オンプレミスと共に生きる企業のインフラ
「さくらの専用サーバ」の実運用から読み取く オンプレミスサーバ運用の極意とは(1/2 ページ)
さまざまなクラウドサービスが登場し、自社でサーバを持つ以外の選択肢が増えている。だがその中で、あえてサーバ管理を続ける覚悟をした企業に向けて、サーバ保守の効率化のポイントを解説する。
ITサービスを取り巻く環境は劇的な変化を続けている。それはサーバやネットワークなどで構成されるインフラにおいても例外ではない。
現在、さまざまなIaaS(Infrastructure as a Service)が市場に存在する。自社システムのインフラをオンプレミスからIaaSへ移行させる企業もあるが、クラウド化を進められない企業もある。理由は「組織内部の考え方がクラウドにそぐわない」「クラウドのセキュリティに不安がある」といったものだ。
クラウドサービスを提供する著者としては「クラウドサービスはとにかく不安だ」という意見に異を唱えたい。クラウドサービスとそのインフラを支えるのは、詰まるところオンプレミス環境だ。信頼できるオンプレミス環境があるからこそ、高品質なクラウドサービスを提供できる。
本稿では、さくらインターネットの「さくらの専用サーバ」(物理サーバを1台丸ごと提供するIaaS)を例に、大規模クラウドサービスを支えるオンプレミス環境が、どのような仕組みで運用、保守されているのかを解説する。オンプレミスを使い続ける企業のIT担当者にとって、本稿で紹介するポイントが運用の参考になれば幸いだ。
併せて読みたいお薦め記事
オンプレミスか、クラウドか、それが問題だ
「自動化」の機運は高まっている
サーバ構築の自動化
クラウドベンダーがサーバを構築する場合、サービス提供するまでに幾つかの作業がある。サーバをラックに格納し、ネットワークに接続し、ハードウェアをチェックし、負荷試験をして動作に問題ないことを確認する、といった具合だ。こうした一連の作業は、サービスを提供するためには省略できない大事な作業であることは間違いない。だが手間がかかる。
さくらインターネットは一般的なオンプレミスに比べると、圧倒的に多い数のサーバを日々構築、管理している。だが作業にかかる人的工数は、一般的なオンプレミスに比べると圧倒的に少ない。その理由は自動化にある。
自動化の内容
さくらの専用サーバでは、可能な限りサービス提供のためのサーバ構築作業を自動化することで、この手間を削減している。サーバをラックに格納し、ネットワークを接続するまでは手動だが、その後電源をオンにすると、以下の処理を全て自動で実行する仕組みを組み込んでいる。
- ハードウェアのチェック
- CPUやメモリの動作を確認する。メーカーが出荷時に動作確認をしているが、搬送中や保管中に、何かしらの故障や破損が起きる可能性があるため、サーバをラックに搭載(ラッキング)した直後に改めてチェックをする。
- 負荷試験
- CPUやメモリ、ディスクといったハードウェアに対し意図的に負荷を掛けた状態で動作を確認する。環境にもよるが数日にわたって機器に負荷を掛け、その間に異常が発生しないかどうかを確認する。
- 管理データベースへの登録
- 機器固有の情報、例えばMACアドレスやIPアドレス、接続されているスイッチ、そのポート情報などを、構成管理を担うデータベースに登録する。
- OSインストール
- 最終動作確認
- 動作確認には幾つか種類がある。例えばハードウェア構成をOSが正常に認識しているかどうかチェックしたり、ネットワーク性能を試験したりしている。
「サーバ構築の自動化」による最大のメリットは、人為的な作業ミスを減らせることだ。構築に必要な人件費も大幅にカットできる。結果としてインフラの運用コストを抑えられる。
さくらの専用サーバのサーバ構築作業自動化の実装には複数のソフトウェアを利用している。オープンソースソフトウェア(OSS)やベンダー提供、自社開発のソフトウェアを組み合わせてシステム化している。サーバがベンダー固有のソフトウェアしか使えないと、これらの自動化ソフトウェアを利用できないか、選択肢が狭まる可能性がある。このため、さくらインターネットはサーバやネットワーク機器を導入する際、「既存の自動化ソフトウェアを利用できる製品」を選定している。ネットワーク経由で電源操作や機器監視ができるインタフェース規格の「IPMI」に準拠した製品や、機器操作のためのAPI(アプリケーションインタフェース)を備えた製品などだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー