HCIやオープンコンバージェンスなど
企業内で検討すべき さまざまな「NVMeアプローチ」6選(2/3 ページ)
HCI(ハイパーコンバージドインフラ)
では、NVMeの低遅延、高スループット、高並列化されたI/Oがどのように企業に役立つかを確認しよう。
まず「HCI」(ハイパーコンバージドインフラ)システムに対するNVMeの影響からだ。HCIのメリットはサーバとストレージを同じ場所に配置できることだ。FCかイーサネットを経由させる必要がある共有ストレージに比べ、I/Oの遅延が少なくなる。このように構成が局所化するとアプリケーションの動作が速くなる。読み取りI/Oが多いアプリケーションでは特に効果があるだろう。
HCIは遅延の削減と高帯域幅によるメリットを得られるため、NVMeによってパフォーマンスが向上する。ただ、書き込みI/Oの管理方法については注意点がある。
HCIは更新情報を複数のノードに書き込むことでデータを保護する。保護方法によって異なるが、通常は少なくともローカルノードと他の一つのノードに書き込む。NVMeのメリットをHCIで実現するためには、高速かつ低遅延のネットワークノードを相互接続する必要がある。
HCIでNVMeを使用すると効率を上げられる。ただし、パフォーマンスの向上度合いはHCIのソフトウェアスタックの実装方法によって変わる。NVMeフラッシュストレージのパフォーマンスは非常に優れているが、データサービスの実装方法などのI/Oデータパスが非効率だとメリットがなくなってしまう。例えば仮想マシン(VM)内でストレージを管理する製品ではメリットが少なくなるだろう。
メリットを得られる可能性が高いのはカーネルからストレージを提供しているハイパーコンバージドストレージ製品だ。具体的には、VMwareの「VMware vSAN」やScale Computingの「Scale Computing Reliable Independent Block Engine」などがその例だ。
オープンコンバージェンス
新興企業のDatriumは少し異なるHCIアーキテクチャを開発している。同社はこれを「オープンコンバージェンス」として宣伝している。このモデルではサーバとストレージが物理的に分離しており、各サーバに高速なローカル読み取りキャッシュを用意する。このアーキテクチャではキャッシュからアプリケーションを読み取る。書き込みI/Oはキャッシュを通じて共有ストレージに書き込まれる。
この設計のメリットはアーキテクチャの回復性にある。仮想マシン(VM)を実行しているホストで障害が発生した場合、その作業が別のサーバに送り込まれる。その際にデータを保護し直す必要はない。NVMeフラッシュドライブをホストで戦略的に使用することで高速入出力を実現できる。容量の点ではもっと安価なSASデバイスとSATAデバイスを用意する。
Datriumのサーバではキャッシュが導入され、ホストにはデータを保存しない。そのためOptaneへの移行は簡単になる。これにより遅延が減るため、VMのパフォーマンスがすぐに向上するだろう。
NVMeアレイ
アレイベンダーやアプライアンスベンダーは、自社製品にNVMeを導入することでメリットが得られる可能性がある。本稿執筆時点のストレージアレイではバックエンドデバイスの接続にSASが使用されている。数年前はファイバーチャネル調停ループ(Fibre Channel Arbitrated Loop)を使用していたが、そこから移行された。次はバックエンドプロトコルにNVMeを使用する段階だ。ベンダーは、SASやSATAストレージデバイスの代わりにNVMe型SSDを使用したNVMe対応アレイを既に売り込んでいる。NVMeによってパフォーマンスが上がるのは間違いない。だが、それがどの程度の向上で、価格の上昇に見合う価値があるのか問い掛ける必要がある。
ここで、オールフラッシュアレイの標準アーキテクチャについて少し確認しておこう。ほとんどはデュアルコントローラーを採用するか、スケールアウト(拡張)設計に制限がある。全てのI/Oはこれらのコントローラーを経由させることで、重複排除、圧縮、スナップショットなどの機能が利用できる。高速なIntel「Xeon」プロセッサでさえ、NVMeストレージのパフォーマンスを全て引き出すことはできない。HDDとSSDはかつてシステムのボトルネックになっていた。それに対して、NVMeは2、3台のドライブで1基のプロセッサが限界に達するほど速い。
ストレージアレイベンダーにとって既存のアーキテクチャをNVMeに対応するように再整備することはリスクがある。NVMeで提供される帯域幅がフル活用されなくなる可能性があるからだ。NVMeドライブはSATAやSASに比べて販売価格が高い。そのため、NVMeドライブのコスト競争力を高めるには、そのパフォーマンスを余すことなく使い切る必要がある。
既存のオールフラッシュアレイでNVMeをどれほど効率よく使用できるかどうかは、プラットフォームのアーキテクチャ次第だ。コードパスを最適化してNVMeから最大限のメリットを引き出すよう尽力することがベンダーに期待される。さらに、複数の内部キャッシュ層を備えたアレイでは、これらのキャッシュをNVMeデバイスにアップグレードするだけで手っ取り早く成果を上げられる可能性がある。少量のOptaneストレージをアレイに追加することにも同じ理屈が当てはまる。Hewlett Packard Enterprise(HPE)の「HPE 3PAR」やWestern Digitalの「Tegile」システムでは既にNVMeが活用されている。
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