コンテナ技術は成熟段階に
「運用自動化は当たり前」に? コンテナ、AIOps、CI/CDツールの新しいアプローチ
2019年は、コンテナオーケストレーション、AIOps、CI/CDといったツールを社内で毎日のように使うようになるかもしれない。専門家はこれらのデプロイツールに関してどのような展開を予想しているのだろうか。
コンテナオーケストレーションツール、AIOps(Algorithmic IT Operations:IT運用のための人工知能)ツール、CI(継続的インテグレーション)/CD(継続的デリバリー)ツールは、企業のDevOps担当者にとっては使い慣れた存在だ。だが「2019年はこうしたツールを社内で毎日のように使うようになる」と複数のIT専門家が予想している。
自動化というテーマは、こうしたIT業界のトレンドと密接に結び付く。このテーマは2018年に統合管理プラットフォームが本格運用され始めたことに端を発する。こうしたプラットフォームは、大企業のIT専門家の関心が、問題発生とその解決に追われる仕事から、サイト信頼性エンジニア(SRE)としての戦略的役割に移るうえで最終的に役立つ。
サプライチェーンおよび物流企業向け通信ネットワーク会社SPS Commerceで技術運用ディレクターを務めるアンディ・ドメイアー氏は次のように話す。「当社はプラットフォーム導入と自動化作業を強化しており、社内全体のイネーブルメント機能を果たすようにSREチームを配置している。当社が構築しているサービスとプラットフォーム運用方法との一貫性を高めるよう模索し続けている」
コンテナ管理の成熟が主流に
2019年のIT業界トレンドは、コンテナとコンテナオーケストレーションがIT部門で当たり前になるという事実が基盤になる。コンテナ技術は企業が運用に利用できるレベルまで成熟している。コンテナ管理ツールは、主要なベンダーによって「Kubernetes」フレームワークを土台に標準化されている。そのため、IT担当者は時間を費やしてこのテクノロジーを学び、自社のアプリケーションと組み合わせて使用する方法を考えることになる。
コンテナがまだ成熟していない分野の1つは、Microsoftの「Windows」向けアプリケーションに対する完璧なコンテナオーケストレーションのサポートだ。「Docker」のオーケストレーション機能「swarmモード」を通じて企業のWindowsアプリケーションを最新化するプログラムをリリースし、上流で安定したら、Windows向けKubernetesと同等のサポートを追加することを保証した。この安定版リリースは、2019年の第1四半期に予定されている。
コンテナは本来Linux向けに発明された技術だ。だが、企業はこのコンテナでWindowsワークロードを利用する方法の調査を始めている。
自動車保険ソフトウェア会社Mitchell Internationalでシニアソフトウェアエンジニアリングマネジャーを務めるリチャード・フォン氏は次のように話す。「Windowsはコンテナ分野ではLinuxに後れを取っているが、一気に追い抜くかもしれない。Windowsのコンテナイメージは軽量のLinux OSよりもかなり大きいが、当社は現在、Windows向けのDevOps自動化方法を解決しつつある」
コンテナの成熟は、コンテナ管理製品とそれらの管理製品を効果的に利用するスキルに対する需要が2019年に高まることも意味する。2018年に451 Researchが発行したアプリケーションコンテナに関する調査「Market Monitor」では、コンテナ管理ツールの市場が2019年に21億ドルまで上昇し、2022年には43億ドルに達すると推定されている。Indeedの年次レポート「Occupation Spotlight」によれば、2018年における求職者のKubernetesに対する関心は2017年よりも173%高いという。
AIOpsが現実に
DevOps部門が社内アプリケーションをマイクロサービスに分解してコンテナプラットフォームに配置するにつれ、プラットフォーム内の不確定要素が急速に増加し、インシデント対応の複雑さも大幅に高まる。AIOpsは2017年後半以来、ITベンダーの間で流行の話題だ。だが企業のIT購買担当者によると、AIOps製品はその宣伝文句を実現するために悪戦苦闘しているようだという。
この状況は、ある程度は製品の成熟度に関連しているが、それらのツールが分析する情報のリポジトリにおけるデータ管理の改善にも関連する。
ある大手保険会社のシニアアーキテクトは匿名を条件に次のように話した。「ITシステムに格納されているデータは、かつてないほどクリーンになっている。それらのデータが人間ではなく自動化されたシステムによって、デジタル世界の速度で生成されているためだ。多くのツールベンダーも、AIOpsの真の成熟を待たず、AIOpsの機能を宣伝して関心を得ている。しかし、AIOps機能は、プレゼンテーションスライドで示されるだけではなく、実際に試すことのできる形に変わっている」
このシニアアーキテクトは自社が検討するであろうベンダーの名前を挙げなかったが、他のDevOps担当者はNew RelicやInstanaなどのベンダーが提供するアプリケーションパフォーマンス監視ツールの機械学習機能に目を付けている。
衛星放送サービスDish Networkのエンジニアリング部門であるDish Technologiesで、DevOpsおよびビッグデータのエバンジェリストを務めるブラッド・リンダー氏は「当社では異常検出システムで使うアプリプロファイルの構築を続けている」と話し、2019年にはInstanaとその競合のAIOpsツールを検討する予定だという。
SREの中には、プラットフォームは「無味乾燥」であるべきだ――つまり、単純なコンポーネントで構成され、機械学習分析の必要性を減らすように繰り返し可能なパターンで導入されるべきだ――と主張する者もいる。だがリンダー氏は、インフラの自動化の程度にかかわらず、AIOpsツールはやはり役立つと考える。
「プラットフォームは無味乾燥でも、マトリクスには警戒すべき欠陥がまだ存在する。AIは役に立つ事実の検出にも利用できる。例えば、アプリケーションサービスは当社の予想よりもユーザーに人気だ」(リンダー氏)
今後、AIはデータベース運用のありふれた機能になるだろう。
調査会社Ovumのアナリスト、トニー・ベイヤー氏の見方はこうだ。「Oracleは既に、自律的と称するクラウドデータベースの提供を始めている。2019年には、他の大手データベースベンダーもデータベースをより自律型にすべく、機械学習の追加を始めるだろう。この傾向は、データベースベンダーがインフラを管理しているクラウドで始まると考えられる。しかしオンプレミスでも、データベース企業の少なくとも1社が自律実行機能を提供開始するという情報がある」
DevOpsチームがCI/CDの新しいアプローチをテスト
コンテナ管理とAIによってITインフラ自動化が改善するにつれ、その進化を利用するようアプリケーション導入ツールも進化しようとしている。それを受けて2019年、企業のDevOpsチームは「Jenkins」のような従来システムを超えるCI/CDの新しいアプローチを試すことになるだろう。
一部の大企業は2018年に、JenkinsからNetflixの「Spinnaker」プラットフォームへの切り替えを済ませている。主な理由は、Spinnakerが自動化されたカナリアリリース(一部のユーザーのみに新機能をリリースし、問題がないか確認しながら段階的に配布する手法)とロールバックをサポートしていることにある。企業のDevOpsが注目しているコンテナインフラを基盤とする他のオープンソースCI/CDツールは、Droneの「Drone.io」、Harness社の「Harness」、Intuitの「Argo CD」などがある。
リンダー氏は、「Spinnakerは役立つが、たくさんのオプションがあり、大きなハンマーのようだ。重すぎて、個人的には好みではない」として、代わりに、Harnessのデータ分析機能に関心があると述べた。
これに対しドメイアー氏は、SPS CommerceがCI/CDをJenkinsからDrone.ioに移行したことを話した。
「従来のJenkinsのパターンとパイプラインを使用していたら問題が増えていった。Drone.ioはコードを使って構成でき、Jenkinsよりもコンテナネイティブだ。コンテナ化していなかったサイズの大きいJava仮想マシンやwarファイルの出荷を試みていたら、Drone.ioを使用することはなかっただろう」(ドメイアー氏)
「SPS CommerceのエンジニアはDrone.ioがGitHubコードリポジトリとスムーズに連携できる点を気に入っている」とドメイアー氏は付け加える。Jenkinsコミュニティーは、Kubernetesとの統合機能を強化した「Jenkins X」も提供している。
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