オンプレミス寄りか、クラウド寄りか
「ハイブリッドクラウド」を実現する製品とは? 選定の勘所は?(2/2 ページ)
オンプレミスの統合管理製品をクラウドに拡大
日立製作所の「JP1」やNTTデータ先端技術の「Hinemos」など、オンプレミスの運用管理を主用途とする製品でも、パブリッククラウド管理のための拡張機能を備えているものがある。ただし稼働監視や障害監視、運用自動化といったプリミティブ(初歩的)な機能にとどまっているのが一般的だ。オンプレミスの運用管理を中心として、部分的にパブリッククラウドへも管理を広げたい場合に適する。
国内ではオンプレミスの仮想化のためにVMware製品を導入している企業が少なくない。「VMwareの仮想化製品で構築したオンプレミス/パブリッククラウドの統合管理ができる『VMware vRealize Operations』など、VMware製の統合管理ツールが好まれる傾向にある」と甲元氏は説明する。パブリッククラウドのベアメタル(物理)サーバを使って、オンプレミスのVMware環境を稼働可能にして、クラウドへの移行を容易にする「VMware on IBM Cloud」「VMware virtualization on Azure」「VMware Cloud on AWS」といったサービスも市場に出ており、企業の間で導入機運が高まっているようだ。
オンプレミスとパブリッククラウドをシームレスにつなぐ
ハイブリッドクラウドを実現する上で、ネットワークも忘れてはならない要素だ。オンプレミスの環境間では、レイヤー2(L2)レベルで同一のIPアドレスを使って、拠点間のシームレスな接続を実現する「L2延伸」が利用できる。ただしネットワーク機器を配置できないパブリッククラウドが接続先となると、ハードルが一気に高くなる。クラウドベンダーがEquinixなどのコロケーション事業者と組んで提供する相互接続サービスであれば、WANやインターネットを使うことなく、オンプレミスとパブリッククラウドの異なる環境間をシームレスに接続できる。「ハイブリッドクラウドを構築する際の有力な選択肢になるだろう」と甲元氏は話す。
甲元氏によれば、瞬間的にオンプレミスのサーバ負荷を分散させるクラウドバーストも、ハイブリッドクラウドを構築する主要なユースケースになっているという。このケースでは、アプリケーションレベルでサーバ負荷を分散させるADC(アプリケーションデリバリーコントローラー)を利用することが、パブリッククラウドへ負荷を分散させるための一つの選択肢になる。ADCはF5 NetworksやCitrix Systemsといったベンダーが提供している。
注目されるコンテナ技術の動向
今後のハイブリッドクラウド構築、運用における注目すべき動きとして、甲元氏はコンテナ関連製品/技術の進化を挙げる。コンテナ管理ソフトウェア「Docker」や、コンテナのデプロイ(配備)や管理を効率化するコンテナオーケストレーションソフトウェア「Kubernetes」の利用が一般的になりつつある。いずれもオープンソースソフトウェア(OSS)として提供されている。コンテナのメリットは「ワークロードを簡単に移動させられる点」だと同氏は説明する。例えばKubernetesを利用すれば、オンプレミスで動かしているサービスをワンタッチでパブリッククラウドに移すことができる。多数の小規模サービス(マイクロサービス)を組み合わせてアプリケーションを構築する「マイクロサービスアーキテクチャ」を採用する企業であれば、マイクロサービスごとにコンテナを割り当てて、簡単にデプロイ可能だ。
AWS、Microsoft、Googleなど大手クラウドベンダーはKubernetesのマネージドサービスを提供しており、これらマネージドサービスの進化が一つの注目点だと甲元氏はみる。オンプレミスではVMwareがKubernetes管理の要素技術を持つHeptioを買収するなど目立った動きが出ている。
こうした動きを含め、ハイブリッドクラウドの構築や運用に関わる製品/技術はまだ発展途上だ。とはいえ10年後には現在のようなオンプレミス環境がほとんどなくなっていても不思議ではない。「その時になって焦るのではなく、5年後、10年後を見据えたインフラ設計が大事」と甲元氏は語る。
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