どのようなデータに復旧の必要性があるのか
バックアップ用セカンダリーストレージを比較 フラッシュ、HDD、クラウドで最適なのは?
セカンダリーストレージが、データ保護の重要な要素になる可能性がある。本格的に導入する前に、使い勝手、処理速度、スケーラビリティ、コストなどを分析しておきたい。
データバックアップを検討する際、ポイントになるのは重要なワークロードのバックアップだ。ここでいう重要なワークロードとは、プライマリーストレージで保持し、復旧する必要性がある重要なデータを指す。バックアップデータの中には、時間が経過しても変わらないものや、アーカイブされていくものがある。こうしたデータは重要なワークロードの基準には当てはまらない。
重要ではないデータは、プライマリーストレージではなくセカンダリーストレージに保存すべきだ。セカンダリーストレージは、データ保護とアーカイブの機能を持った不揮発性メモリのようなデバイスだ。セカンダリーストレージのデバイスをもう少し詳しく定義すると、データ転送速度がある程度高速でコスト効率が良く、復旧やアーカイブの必要性があるかどうかがはっきりしないデータのバックアップに用いるデバイスだ。
セカンダリーストレージの必要性
バックアップの方針としてセカンダリーストレージが必要かどうか明確に判断できない場合、次に示すいずれかのデータが存在するかどうかを考えてみるとよい。
- ゴールドイメージの仮想マシン
- 科学的データ
- 参照データ
- 日常業務では必要でなくなった過去の運用データ
- アーカイブするデータ
こうした種類のデータは、重要なワークロードの復旧計画には関連がないものの、復旧作業の際に必要になる可能性がある。セカンダリーストレージが必要になるのは、復旧作業の際にこうしたデータを取り出せるようにしておくためだ。以下に、セカンダリーストレージの一般的な選択肢を幾つか紹介する。
フラッシュストレージアレイ 通常、ネットワーク接続型ストレージと見なされるフラッシュベースのストレージは、ディスクベースのストレージよりも処理速度が格段に速く、待ち時間は短く、障害が起きにくい。こうしたフラッシュストレージアレイの課題の一つは、どれだけ利用しているかに関係なく費用がかかることだ。利用状況に応じた料金が適している場合は、スケーラブルなストレージ製品を検討したい。
外付けHDD 「USB 3.0」の登場により、外付けドライブのスループット(データ転送速度)がはるかに向上した。これを機に、手軽にオフサイト(遠隔の拠点)でバックアップを取りたい企業は外付けHDDという選択肢も視野に入るようになった。課題は、USB 3.0を採用していたとしても、実際のデータ転送速度はHDDの種類や利用環境に依存することだ。
クラウド 自社で用意するストレージよりも、クラウドベンダーのストレージサービスを利用した方がデータ転送速度が高速で、かつコストが安価に済むことは珍しくない。こうしたストレージサービスには複数のストレージ層が用意されていて、容量に応じてストレージ層からストレージ層へとデータを移動させることができる。適切に管理することで、コストを最小限に抑制することが可能だ。また重複データの削除や、圧縮技術が進化しているため、バックアップと復旧作業の速度がオンプレミスのハードウェアと遜色ないサービスが少なくない。
HDD ほとんどの企業がHDDから他の方法への乗り換えを検討しているものの、HDDは今でもバックアップ用のストレージとしての要件を満たし、企業の選択肢であり続けている。導入費を安く抑えられることが多い。セカンダリーストレージにHDDを使用する企業があるが、これはセカンダリーストレージに保存しているデータが基本的にはすぐに復旧する必要のないデータであるためだ。
旧来の選択肢 今でも、光学メディアや磁気テープなどの選択肢を採用することは可能だ。だがこうした旧来のテクノロジーは、データの処理速度が遅いため好ましい選択肢とはいえない。だがセカンダリーストレージまたはオフサイトのストレージとしてであれば、利用することができるだろう。
ソフトウェア定義ストレージ(SDS) サードパーティーベンダーがストレージを階層化する。自動化したポリシーベースのデータ管理によってストレージ管理を簡素化する。SDSは既存の全ストレージをよりシームレスに利用する手段になる可能性がある。
セカンダリーストレージを使った復旧計画
セカンダリーストレージを使用したバックアップと復旧の計画を立てる際には、幾つか考慮しなければならない事項がある。
アクセシビリティー よく知られた「3-2-1バックアップルール」の項目「1」は、「コピーの一つは、会社のビルが火事に遭っても常にアクセスできるオフサイトに保存する」という内容だ。これに加えて、今やクラウドを利用して、いつでも、どこでも業務を遂行する時代になったため、データを取り込む速度、つまり「復旧のためにデータを素早く入手できること」もアクセシビリティーの定義に含まれるようになった。
データの状態をウォーム(稼働準備状態)、コールド(完全停止状態)で分類してクラウドストレージを選択しようとする企業は少なくない。その理由の一つが、サービスで定義された時間内にデータにアクセス可能であるため、セカンダリーデータの復旧シナリオを前もって計画できる点にある。
速度 理論上、DVD-RWはセカンダリーストレージだ。だが、大半の企業にとってDVD-RWのデータ保存と復旧の速度は遅過ぎるため、制限付きのストレージであることは言うまでもない。重要なのは、データの取り込みと復旧の速度を考えることだ。セカンダリーストレージに保存されている全てのデータの復旧要件に目を通し、ニーズを十分に満たせるデータ転送速度のデバイスやメディアが他にないかを、いま一度検討してみることが必要だ。
スケーラビリティ 保存してあるデータセット(データのまとまり)は基本的に静的で、時間がたっても増えることはない。だがデータ保持の方針によってはデータセットの数が増えることもある。例えば、1年以上前に作成されたデータを全てセカンダリーストレージに保存するとする。これは、セカンダリーストレージで保持しているデータが次第に大きくなることを意味する。どのデバイスを選択する場合でも、セカンダリーストレージに求める要件を確実に満たせるようにしなければならない。
コスト効率 ここまで3つの考慮すべき事項を紹介してきたが、これらのバランスが必要だ。最終候補に残ったセカンダリーストレージのコストを、実際の復旧シナリオと照会させてみることを提案する。データの取り込みや復旧などにかかる速度を判定し、他のデバイスではなくそのデバイスに予算をかける価値があるかどうかを判断するのが望ましい。
効率がいいデータバックアップの方法を取り入れるには、少なくともプライマリーとセカンダリーの2層が必要になる。セカンダリーストレージを取り入れることは、バックアップの戦略に次なる進化をもたらすだろう。プライマリー層は「重要なデータやシステムのバックアップと稼働」に、そしてセカンダリー層は「復旧後に必要かどうか判別がつかないデータの保存」に特化するとよい。
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