クラウド自動化ツールを比較 ネイティブ vs. サードパーティーの勝者は?ポイントはマルチクラウドか否か

クラウドでの自動化とオーケストレーションのツールには、プロバイダーネイティブのツールとサードパーティー製ツールの2形態がある。最適なツールを選ぶには、将来のニーズ、特にマルチクラウドのニーズを把握しておくことが必要だ。

2018年01月31日 05時00分 公開
[Alan R. EarlsTechTarget]

 クラウドにおける自動化とオーケストレーションのツールの需要は高い。だが、利用できる多くの選択肢の中から適切なツールを選ぶのは難しい。企業にとって最適なツールは、最終的には現在と将来の目標や、必要とする機能によって決まる。

 Information Services Groupの主席アナリスト、チャーリー・バーンズ氏によると、クラウドにおける自動化とオーケストレーションのツールは、通常2形態に分類されるという。こうしたツールは、クラウド管理プラットフォーム(CMP)とも呼ばれる。

  1. プロバイダーネイティブのツール:Amazon Web Services(以下、AWS社)、IBM、Microsoftなど、パブリッククラウドプロバイダーが提供およびサポートするツール
  2. サードパーティー製ツール:BMC Software、Cloudify、RightScaleなど、サードパーティーベンダーが提供およびサポートするツール

 CMPを評価する場合、この2形態のツールのメリットとデメリットに注目することが多いとバーンズ氏は言う。だが、まずCMPの主要機能に注目すべきだ。

 具体的には、CMPの機能が現在と将来の自社の要件を満たすかどうかを評価することになる。例えば、ハイブリッドクラウドへの移行を計画しているのなら、CMPがパブリッククラウドサービスと社内インフラに一貫したUI(ユーザーインタフェース)を提供し、その両者をサポートするかどうかを見極めるべきだ。他にも、自動データバックアップ、不要になったクラウドリソースの自動停止機能なども調べる必要がある。

図1 図1 クラウド自動化の一般的な用途《クリックで拡大》

ネイティブツールとサードパーティーツールの比較

 CMPの主要機能の評価も重要だが、サードパーティー製ツールかプロバイダーネイティブツールのどちらを選ぶかも大事だ。その際考慮すべき一般的検討項目が幾つかある。

 例えば、AWS社の「AWS CloudFormation」とMicrosoftの「Azure Resource Manager」(ARM)は、プロバイダーネイティブのプロビジョニングツールだ。AWS社やMicrosoftはこうしたツールで他の管理ツールと機能競争することは考えていない。両社は、クラウドサービス「Amazon Web Services」(以下、AWS)や「Microsoft Azure」のリソースをできる限り簡単に利用できるようにすることを目的にしている。こう語るのは、Enterprise Management Associatesのシニアアナリスト、トルステン・フォルク氏だ。だが、ネイティブツールを利用するにはプロバイダー特有の知識が必要になる。これが難点だ。

 例えば、AWSの「AWS CloudFormation デザイナー」では、JSON(JavaScript Object Notation)ファイルをテンプレートとして作成および編集できる。このテンプレートは、どのサードパーティー製CMPでも簡単に使用、作成、編集できる。だが、このテンプレートを管理、拡張するのはITチームの役割だ。ビジュアルインタフェースは存在しないため、ITチームにはAWS CloudFormationの確かな知識が必要になる。

 これに対し、QualiSystemの「Quali」やオープンソースの「Cloudify」など、サードパーティー製CMPでは、複雑な環境を設計する汎用(はんよう)的な知識は求められるが、専用言語を学ぶ必要はないとフォルク氏は言う。

 結局、どちらが適しているかは、利用しているクラウドプロバイダーに満足しているかどうかによる。ネイティブツールが自社の現在と将来のニーズを満たすのであれば、そのツールを使い続ければよい。「完全にAWSのみの環境を構築するのであれば、全てのツールがAWSから手に入る。ただし、AWSにはChef Softwareの『Chef』も組み込まれている。それはChefを模倣するのが困難であったからだろう」とフォルク氏は話す。

 だが、外部のDevOpsパイプライン自動化ツールやローカルデータセンターを利用している場合、またはマルチクラウド環境を必要とする場合は、サードパーティー製ツールを選ぶ方が良いかもしれない。VMwareの「VMware vRealize Automation」、Cisco Systemsの「Cisco CloudCenter」、Emboticsの「vCommander」などの従来型のクラウドプラットフォーム、Quali、HashiCorpの「Terraform」、Cloudifyなどのモデル化ツール、Chef Softwareの「Habitat」、ネットワールドの「Puppet Enterprise」などのアプリケーション自動化ツールを選ぶことができるとフォルク氏は言う。

 とはいうものの、AWS CloudFormationテンプレートやARMテンプレートは他のツールと適切に統合されることも知っておきたい。これはAWS社とMicrosoftがきちんと整理された十分な参考資料を添えたAPIを用意しているためだ。

マルチクラウドを意識したサードパーティー製ツール

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