サブスクリプションで提供
常に最新PCを使える 「サービスとしてのデバイス」のメリットとデメリット
「サービスとしてのデバイス」の利点は、手厚いサポートサービスや、最新の高機能デバイスを短期間で調達できることなどだ。だがメリットばかりではない、想定外の影響も考慮する必要がある。
エンドユーザーが利用するデバイスのライフサイクル(調達・導入・運用・廃棄)を設定し、適切なデバイスサポートを用意し、デバイスに不具合があれば対処する。こうしたデバイス管理において求められることを、IT担当者は予算内で全て実施する必要がある。
IT担当者の多くが実際にこれらを実践しているように、こうした役割を果たすことは不可能ではない。だがベンダーがデバイスをリースで提供する「サービスとしてのデバイス」(Device as a Service)のプランを採用すれば、デバイス管理の負担を軽減できる。サービスとしてのデバイスのプランでは、必要なサポートサービスやデバイスのメンテナンス、修理はそのプランを提供するベンダーが提供する。
Dell TechnologiesやLenovoといったエンドユーザー向けのデバイスを提供しているベンダーは、サブスクリプション方式(月額や年額で課金する製品提供の形態)でサービスとしてのデバイスによるプランを提供している。
「サービスとしてのデバイス」のメリット
サービスとしてのデバイスには、分かりやすいメリットがある。その1つは、デバイスのトラブルへの対処が必要になった場合、どのような種類のトラブルであってもIT担当者は1カ所に連絡すれば済むという点だ。プランを提供するベンダーがデバイスのメンテナンスやデバイスで利用するサービスに関する責任を負うため、IT担当者がハードウェアやソフトウェアの複数のベンダーに連絡する必要がない。プランを提供するベンダーにデバイスのトラブルへの対処やメンテナンスを任せ、IT担当者は他の仕事に時間を割くことができる。
もう1つのメリットは、デバイスのライフサイクルを短縮できることだ。大半の企業はエンドユーザーに新しいデバイスを提供したり、機能をアップグレードしたりするペースを速められる。IT担当者がデバイスのライフサイクルを管理する場合、新しいデバイスの購入費を最小限に抑えようと努める傾向がある。そのためエンドユーザーは最新のデバイスよりも性能の劣るデバイスを使い続けなければならないこともあるだろう。だがサービスとしてのデバイスのプランを利用すれば、デバイス購入費の制約がないため、エンドユーザーはデバイスがより短い期間で新しいモデルに切り替わることを期待できる。
デバイスの管理や運用コストを削減できるということが、サービスとしてのデバイスのプランに含まれることもある。一部のベンダーは確実に契約を獲得するために、提供料金の値下げを求める顧客の要求に応じている。
デバイスの選択肢
サービスとしてのデバイスとして市場に出ているプランの中で、一般的なのは「サービスとしてのPC」(PCaaS)だ。これはベンダーにサブスクリプション方式で料金を支払うことでPCをリースで調達し、サポートサービスを受ける。顧客はその時のエンドユーザーの数に基づいてPCの台数を増やしたり減らしたりできる。
もし従業員を新たに20人採用したとすると、20台の新しいPCを調達するのではなく、サブスクリプション契約の対象とするエンドユーザーを20人増やせば済む。新しいPCを購入する必要がないため、コストを最小限に抑えられる。同じことは、従業員20人を削減する場合にも当てはまる。サブスクリプション契約の数を20人分減らすことは、20台のデバイスを売却するよりもはるかに容易だ。
サービスとしてのデバイスの中でも特にPCaaSの魅力が大きいのは、PCの調達、管理、運用のコストがかさみ、ライフサイクル管理が複雑なためだ。サービスとしてのデバイスでは、PC以外にもタブレット型デバイスやモバイルデバイスをリースするという選択肢もある。サービスとしてのデバイスにおけるタブレット型デバイスとモバイルデバイスの市場ではベンダーのサービスが充実してきている。エンドユーザーが複数の選択肢の中から好きなデバイスを選べるデバイス選択式のプランもある。ただし、モバイルデバイスは「BYOD」(私物端末の業務利用)を採用している企業が少なくないため、サービスとしてのデバイス方式にそれほど向いているとはいえない。
考えられるデメリット
サービスとしてのデバイスで、異なる複数のベンダーのデバイスを採用すると、柔軟性が低下する。サポートサービスの連絡先が1カ所で済むのは、利用するデバイスを単一のベンダー製にする場合に限られる。一部のベンダーは、自社の製品ではないデバイスもサポートサービスの対象としているが、その場合のサポートサービスが充実しているということはできない。
もう1つ考えられるデメリットは、サービスとしてのデバイスとBYODが、特にモバイルデバイスの管理、運用において衝突するということだ。企業がサービスとしてのデバイスの契約を結べば、デバイスのあらゆる管理、運用を全て外部に委託したいと考えることがあるだろう。その時、私物のモバイルデバイスやタブレット型デバイスのエンドユーザーは、私物のデバイスの使用方法について変更を迫られる可能性がある。またBYODを会社の制度として廃止すれば、エンドユーザーの反発を招きかねない。
サービスとしてのデバイス市場は、まだあまり成熟していない。従って、それぞれの企業のニーズに完全に一致するプランが存在しない可能性もある。この市場でいち早く動いたHewlett Packardが、サービスとしてのデバイスの提供を開始したのは2016年だった。
Microsoftは「Microsoft Managed Desktop」という、サービスとしてのデバイスのプランを提供している。このプランでは、Microsoftが管理するデバイスと、「Office 365」および「Windows 10 Enterprise」を利用できる。このプランには、サポートサービス、ハードウェアのアップデート、デバイスの交換などが含まれる。
サービスとしてのデバイスの採用を検討している企業には、発展途上のこの市場で現在利用できるプランにすぐに飛びつくのではなく、自社のニーズに合ったプランを辛抱強く探すことが求められる。
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