既存のFC SANでも利用可能
NVMeの最新標準「NVMe over Fibre Channel」とは何か?(2/2 ページ)
個別のコンポーネントにも注意
個別のコンポーネントにも注意が必要だ。ストレージシステム、スイッチ、ホストバスアダプターが重要な構成要素だが、他にも考慮するコンポーネントがある。例えば、OSもFC-NVMeをサポートしなければならない。例えば「SUSE Linux」は対応済みだが、他のOSはまだ計画段階にある。
マルチパスソフトウェアもチェックする。幸い、NVMeストレージベンダーは「従来のFC SANで実行してもパフォーマンス上のメリットがある」としている。FC-NVMeが使える既存デバイスは増えている。早期導入企業は「新しく発生する障害を解決するためには更新が必要」ということを理解しておく必要がある。
新しいインフラの必要性
インフラを置き換える手間は誰も掛けたくない。そのため、FCIAは既存のSANに合うようにFC-NVMeを策定している。既にNVMeに対応しているFC SAN環境であれば新しいハードウェアやインフラに投資する必要はない。これは大きなメリットだ。
NVMeは、FCのSCSIコマンドの代わりになる。そのためFC-NVMeはSCSIと同じように動作する。また、NVMeであればファブリック内のFCネームサーバによってFC-NVMeのポートを特定できる。これにより、1台のネームサーバがファブリック上のポートやサポートされているプロトコルの種類を全て把握できるようになる。結果としてプロトコルが混在する環境の管理がシンプルになる。
理屈ではそうだが、実際のサポートは異なる可能性がある。ベンダーへの確認は必要だ。旧世代のストレージ製品やネットワーク製品がFC-NVMeをサポートするとしても、最新世代の製品の方がメリットを受けられる可能性は高い。例えばBroadcomは、同社の第6世代のファイバーチャネルスイッチには遅延を減らすソフトウェアの最適化や、ネットワークの状態とNVMeトラフィックのパフォーマンスを詳しく把握できる統合ネットワークセンサーを備えていると主張している。
今後のデータセンター
FC-NVMeがFC SAN環境のパフォーマンスを向上させる可能性は非常に高い。結果として、アプリケーションはパフォーマンスが向上し、SANの効率も高くなる。インフラの寿命が延びてTCO(総保有コスト)の改善につながる。
大きな疑問は、内蔵型NVMe SSDを使用した場合、ワークロードを処理するのに十分なパフォーマンス向上が見込めるかどうかだ。SANのアーキテクチャは、管理のしやすさ、データ保護、インフラ効率の向上など、サーバ内蔵ストレージやDASにこれまで数々のメリットをもたらしてきた。だが、高速分析、AI、機械学習など、極めて少ない遅延を求めるさまざまなワークロードが登場し、NVMe SSDを備えたDASがそのよりどころになった。FC-NVMeは、こうした「超低遅延を実現するワークロード」をFC SANで実現できるだろうか。
FC-NVMe SANによって加わる遅延はわずか10マイクロ秒程度と想定されているが、問題はそこだけではない。ボトルネックはデータパスのどこにあるかに左右される可能性が高い。ストレージがHDDからフラッシュに置き換わったことで、パフォーマンスのボトルネックはストレージメディアからネットワークに移った。FC-NVMeは、このボトルネックを解消すると考えられている。
次のボトルネックがアプリケーションになる場合、FC-NVMe SANは「超低遅延ワークロードを強化する」というチャンスが生まれる。ただし、ボトルネックがストレージコントローラーに移る場合、超低遅延ワークロードをDASに残し、両方のアーキテクチャをサポートし続けなければならない。このシナリオでは、ストレージシステムアーキテクチャ内でNVMeの効率を向上させることが、ストレージベンダーにとって非常に重要な差別化要因になる可能性がある。FC-NVMeがFC SANの遅延をどの程度抑えるか、今後数カ月様子を見ることになるだろう。
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