更新プログラムやEdgeの動きをどう捉える
「Windows 10」と「Microsoft Edge」、2018年の陰と陽
2018年は良くも悪くも「Windows 10」の話題が目立った。Microsoftは機能更新プログラムの不具合の対処に追われる一方、ブラウザ「Microsoft Edge」に関する歓迎すべき計画を発表した。
「Windows 10」に対する意見は好意的な見方から否定的な見方まで幅広い。
Windows 10は「Windows 7」に比べれば大きな前進だ。機能更新プログラム「Windows 10 October 2018 Update」によってユーザーのファイルが消失した問題のようなトラブルは、どんな技術でも日常的に発生し得る程度の問題にすぎない。
「どのような企業でもこの程度の問題は起こすものだ。Microsoftは急いでこの問題を解消した。どんな企業であれ技術であれ、完全無欠は不可能だ」。United Bankのウィレム・バグチャス氏はこう語る。
一方、この問題はMicrosoftがユーザーの声に耳を傾けていない証拠であり、その姿勢がさらに大きな問題を招き得ると予想する専門家もいる。
「Microsoftの内部関係者は重大な問題があると指摘していたにもかかわらず、MicrosoftはWindows 10 October 2018 Updateをリリースした。誰からも文句は出ないと判断したのだろう」。ITサービス企業Emmanuel Technology Consultingを経営するウィリアム・ウォレン氏はそう指摘する。
2018年の最後の数カ月はWindows 10 October 2018 Updateの問題が大きく報道されたこともあり、「2018年がWindows 10にとって順調な一年だった」と言うには程遠い。
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Windows 10の機能更新プログラムはどうあるべきか
2018年10月3日にMicrosoftがリリースしたWindows 10 October 2018 Updateの不具合は、Windows 10にとって2018年で最大の問題だ。「更新後にファイルが消失した」という報告がユーザーから寄せられたことを受け、Microsoftはリリースからわずか3日でこの機能更新プログラムの配信を停止した。再リリースしたのは2018年11月14日だった。
「もしも機能更新プログラムを全ユーザーに向けて一挙にプッシュ配信しようとすれば、必ず何らかの問題が発生する」。調査会社J. Gold Associatesの社長を務めるジャック・ゴールド氏は語る。
Microsoftが掲げる「Windows as a Service」(サービスとしてのWindows)のモデルでは、年2回、大型の機能更新プログラムを配信する。誰がいつ機能更新プログラムを受け取るかに関して企業のIT部門がコントロールできる数は制限されている。このやり方はWindows 10がリリースした当初から、IT担当者の強い反発を招いた。
「Microsoftは自分たちが誰よりもユーザーの状況をよく分かっていると判断した。しかし機能更新プログラムの配信が年に複数あると、ユーザーはWindowsの自動更新を無効にし、全て手動で対処する方法をとる傾向がある」(ウォレン氏)
Microsoftは「Windows Insider」として、ユーザーに機能更新プログラムをリリースする前のテスターになってもらっている。自社のITシステムの責任を担っている企業のIT担当者に対し、問題を見つけて報告させるという負担を負わせているということだ。Microsoftは、サービスとしてのWindowsの考え方に基づき、以前よりも速いペースで機能更新プログラムをリリースすると決断した。このため問題が発生したとしても、問題の修正に並行して新たに追加するコードや機能を増やさなければならない作業に追われる。
「Microsoftは年2回の機能更新プログラムで失敗した点を、毎月の機能更新プログラムの配信で修正しようとしている。これは良い方法とはいえないが、Microsoftはこれを変更しようとしない」(ウォレン氏)
一部のIT担当者はやむを得ず機能更新プログラムの適用を遅らせている。ユーザーの利用環境においてダウンタイム(障害などのために機能が利用できない時間)が発生することを避けるため、Microsoftは意図的に一部のサーバで機能更新プログラムを4~5回遅らせている。
「ユーザーが望む場合は機能更新プログラムの適用を延期できるという選択肢が必要だ。これができれば、大型の機能更新プログラムをいったん延期しておき、他のユーザーによる機能更新プログラムの適用状況を見て、自社における適用時期を判断するということが可能になる」(ゴールド氏)
セキュリティとWindows 10の更新に関する問題
セキュリティは重大な懸念事項だ。Windows 10 October 2018 Updateにおいて、ユーザーのファイルが消失するといった深刻な問題がMicrosoftで見過ごされた事実について、ウォレン氏は警鐘を鳴らす。
「適切にテストしなければ、悪意のあるユーザーに問題点を悪用されてしまう可能性がある。そうなれば問題は一層大きくなる」(ウォレン氏)
だがサービスとしてのWindowsの利点は、機能更新プログラムが適用されていないバージョンのOSをユーザーが利用する事態を防止できるという点だ。これによって攻撃の入り口をふさぐことができる。
バグチャス氏は言う。「セキュリティのリスクをなくすのは車内でシートベルトを締めるように当然のことだ。コンピュータはそういうものだと考えるべきだ。保護されていないコンピュータをインターネットに接続するリスクは、どれだけ声を大にしても誇張にはならない」
Edgeの歓迎すべき変更点
Windows 10に関して専門家の意見が一致しているのは、Microsoftが提供するブラウザ「Microsoft Edge」(Edge)は変わる必要があるという点だ。Microsoftは2018年12月、Edgeのコードとして使っていたEdgeHTMLを破棄し、オープンソースプロジェクト「Chromium」によるコードを採用すると発表した。EdgeはWindows 10のデフォルトのブラウザでありながら、NetMarketShareによる2018年11月の調査では、ブラウザのシェアは「Google Chrome」「Mozilla Firefox」「Internet Explorer」の3つに大きく引き離され、4位にとどまった。それを考えると、コードの変更に関する発表にそれほど大きな驚きはない。
「Microsoftはそろそろ標準的な外部のコードを採用すべき時だった。独自のブラウザを開発するなら、標準に準拠させるべきだ」(ウォレン氏)
Edgeの問題の一つは、Windows 10でしか利用できず、「ActiveXコントロール」や「X-UA-Compatible」といった、ブラウザで一般的に利用される一部の機能が利用できない点にある。ゴールド氏によれば、Edgeでは正しく読み込めないWebサイトもあるという。Chromiumによるコードを採用することで、こうした問題が解消し、「macOS」を含むその他のOSでもEdgeを利用できるようになる可能性がある。
「互換性の問題は、Windows 10の普及を妨げている。単なるMicrosoftのブラウザ以上になるための、正しい方向へ向けた一歩をMicrosoftはようやく踏み出した」(バグチャス氏)
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