HCIやオープンコンバージェンスなど
企業内で検討すべき さまざまな「NVMeアプローチ」6選(3/3 ページ)
特注のNVMeアレイ
NVMeテクノロジーを使用することを目的に構築されたフラッシュアレイはどうだろう。本稿執筆時点では、こうしたアレイはほとんど出回っていない。NVMe用に構築された新しいアーキテクチャとしてはVexataの「VX」プラットフォームがその一例になる。これはFCを使って既存のストレージ環境に統合することが可能だ。パフォーマンスは、NANDフラッシュではわずか200マイクロ秒、Optaneでは40マイクロ秒になるとされている。VexataはNVMe-oFも利用できる。
NVMe-oF
ベンダーが開発中のNVMeアプローチに「共有ストレージのコンポーネントを分離する」というものがある。
分離できればストレージコントローラーによるボトルネックを解消可能だ。これは一般的に新興企業が開発している。クライアントホストは、1つ以上のコントローラーを利用してI/Oを通過させるのではなく、高速ネットワークを介してNVMeフラッシュストレージデバイスと直接やりとりする。
この設計では、クライアントホストはNVMe-oFを使用してストレージに接続する。物理ネットワークにはFC、イーサネット、InfiniBandを使用できる。NVMe-oFは既存のFCハードウェア(HBAやスイッチ)を利用できるが、最低限のハードウェアは必要になる。またNVMeはリモートダイレクトメモリアクセス(RDMA)を介して実装もでき、「RoCE」(RDMA over Converged Ethernet)規格に準拠したアダプターカードを利用する。InfiniBandの場合、RDMAは「iWARP」(Internet Wide Area RDMA Protocol)で実装する。
ホストとストレージが直接接続されるため、従来のアーキテクチャよりも拡張性が高まる。こうした製品はE8 StorageやExeleroなどの新興企業によって既に提供され始めている。
構成要素を分離することには一つだけデメリットがある。それは、これまでストレージアレイコントローラーによって提供されていたサービスが、クライアントに配置されるようになることだ。圧縮などの機能を実装するには、クライアントごとに追加ソフトウェアが必要になる。そのためホストのリソースが一部消費されるが「共有コントローラーにサービスを実装する」ことでボトルネックを緩和できる。
アプリケーションにとってのメリット
ストレージパフォーマンスが大幅に改善するのは素晴らしいことだ。だが、企業にとってこれはどう役立つのだろうか。ほとんどのアプリケーションはストレージのスループット(単位時間当たりの処理量)か、レイテンシ(遅延)による制約を受ける。例えば、構造化データベースは一般的に待ち時間に依存する。そのため、アプリケーションの待ち時間を減らすことで、トランザクションのスループットとホスト稼働率が向上する可能性がある。データベースライセンスがソケット数に基づいている場合、NVMeフラッシュストレージを採用して全てのプロセッサの使用状況を最適化すると、コストを削減できる可能性がある。既にソケットとライセンスを購入していても、NVMeドライブを導入して稼働率を上げることで、追加でソケットやライセンスを購入する必要性を減らせるだろう。
同じ理屈は他のI/O依存するアプリケーションにも当てはまる。例えば、AI(人工知能)や機械学習を含む分析などだ。こうした分析ではレイテンシが短いほど実行時間を短縮できる。
NVMeテクノロジーの採用
企業ですぐに成果を上げるには、NVMeフラッシュストレージの採用方法を検討した上で、NVMeアレイやHCIにアップグレードするのが簡単な選択肢だ。パフォーマンスを即座に強化できるだろう。一方、Vexataのような特注のNVMeアレイではさらに優れたパフォーマンスを得られる可能性がある。それも、既存のインフラを破棄したり置き換えたりする必要はない。ホストの接続にFCなどの既存のテクノロジーを使用できるためだ。
最後に、NVMeテクノロジーの採用に分離型アーキテクチャのアプローチを取る場合、FC型SANやFC対応NVMe型SANのような従来のネットワークに比べて導入に時間がかかるだろう。ストレージ管理者は、InfiniBandなど一般的にはあまり普及していないテクノロジーについて新しいスキルを学ぶ必要がある。分離型の製品の方がアプリケーション設計に大きな影響を与える可能性があるのは明らかだ。こうした製品は当初、高いパフォーマンスを必要とするアプリケーションのみをターゲットにしていたのだろう。レイテンシを最低限に抑えることが不可欠な金融取引アプリケーションなどがその例だ。
NVMeと初期のオールフラッシュには似ているところがある。後者の場合、オールフラッシュアレイのコストがユーザーの間で導入の妨げになっていた。企業内でのNVMeでも同じシナリオが繰り広げられる可能性は高い。いずれ、ストレージではNVMeベースがデフォルトの接続形式になるだろう。このような進化には数年掛かる可能性はあるものの、やがて起こるはずだ。
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