既存のFC SANでも利用可能
NVMeの最新標準「NVMe over Fibre Channel」とは何か?(1/2 ページ)
「FC-NVMe」とも呼ばれる新しい標準が公開された。ファイバーチャネルSANによるパフォーマンスの遅れをこの標準がどの程度軽減するかは、これから数カ月の動向を見守る価値があるだろう。
ITインフラの新たな波への備えはできているだろうか。FCIA(The Fibre Channel Industry Association)がNVMe over Fibre Channel(NVMe over FC)の業界標準を公開した。NVMe over FCは「FC-NVMe」とも呼ばれる。このFC-NVMeは、データセンターの未来を占う重要なステップだ。
NVMeテクノロジーは登場してからしばらくたつ。SASやSATAなどの従来のインタフェースプロトコルとは異なり、NVMeはフラッシュストレージのようなメモリベースのストレージメディアが備えるパフォーマンスのメリット(低遅延)をアプリケーションでも享受できる。PCI Expressトランスポート層で運用するよう開発されたNVMeは、主にNVMeベースのサーバ内蔵型SSDや直接接続型のストレージ(DAS)に限定されている。
FC-NVMe標準が公開されたことで、NVMeベースの通信をファイバーチャネルSAN(FC SAN)で利用する方法が取り決められたことになる。この標準はNVMeのアクセス性を劇的に改善し、FC SANのパフォーマンスを向上させる。
FC-NVMeと既存のFC SANインフラ
標準が公開されることと、エンドツーエンドで機能するエンタープライズ製品を開発することは別の問題だ。
このためFCIAは「プラグフェスト」(Plugfest)という活動をしている。プラグフェストは、ホストバスアダプター、スイッチ、ストレージなど、FCテクノロジー関連のベンダーを集め、ベンダーがマルチベンダー環境で自社システムをテストし、動作に問題がないか確かめられるイベントだ。こうした活動だけでなく、ベンダーは製品レベルのテストを独自に実施している。
また、FCIAはFC-NVMeの新しい標準(FC-NVMe-2)への取り組みも始めている。この標準では、FCレベルにトランスポートエラーの回復機能を追加して接続の停止を防ぐという。FC-NVMe-2ではFC-NVMeシステムの強みがさらに高められ、システムでのデータパスエラー処理の改善ができるだろう。早いタイミングで導入を検討している企業は、標準の進化に合わせて最新機能を利用できるよう、コンポーネントのファームウェアを最新バージョンに更新しなければならない。運用環境に移行する前に、具体的なワークロード環境でコンポーネントを徹底的にテストすることも必要だ。
FC-NVMeのエンタープライズ製品
FC-NVMeのエンタープライズ製品の実現もそう遠い話ではない。FC-NVMe標準は、相互運用テスト中に発生する「接続の切断」を解決する方法(規則)をITベンダーに提供する。ベンダーはこの規則を適切に整備でき次第、製品を展開することになるだろう。
ただし、この標準の完成前にシステムを提供しようと計画しているベンダーもある。例えば、標準の公開前に、NetAppはBroadcomのBrocade部門とEmulex部門とともにNVMe-over-Fabrics(NVMe-oF)製品を発表した。Vexataも、FCを含め、複数の接続経路でNVMe-oFが使える製品を発表している。
FC-NVMeアレイなど、NVMe-oF対応のストレージアレイもある。Dell EMCはNVMe-oF対応ストレージとして、フラッシュストレージの「PowerMax」を発表した。IBMの「FlashSystem」はNVMe over InfiniBandが利用できるが、今後予測される追加の接続経路も対処するという。Pure StorageはエンドツーエンドでNVMeとNVMe-oFに対応するストレージとして新製品の「FlashArray//X」を市場に送り出している。Kaminarioはオールフラッシュアレイ「K2N」で、Tegile Systemsはオールフラッシュアレイ「IntelliFlash N-Series」で同様の対応を行っている。
公式サポートがまだ実現していない場合でも、それに向けた取り組みは進んでいる。例えば、Hitachi Vantaraは同社のハイパーコンバージド製品「Hitachi Unified Compute Platform」でNVMeを提供し、同社の他のストレージ製品でもNVMeを提供する体制を整えている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
3
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
4
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
5
肥大化した「SFA」の沼 4カ月でBigQuery×AppSheetの新システムを構築した方法
-
6
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
7
「何から始めればいい?」 情報漏えい対策で悲鳴を上げる中小企業のリアル
-
8
ネットワールド、ICカード認証対応のシンクライアント構築アプライアンスを販売
-
9
ノベルティプレゼント「Windows 8 TシャツとOffice クリーニングクロスセット」
-
10
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
5
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
6
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー