オンプレミスと共に生きる企業のインフラ
「さくらの専用サーバ」の実運用から読み取く オンプレミスサーバ運用の極意とは(2/2 ページ)
電源管理による効率的な収容設計
次にラックの収容設計について紹介しよう。ラックの収容設計、つまりサーバをラックにどれだけ詰め込むかを検討するとき、さくらインターネットが考慮している要素が幾つかある。ラックには積載できるユニット数や重量に制限があるが、よほど大きくて重い機器でない限り、通常はラックの許容限界に到達することはほとんどない。大体はラックに引き込んだ電源の消費電力が上限となり、これ以上機器を積載できないと判断する場合がほとんどだろう。
この「ラックの上限を示す値」である電力の指標を、ベンダーが公表する「最大消費電力」で計算していないだろうか。少なくとも筆者の経験上、そうした例が多々あった。ここに意外な落とし穴がある。
ベンダーが公表する最大消費電力は大抵、実際の値より高い値だ。さくらインターネットがラックの収容設計をする場合には、検証で得た消費電力の値、つまり実測値を利用する。
消費電力はIPMIや電力メーター付きの電源タップを使ってチェックする。さくらインターネットは、さくらの専用サーバで使っているラックの消費電力を系統ごとに監視しているため、電力の使用状況をいつでも確認できる。電力管理を厳密にすることで「あるラックに30台のサーバを設置しようと計画していたが、まだ電力に余裕があるのでもう5台追加しよう」といった具合にラックを効率的に使用できる。
ラック搭載の効率(集積度)が上がれば、当然コストメリットを高められる。余談だが、さくらインターネットが保有する石狩データセンターに設置しているラックは積載可能な総重量が大きいため、一般的な都市型データセンターのラックよりも多くのサーバを詰め込むことができる。
ハードウェア障害対応の効率化
次はハードウェア障害対応について紹介しよう。重要なシステムを稼働させるデータセンターにとって、障害対応は最優先事項となる。さくらの専用サーバは3万台を超えるサーバの提供実績があるが、それほど大量のサーバを提供していれば、日々何かしらのハードウェア障害が発生する。障害対策においても効率的な手順が必要だ。
さくらインターネットはハードウェア障害、またはそう考えられる障害の発生時には、HDDやSSDなどのストレージを除いた全てのハードウェアを交換する。交換用の予備機を機種ごとに複数台ストックしており、まず交換して復旧を最優先にする。電源が落ちて起動しなくなったり、突然メモリのエラーが頻発したりした場合は「電源ユニットか、マザーボードか、メモリか」という部位の切り分けを後回しにしてまずは交換してしまう。
もちろん交換したらサーバベンダーに保守を依頼し、原因を究明する。仮に特定の機種が原因で障害が頻発した場合、さくらインターネットは自社内の障害発生状況をまとめてベンダーに相談し、その根本対策を促すことになる。
原因追究を後回しにして取りあえず全部交換する、と言うと多少乱暴に聞こえるかもしれない。しかしこれこそが結果的に効率良く、エンドユーザーに迷惑を掛ける時間も減らせる方法なのだ。
交換作業をスムーズにするため、さくらインターネットは特に、ストレージの交換が容易なサーバを選定している。ストレージさえ無事であれば、その他のハードウェアを全て交換してもデータはそのままであるため、エンドユーザーは障害前と変わらず利用を再開できる。
インフラ運用の今後
さくらインターネットは、さらに効率的な運用を実現するためにさまざまな試みを続けている。例えば新たに建てたデータセンターでは、フォークリフトがマシン室の入り口まで入れるように広い通路を設けている。ゆくゆくはサーバのマウント作業をロボットに任せ、現在一部手作業が残っているサーバ構築作業を全て自動化するのが狙いだ。
もちろん、さくらインターネット以外にも世界のさまざまな企業がこうした試みを続けている。データセンターの完全無人化が当たり前となり、インフラに関する全ての作業を自動化できる日もそう遠くはないだろう。そうなってから慌てないように、オンプレミス環境でサーバ保守をしている担当者は、自動化の仕組みを整えておくのがいいだろう。
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