教育工学会研究奨励賞受賞。中央教育審議会専門委員(初等中等教育分科会)、学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議委員、日本教育工学協会副会長など。
粟田 輝(あわた・あきら) チエル社長室長
1982年広島県生まれ。2008年、慶應義塾大学大学院理工学研究科・開放環境科学専攻修了。2008年、日本総合研究所入社。2018年から現職。これまで教育関連企業向けのコンサルティングを多数実施し、企業の目線から教育現場へのIT導入などを推進。最近は各種執筆や勉強会での講演など、精力的に活動している。
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小中学校の授業向けIT製品徹底ガイド
教育機関に役立つIT製品には、どのようなものがあるのか。本連載では急速にIT化が進む小中学校の授業でのIT活用に焦点を絞り、幾つかのカテゴリーに分けて、授業に役立つ主要なIT製品分野を紹介し、各IT製品分野の選定ポイントをまとめる。
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