AIの新用途やコンポーザブルインフラなど
ストレージ業界、押さえておかないと疎外感を抱く6つの技術トレンド(2/3 ページ)
AIと機械学習のストレージ分析
AIと機械学習は従来ストレージとバックアップにおけるランサムウェアなどのマルウェア検出に利用されていたが「インテリジェントな提案」を生み出すためにも利用可能だ。AIと機械学習の後押しを受けたインテリジェントな提案(実用的な分析)は、さまざまな運用に役立つ可能性がある。例えば、ストレージ使用量の予測、あまり使われていないデータ(非アクティブデータ)のストレージ階層を下げるためのフラグ設定、個人を特定できる情報などの潜在的なコンプライアンスリスクの特定などに役立つだろう。2019年には、AIと機械学習を原動力とし、大量のデータの管理と分析をするように設計された製品の普及が進むと予想される。特に、データやIT環境が急速に複雑さを増し続けるにつれ、より普及が進むだろう。
2018年のベンダー各社は、IT部門の意思決定を導くためにAIと機械学習を利用する製品をリリースした。
「Imanis Data Management Platform 4.0」の「Imanis SmartPolicies」では、ユーザーが設定した任意の目標復旧地点に基づき、最適化されたバックアップスケジュールを生成する。Commvaultは、2018年末までに組み込みインタフェースを更新して、ストレージ消費量に関する予測分析の実施を予定していた。Igneous Systemsは「DataDiscover」と「DataFlow」を発表した。これらは非構造化データにインデックスを付けて分類し、そのデータをインテリジェントに移動する。Pure Storage、NetApp、Dell EMC Isilonなどのアレイベンダーは、NVIDIA製グラフィックスカードを利用することでディープラーニング分析を高速化している。
調査会社Enterprise Strategy Groupでアナリストを務めるエドウィン・ユン氏は次のように語る。
「今やAIと機械学習は成熟し、ITの他の領域に浸透している。そのため、これらを使用して、根本的なストレージの課題、つまりビッグデータの爆発的な増加と複雑さに取り組むという考えが盛り上がり始めている。複雑化が進むIT環境に合わせる上で肝心なのは、人員を少し増やしたり、自動化やツールを若干多めに追加したりすることではない。人々は、今、大きな飛躍を遂げる必要があることを理解している。つまり、自転車から自動車に乗り換える時期に来ている」(ユン氏)
ユン氏は、次にボトルネックとなるのは人間の処理能力だという。本稿執筆時点では、AIと機械学習のストレージ分析ソフトウェアから管理者に対して提案が出されたら、管理者がそれを承認しなければならない。ユン氏が心に描く次のステップはそれをさらに進歩させ、承認プロセスをスキップし、特別な状況を除いて人間による入力を不要にすることだ。
「人間が大量のデータを本当にさばけるのか。それだけ大量のデータ処理を承認することは可能なのか。そうしたことが疑問になるほどにデータストリームの量は増えている」と同氏は述べる。
ユン氏によると、AIと機械学習のストレージ分析は、初期導入作業の自動化に最も使われるようになるという。この技術が特にストレージの最適化に、厳密に言えば階層化に役立つためだ。AIと機械学習を採用することでIT運用にもたらされる主な変化としては、ストレージ階層のパラメータを再定義する必要性が1つ挙げられる。パラメータを定義することが、アルゴリズムによってデータの配置先を決める土台になる。
「あらゆるデータの行き先を用途に応じて把握することは複雑化が増していく。ストレージ環境では、それぞれに用意されているパラメータ表現が使われるようにしなければならない」
多くの企業は、非アクティブなデータとアクティブなデータ、パフォーマンスの高い層と低い層のように、ストレージ層を2元的に考える。だが、ソフトウェアが階層化をインテリジェントに自動処理するようになると、2層システムがさらに拡大していく可能性が開かれるとユン氏は考える。
「5つか6つの異なるプラットフォームのストレージを利用できれば最も合理的になる。だが、それは複雑だ。とはいえ、人間の代わりにAIと機械学習がそれを実行するとしたら、価格やパフォーマンスの指標に基づいてこうしたさまざまなオプションを全て活用したくなるだろう」(ユン氏)
NVMe-oF
NVMe-oF機能を備えたフラッシュアレイがデータセンターで普及するのはまだ数年先かもしれないが、専門家の予想よりは早く大企業で使用されるようになっている。
Gartnerによると、NVMe-oFを使用してサーバやSANに接続するSSDアレイは、2021年までにストレージ収益の約30%を生み出すようになるという。これは、Gartnerが2018年に試算した1%から大幅な上昇になる。
調査会社IDCはさらに高い数値を出している。同社は、NVMeとNVMe-oF接続型フラッシュアレイが、2021年までに全ての外部ストレージ収益の約半分を占めるようになると主張する。
NVMe-oFは、少ない遅延で高い帯域幅を提供するポテンシャルを秘めている。その点で、2019年に話題になるトレンドの1つに含まれる。さらに、フラッシュアレイを複数のサーバラック間で共有できることは、大規模なDB、例えば「Oracle Real Application Clusters」などを導入している企業には魅力的だ。
「NVMeとSCSIの違いの1つは、ダイレクトメモリアクセスを使ってストレージデバイスに対応できるかどうかだ。旧型SSDは基本的にホストサーバに接続されるPCIe互換だった。これらはストレージデバイスとの通信にホストバスアダプター(HBA)を必要としない」とIDCのリサーチバイスプレジデントを務めるエリック・バーガナー氏は語る。
同氏によると、NVMe-oFではダイレクトメモリアクセス機能がスイッチを介して拡張されることで「コモディティサーバのPCIeフラッシュと遅延が同等」の共有ストレージが生み出されるという。
「NVMe-oFを使うと『極めてパフォーマンスが高く、値段が高い』NVMeストレージを、これまでよりも多くのサーバと共有できるようになる。スイッチに接続されたサーバであれば、いずれもこのストレージにアクセスできる」(バーガナー氏)
NVM Expressのワークグループは2014年にNVMe-oFの開発に着手した。その狙いは、特にイーサネット、ファイバーチャネル(FC)、InfiniBandにまでNVMeストレージを拡張することにあった。
さまざまなリモートダイレクトメモリアクセス(RDMA)プロトコル技術向けのNVMe-oFトランスポートは現在開発段階だ。こうしたRDMAプロトコル技術には、InfiniBand、RDMA over Converged Ethernet(RoCE)、Internet Wide-Area RDMA Protocol(iWARP)などがある。
2018年にはストレージベンダーが市場に追い付き、多くのNVMe製品を市場に投入した。ほとんどが従来のストレージベンダーによるものだ。中でも注目すべきは、Dell EMC、Hewlett Packard Enterprise(HPE)、NetAppだろう。ただし、スタートアップ企業も勢力争いを続けている。
エンドツーエンドのNVMeアレイは通常、ラックスケールのフラッシュと定義される。つまり、バックエンドストレージからアプリケーションに直接接続されるNVMeファブリックによるシステムだ。ラックスケールシステムは主にスタートアップ企業の領域になる。既存ベンダーの大半は、オールフラッシュアレイのSAS SSDをNVMe SSDと入れ替えている。それによりパフォーマンスがある程度改善される。だが、これはどちらかといえば後付の改良設計と見なされることが多い。
では、なぜNVMe-oFフラッシュが話題になっている、あるいは今後話題になると考えられるのだろう。その答えは、この技術でサーバホストとターゲットストレージデバイス間でのデータ転送を高速化する方法にある。
従来のSCSIコマンドスタックはSSDが増えることを想定していなかった。NVMeフラッシュでは、従来のネットワークで生じる遅延が回避され、アプリケーションからPCIeインタフェースを経由させてプラットフォームを成すブロックベースストレージに直接接続できる。
業界はフラッシュを念頭においてNVMeプロトコルを開発した。このプロトコルはフラッシュを効率的に管理するように最適化されている。そのため、最終的にはNVMeがAHCI(Advanced Host Controller Interface)のSATA SSDに取って代わるというのが一致した見解だ。NVMeではデータがプロセッサにより近づく。それによって、IOPS(単位時間当たりの入出力数)とスループット(単位時間当たりの処理数)が増大するとともにI/Oオーバーヘッドが削減される。
Pivot3でCEOを務めるロン・ナッシュ氏は次のように語る。同社はNVMe Flashを「Pivot3 Acuity」ハイパーコンバージドシステムに導入した。
「NVMeの取り組みには2つのレベルがある。1つは、単純に接続して使うことだ。だが、そのままではデータ経路と、フラッシュメディアへのデータの配置方法を再設計しない限り、パフォーマンスは向上しない。HDDとフラッシュメディアでは、データ配置の最適化方法に大きな違いがある」(ナッシュ氏)
NVMeでは、そのキューの処理方法のために、複数のテナントから同じフラッシュデバイスに対してクエリを実行可能だ。そのため、従来のSAS SSDとSATA SSDよりもスケーラビリティ(拡張性)が高くなる。
分離もまた、NVMe-oFのメリットだ。分離によってコンピューティングとストレージを個別にスケーリング(拡張)できる。この機能は、IoT(モノのインターネット)やAIなど、遅延の影響を受けやすいワークロードにより効率良くリソースを割り当てる上で重要性を増している。
1つ留意すべき点として、ほとんどの企業はフラッシュを使っているとしても、サーバまたはオールフラッシュアレイのSSD技術だということだ。NVMeを大規模に導入しているIT部門は好奇心旺盛なごく一部にすぎない。そう語るのはストレージに関する情報を提供するDeepStorage.netの創設者兼チーフサイエンティストのハワード・マーク氏だ。
「NVMe-oFは従来のSCSIにとってまだ深刻な脅威にはならない。そうなったなら、全てがNVMeに切り替わるだろう」と同氏は補足する。
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