クラウドとローカルの“いいとこ取り”、ハイブリッドバックアップのススメランサムウェア対策にも有効

最終的なバックアップの保存場所をクラウドにするとしても、リストアの速度を上げるためにローカルバックアップを用意すべきだ。こうしたハイブリッドバックアップのアプローチは、ランサムウェア対策にも役に立つ。

2018年07月03日 05時00分 公開
[Alastair CookeTechTarget]
クラウドへのバックアップは万能ではない《クリックで拡大》

 クラウドへのバックアップは、特にデータセンターを複数用意できない企業にとっては優れた戦略になる。

 クラウドストレージの容量は事実上無限だ。磁気テープを管理して、オフサイトのストレージにテープを送り届ける手間もない。バックアップは自動的にオフサイトに置かれ、ネットワークに混乱をもたらす恐れのある障害、災害、マルウェアへの感染とは無縁になる。だが、うまい話ばかりではない。クラウドベースのバックアップは、リストアに時間がかかり、ストレスがたまる。そこで、ローカルバックアップキャッシュとクラウドバックアップを組み合わせるハイブリッドバックアップが有効だ。ハイブリッドバックアップにより、リストアの手間を抑えると同時に、クラウドベースのバックアップのメリットを全て生かせる。

クラウドからのリストア

 クラウドだけにバックアップしていると、リストアはインターネット接続経由で行わなければならない。これは、「Microsoft Word」の文書や「Microsoft Excel」のワークシートだけなら、ほとんど問題にならない。

 だが、設計文書、音声や動画メディアのような大きなファイルならどうだろう。特にインターネット接続が期待するほど高速でなければ、数GBのデータ転送には時間がかかる可能性がある。誰かが大きなミスをした後でオフィスにいる全員がリストアを待つ状況など、大量のデータをリストアする必要があるのが現実の問題だ。例えば、20GBのデータをリストアする場合、50Mbpsのインターネット接続をフルに使っても約1時間かかる。150GBの仮想マシン(VM)が失われ、それをリストアするとなると、1日の営業時間が完全に潰れることになる。それがメインのファイルサーバで、リストアが完了するまで誰も仕事ができないとしたら、生産性は大きく損なわれることになる。

ハイブリッドバックアップ

 リストアの過程でインターネット接続を使用しない唯一の方法は、リストアが必要になる可能性が最も高いデータのバックアップをオンプレミスに置くことだ。

 大半のリストアは過去24時間以内に発生した問題に関連するため、クラウドに保存するのと同じ量のローカルコピーを保持する必要はない。ハイブリッドバックアップを実行するクラウドバックアップ製品の多くは、バックアップデータのローカルコピーを最初に作成するため、バックアップは迅速に完了する。その後、そのローカルバックアップがクラウドストレージに複製され、保護が完了する。だが、バックアップソフトウェアが使用したローカルコピーは、最後に行ったバックアップ以降の変更しか含んでいないため、大規模なデータ損失への対策としては不十分だ。バックアップソフトウェアでは、定期的に作業する全てのファイルを保護するために、一連の変更データを数セット、バックアップに統合する必要がある。定期的に作業するファイルこそ、最も高速にリストアする必要があるファイルだ。バックアップアプライアンスが存在しないようなストレージ容量が限られたPCで行われるバックアップには、このアプローチが有効になる。

 バックアップアプライアンスは、オンプレミスのPCとクラウドリポジトリとの橋渡し役として、リストアを迅速に行うための完全なバックアップを保管する理想的な場所になる。セキュリティが強化されたバックアップアプライアンスは、オンプレミスのバックアップを暗号化しようとするランサムウェアに対する保護にもなる。当然、より適切に保護できるように、アプライアンスの全ての新規バックアップデータは可能なかぎり迅速にクラウドにアップロードすべきだ。

ローカルからのリストア

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