Accentureの最新技術レポート
CIOなら意識しないと恥をかく「ポストデジタル時代」5つのトレンド(2/2 ページ)
ポストデジタル時代に重みを増す技術倫理
ドーアティ氏は、われわれが住んでいる世界では、自動運転車から仮想現実まで、高度な技術による素晴らしいアプリケーションが、技術の善悪について問題を提起していると指摘した。
技術の倫理についての懸念が高まっていることは「全ての企業はデジタル企業である」とAccentureが初めて断言した6年前との根本的な違いだ。当時Accentureは、従来の大企業の取締役会に「デジタル技術がビジネスの新しいやり方を生み出している」ことを納得させるのに苦労していた。時間とともに、このことは自明の理として受け入れられるようになった。
ポストデジタル時代の1つの重要な側面は、技術がビジネスに与える影響だけでなく、従業員、ユーザー、コミュニティーに与える影響についてもリーダーが考えなければならなくなっていることだ。「ポストデジタル時代には、機会に責任が伴う」(ドーアティ氏)
この「機会には責任が伴う」という命題は、企業がモバイルやIoT(モノのインターネット)などさまざまな技術を使って、魅力的な顧客エクスペリエンスを提供していく中で、これまで以上に重要になるだろう。顧客エクスペリエンスは、顧客サービスにおける新たなテーマだ。
ドーアティ氏は、老舗保険会社であるJohn Hancockの例を引き合いに出した。同社は以前、顧客との関わりが少ないことを誇っていた。だが、最近発売した保険商品「Vitality」では数百の接点から収集した顧客データを基に「健康な生活を送っている顧客」の掛け金を割り引くサービスを提供している。
ポストデジタル時代には、多くの企業が400~500の「デジタル顧客接点」を持つようになるとドーアティ氏は予想している。顧客の個人データを責任ある方法で収集、利用していることを証明できる企業は、顧客ロイヤリティーの獲得という形で報われるだろう。
「それは実行すべき良いことであるだけでなく、成功のために実現する必要がある優位性でもある」(ドーアティ氏)
責任ある行動には、顧客データの保護だけでなく、顧客に丁寧に対応することも含まれるという。ドーアティ氏は、チェックイン用のキオスク(公共情報端末)での一方的なマーケティングにうんざりし、ある航空会社の利用をやめたことがある。航空マイルのプロモーションがでかでかと表示されたため、フライトのチェックインボタンが目立たず、探してもなかなか見つからなかったという。
「高い収入をもたらす顧客をそんなふうに扱うなら、その会社による他の顧客の扱い方にどれだけ信頼が置けるだろうか」(ドーアティ氏)
デジタル世界における信頼の階層
1980年代に自動車メーカーは、より信頼性の高い車を作るために、製造工程を改善する必要に迫られた。もし改善できなければ、倒産を余儀なくされていただろう。今日では、車は動くコンピュータとなり、膨大なデータを収集、生成し、それらにますます依存するようになっている。そのために自動車業界は、より良い情報管理プロセスを早急に構築する必要があると、ドハーティ氏は語った。
デジタル世界における信頼を構築することは、企業にとって容易なことではないだろうとドハーティ氏は指摘した。1つの方法は「デジタル世界における信頼は、ガバナンスに関する5つの階層と結びついている」と考えることだという。
1番下の階層ではITセキュリティによって、人々のデータを侵害から保護する。下から2番目の階層では、企業が人々のデータと、その処理に必要なアルゴリズムをどのように使っているかに関する透明性を提供する。3番目の階層では、公平性を確保する。ドハーティ氏によると、これは、顧客や従業員に関する意思決定をする技術における先入観(バイアス)への対処に関連する。4番目の階層では、誠実な努力を払って既存の法律や規制を順守し、誠実さを確保する。5番目の最上位階層では、こうしたガバナンスの全ての側面をカバーする全社的なアカウンタビリティを実現する。
ポストデジタル時代の企業は、消費者だけでなく、規制当局からの信頼も円滑に築く必要がある。規制当局との関係における1つの問題は、技術の変化が急速であるため、規制モデルの対応が追い付かないことだ。
ドハーティ氏は「1つのアプローチは、企業と規制当局が組み、新しいモデルや手法を構築することだ」と提言した。例えば、ドローンメーカーと米国運輸省アメリカ連邦航空局(FAA)が、自律運転車メーカーと米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)が協力するといった具合だ。もう1つのアプローチは、企業の協力の下で規制案を試験的に実施し、実効性を検証するというものだ。
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