AIの新用途やコンポーザブルインフラなど
ストレージ業界、押さえておかないと疎外感を抱く6つの技術トレンド(3/3 ページ)
マルチクラウドデータ管理
Enterprise Strategy Groupの調査によると、企業の81%はIaaS(Infrastructure as a Service)かPaaS(Platform as a Service)で複数のクラウドベンダーを利用しているという。3社以上のクラウドベンダーを利用している企業も51%ある。
「マルチクラウドが基本になっている」とEnterprise Strategy Groupのユン氏は述べる。
ユン氏によると、企業は1つのワークロードをクラウド間で分散するのではなく、複数のクラウドを異なる用途に使用しているという。
調査会者451 Researchでアナリストを務めるスティーブン・ヒル氏は、マルチクラウドのメリットには、パフォーマンス、データ保護、可用性の確保などがあると説明する。
「クラウド固有のアプリケーションやサービスは、特定のプラットフォームにデータが保存されている場合のみコスト効率が高まる可能性がある。このことが、重要な動機になっているのではないかと考えている」(ヒル氏)
だが、複数のクラウドにまたがると、データ管理の難易度が高くなる恐れがあるとヒル氏は言う。
「場所を問わず、データ保護とアクセス制限に一連のルールを用い『ポリシーベースのデータ管理』を確立する重要性が増している。だが、その実行は口で言うほど簡単ではない」と同氏は付け加える。
「任意のクラウドプラットフォーム間で一貫したデータ管理をサポートする『マルチクラウドデータ管理戦略』を最初から計画することだ。必要なガバナンス、セキュリティ、保護を自由に選んで組み合わせることで、新しいデータプライバシー規制や進化し続ける規制に準拠できるだろう」(ヒル氏)
こうした目的では、欧州のGDPR(一般データ保護規則)や「California Consumer Privacy Act」(カリフォルニア州消費者プライバシー法)のような新しい法律の登場により、ポリシーベースのデータ管理を求める切迫感が生まれていると同氏は考える。それはデータの配置先がどこでも同じだ。
マルチクラウドに対処するうえで重要な問題の1つは、各クラウドの中身とクラウドの違いを理解することだ、とユン氏は述べる。例えば用語、サービスレベルアグリーメント(SLA)、請求サイクルはクラウドごとに異なる。
「これら全てを把握し続けることは難しい」とユン氏は言う。だが、ベンダーにとってはそこにチャンスがある。
市場にはマルチクラウドデータ管理製品がたくさんある。そのうち幾つかは2018年にリリースされている。例えば次のような製品だ。
- Panzuraはマルチクラウドデータ管理に手を広げて「Vizion.ai」を提供した。これは、オンプレミスとオフプレミスのデータを検索、分析、制御するように設計されたSaaS(Software as a Service)だ。
- 「SwiftStack 1space」によるマルチクラウドデータ管理は、同社のオブジェクトベースとファイルベースのストレージソフトウェアに単一の名前空間を導入する。これにより、プライベートクラウドとパブリッククラウド全体でのデータに対するアクセス、移動、検索が容易になる。
- 「Scality Zenko」は、プライベートクラウドとパブリッククラウド全体でのデータの配置、管理、検索を支援する。ユースケースにはIoTデバイスからのデータの取得や配布などがある。
- 2018年11月にRed Hatに買収されたスタートアップ企業NooBaaは、Amazon Web Services(AWS)のパブリッククラウドと「Microsoft Azure」パブリッククラウド間でデータを移動する機能を提供している。同社は、パブリッククラウドとプライベートクラウドにまたがる可能性のある複数のデータリポジトリがあるときに、それらに対する統一ビューを実現するための単一の名前空間を追加する。
- Rubrikの「Polaris GPS」は、同社の新しい「Polaris」SaaS管理プラットフォームのアプリケーションだ。オンプレミスや複数のクラウドに保存されたデータの制御やポリシーの管理を提供する。
- CohesityもSaaSアプリケーションの「Cohesity Helios」を追加した。これは同社の「Cohesity DataPlatform」ソフトウェアの制御下にあるデータを、それがオンプレミスにあってもパブリッククラウドにあっても管理する。
ユン氏によると、多くの企業はマルチクラウドデータ管理に複数のベンダーを使用しており、それで問題ないという。
「万能なマルチクラウドデータ管理である必要はない」と同氏は言う。
ユン氏の考えでは、マルチクラウドデータ管理ツールが改善されるには、パフォーマンスの点からもっと多くの洞察が必要になるという。クラウドベンダー間での階層化や使用レベルに対する提案をツールが実施する可能性がある。マルチクラウドデータ管理の次の段階ではそうした分析要素が含まれる。
今は「まだ1段階目だ」とユン氏は述べる。
コンポーザブルインフラ
コンポーザブルインフラは、IT管理者が使用するツール群では最も新しい部類のアーキテクチャかもしれない。ただし、真新しいものではない。コンポーザブルインフラは数年前からあり、2018年にも注目のデータストレージ技術トレンドの1つとして挙げた。にもかかわらず、2018年のコンポーザブルインフラはそれほど盛り上がらなかった。ただ、こうした製品を世に出すベンダーはこれまで以上に増えている。
コンポーザブルインフラでは、コンピューティングやストレージなどの物理的なITリソースが取り込まれて仮想化され、その仮想化した全容量が共有プールに配置される仕組みだ。これは同じITグループに分類されるコンバージドインフラ(CI)やハイパーコンバージドインフラ(HCI)に似ている。ただし、コンポーザブルインフラはそれをさらに1歩先に進める。管理者はHCIと同様にこれらのプールから仮想マシンを作成できる。だが、それだけではない。これらのプールを物理サーバやコンテナに適用することも可能だ。
HCIは仮想リソースの管理にハイパーバイザー(仮想化ソフトウェア)を使用する。コンポーザブルインフラはそれとは異なり、APIと管理ソフトウェアを使って全ての物理リソースを認識し、仮想プールに集約する。さらに、末端のIT製品のプロビジョニング(リソースの準備、提供)や構成にもAPIと管理ソフトウェアを使用する。
Cisco SystemsとHPEは早くからこの市場に参入しており、それは2014年までさかのぼる。だが、本稿執筆時点では、比較的新しいストレージ企業やHCI企業もコンポーザブルインフラ市場に参入するなど興味を示している。2018年9月には、Pivot3のナッシュ氏がコンポーザブルインフラの提供に向けて取り組んでいると話していた。
当時、米TechTargetのインタビューにナッシュ氏は次のように語っている。「当社の目標は、コンポーザブル機能をソフトウェアメカニズムに変えることだ。そうしたソフトウェア層で根底にあるプラットフォームを操作し、適切な種類の構成単位をプロビジョニングすることで、適切な価格と適切なセキュリティで適切なサービスレベルを提供する」
2018年8月に、ストレージアレイベンダーのKaminarioは、「Kaminario Flex」というソフトウェアを同社のNVMeオールフラッシュアレイに追加すると発表した。NVMeオールフラッシュアレイをコンポーザブルインフラ導入で使えるようにするためだ。だが、早くから参入しているHPEも、同社の「Synergy」コンポーザブル製品への対応を棚上げしているわけではない。同社は2018年5月に、Plexxiを買収したことで、Synergyコンポーザブルインフラプラットフォームの仮想リソースプールにネットワーク機能を追加できるようになると発表している。
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