RPAのその先へ
GEのAI活用、botを部下として扱うために必要なこと(2/2 ページ)
不具合への対応
AI botの労働力トレーニングは、自動化によって手っ取り早く人員問題を解決したい企業には向かない。不具合の解消には何年もかかるとタクラル氏は指摘する。このプロセスの大部分は、現存するシステムの生産性を高めてAIに適用できるようにする方法を見極めることにある。例えば正確な請求書が作成できるやり方で記録が生成されていないことによる問題には、複数の根本原因があるかもしれない。タクラル氏はOracleやSAPと連携して、そうした根本の問題への対応に当たっている。
根本原因を究明するに当たっての問題の1つは、GEが買収を通じて成長してきたことにある。そうしたさまざまな子会社が管理しているデータの多くは分離状態にある。GEはAIを使ってビジネスプロセスを最適化する準備のために、統合された真実のシステム、あるいは記録のシステムに全データを集約する目的で、データレイクに投資してきた。だが子会社の数はあまりに多く、データの記録方法に関するミスや食い違いが発生する確率は高い。
そこでタクラル氏のチームは、第一線の従業員とデータレイクの間にAIを介在させ、例えばサプライヤーの名称が一致しないといったミスを修正しやすくしている。注文書を作成する人間は、手作業で内容を編集して帳尻を合わせることがある。だがセキュリティとコンプライアンスの安全対策により、その手直しを覆すことができる。タクラル氏は機械学習を使って、例えば新しい名称を提案してそれがデータレイクに反映されるといった、ありがちな問題を従業員が是正できるようなAIツールの開発を思い描いているという。
人間の要素への対応
タクラル氏はAI botプロジェクトを積極的に支持してもらえるよう、ビジネス部門の幹部やサプライチェーン管理者、プラント管理者が挙げた問題に照準を絞ることにした。これには重要なパーツが予定通りに届いているかどうか判断するといったサプライチェーンのボトルネックの特定、在庫管理および顧客が期限までに代金を支払ったかどうか判断するといったクラッシュ管理が含まれる。
初期の技術的な課題の1つは、データの品質の向上だった。人間の従業員であれば、マスターデータとトランザクションデータのログの不一致にも簡単に対応できるが、botではそうはいかない。従業員はまた、仕事をうまくこなすために自分のコンピュータ上にデータセットを作成する傾向があり、そうしたカスタマイズされたデータセットを中央のインフラで利用できるようにするためには申請してもらう必要があった。
顧客やサプライヤーと接触する時間を増やすという構想については、第一線の従業員全員が必ずしも乗り気ではなかったことも分かった。GEでは、タクラル氏のチームが開発したデジタルワーカーに月間500のトランザクションを処理させるはずが、実際には50しか処理できないという状況にぶつかった。生産量が減退したのは、botに情報が与えられなかったり、不正確な情報が与えられなかったりしたことに起因していた。
「その理由は、人間がbotに仕事を奪われることを恐れたからだった」とタクラル氏は振り返る。
もしかしたらAI botは、業務の最適化に加えて、オフィス内政治についても1つか2つ、学ぶ必要があるのかもしれない。
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