サプライチェーンのさまざまな場面に適用
食料廃棄問題の解消にも役立つ最新技術「フードテック」とは?
食料廃棄という大きな問題を解決するための技術が登場している。食品を長持ちさせる、農業の生産性を上げる、物流を管理するなど、アプローチはさまざまだ。
年末年始のホリデーシーズンといえば、多くの人にとってパーティーの準備をしてお祭り気分にひたる季節を意味するが、一方で多大な食料廃棄が生じているのも事実だ。食料廃棄には数多くの原因がある。だが同様に、生産者や輸送業者、小売業者、消費者が無駄を減らす助けになり得るアイデアやイノベーションも存在する。この課題に対応するテクノロジーも現れつつある。食料に関する課題を解決する技術「フードテック」と、IoTにより実現する分散型供給網(DSN)との組み合わせ、あるいはスマート農業は、それぞれに果たすべき役割がある。サプライチェーンの中で廃棄されたり傷んだりする食品の量を抑え、世界の飢えを減らし、より良い環境を作る助けとなるであろう技術的アプローチを以下に紹介する。
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食品を長持ちさせ、必要とする相手の元に届け、農家のスマート化を図り、畑から食卓への流通を向上させるために役立つようなテクノロジーがある。
食品関連製品メーカーのAureus Product Innovationsが提供する「BluApple」は、その名の通り青いリンゴのような見た目をした装置だ。冷蔵庫に置いておくと果物や野菜の周辺にあるエチレンガスの濃度を下げ、青果の成熟を遅らせて傷みを大幅に抑えられる。生鮮タンパク質の保存技術開発に取り組む企業BluWrapは、酸素管理技術を活用する。これは自然な状態の空調環境を創り出し、それを保つことで、傷みやすいタンパク質の賞味期限を引き延ばす。「Apeel」は農作物の保存技術を扱うApeel Sciencesが開発した植物由来のテクノロジーで、農産品の品質や鮮度を保持して廃棄量を減らす。果物に含まれる物質から作られたApeelは、目に見えない、食べられる皮の役割を果たして水分の減少と酸化を抑える。冷蔵庫に入れなくても、農産品の鮮度が保たれる期間を通常の2~3倍に伸ばすことができる。
LeanPathとWinnow Systemsは、いずれも業務調理場の食料廃棄防止を手掛ける企業で、調理場スタッフが廃棄される食品の情報を把握できるようにしている。スタッフはその情報に基づいて判断を下し、廃棄される食品の量だけでなく、調理場の食品コスト全般も引き下げることができる。
ITによる食料廃棄の解消に取り組むのはCopiaだ。同社が提供する食料廃棄削減ダッシュボードを使うことで、企業は余った食品を寄付して課税控除を活用し、食品調達の判断に有用なデータを入手できる。
農業のテクノロジー活用
農業関係のスタートアップ企業Freight Farmsは、奥行き40フィートのコンテナに収まった水耕栽培環境を販売している。水耕栽培農場「Leafy Green Machine」と、その管理アプリ「Farmhand Connect」は、気温コントロール技術と効率的な耕作機器が備わった輸送用コンテナの中で、閉ループの水耕システムを提供する。Farmhand Connectでは、生産者が遠隔操作で農場の気象状況を確認し、湿度、温度、二酸化炭素、栄養素、水素イオン濃度をコントロールできる。効率性と生産量を最大限に引き上げることで、廃棄量を最小限に抑えられる。
農地や農作物の管理をきめ細かく実施する手法を精密農業といい、CropMetricsはこれに取り組んでいる水利管理企業だ。同社の製品ないしサービスには、変動レート水利(VRI)最適化、土壌水分調査、仮想最適化ツールの「Pro」(同社の分析システム)などがある。VRI最適化とは、地形学や土壌変化によって水利を実施している農地の利益率を最大限に引き上げ、生産量を増やして水をより効率的に利用できるようにする手法だ。
PrecisionHawkというデータ企業は、ドローンとセンサーを使って農地のイメージングやマッピングおよび調査を実施している。ドローンは飛行しながらモニタリングと観察を遂行する。農家は調査対象の農地について詳細情報を入力し、高度や地表解像度を選択する。ドローンから得られたデータを基にさまざまな情報を入手できる。具体的には作物の健康度合いや数、生産量予測、高さの計測、植物が地表を覆っている地点のマッピング、農地の貯水マッピング、計測レポート、貯蔵量測定、クロロフィル測定、小麦の窒素含有量、排水路マッピング、雑草の専有領域マッピングなどだ。
食品サプライチェーン
傷みやすい食品にとって、低温物流会社BT9によるタグを使った低温物流管理システム「Xsense」や、無線センサーを使った製品パッケージングは、包装された食品の賞味期限を延ばすことに役立つ。流通網を通じた食品の品質の管理およびモニタリングを強化して、輸送や小売りの段階で廃棄される食品の量を減らすことができる。
消費者の食品の買い方は変化しており、食品のバリューチェーンも変わりつつある。最先端の技術や分析システムを使うことで、リアルタイムでの調達、経路指定、価格決定ができるという、非常に動的かつ流れの速いサプライチェーンへと進化している。生鮮食品のサプライチェーンについて解説した『The Future of Fresh Food(生鮮食品の未来)』という記事の中で、コンサルティング会社Deloitteは、最先端のテクノロジーや分析システムを使い、動的かつ流れの速いサプライチェーンを開発するよう提言している。これによってリアルタイムでの調達、経路指定、価格決定が可能になるという。デジタルな供給網と食品バリューチェーンのエコシステムがつながることで、鮮度を高めて廃棄量を減らし、売り上げを増やすといった大きな価値を創出できる。
小売業者が食品サプライチェーンの中で廃棄量を減らすために利用できる、より実用的な技術や行動について知りたい人のためにアクションガイドがある。米国の企業団体で構成された食品廃棄削減の取り組みを進める組織ReFEDが提供する『Retail Food Waste Action Guide(小売業者食品廃棄アクションガイド)』だ。このガイドでは、防止、回復、リサイクルの3つの側面に関する行動を掲げている。経営者から店舗従業員へと流れ、定められた戦略と目標を支持する姿勢があらゆる部署に行き渡るような、トップダウンの食品廃棄削減の文化を提唱している。
IoT(モノのインターネット)やつながったモノが人間に及ぼす影響について語られることが多くなった現代、技術の介入によって食品の無駄を防ぐというストーリーには希望があるといえる。世界中で保存できる食品の量を増やしてより多くの人に食べてもらい、食品廃棄が環境に与える影響を抑えられるようになるだろう。
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