新テクノロジーの導入を進めるCapital One
大手金融機関が8000個のアプリを「AWS」へ移行 クラウドに何を期待したのか
米金融機関Capital Oneは、カスタマーサービスを向上させるべく、クラウドや機械学習、DevOpsなど新テクノロジーの導入を続けている。本稿では、その取り組みについて詳しく解説する。
米銀行大手Capital Oneはクラウドファースト戦略に乗り出した。マイクロサービスや機械学習といった新しいテクノロジーの採用と、迅速なソフトウェア開発に備えるためだ。同社は保有する約1万4000個のアプリケーションのうち、8000個をクラウドに移行した。
この大規模移行はテクノロジーの準備が整っていればよいわけではなかった。そう語るのは、Capital Oneでクラウド戦略部門のバイスプレジデントを務めるバーナード・ゴールデン氏だ。同社のクラウド戦略は、長期事業目標に合わせて新たに設計している。この戦略は、革新的な製品やサービスを提供することが狙いだ。
「クラウドを利用すると、新しいテクノロジーを導入して、物事を高速かつ安価に進めることがより簡単になる」とゴールデン氏は話す。
Capital Oneのある役員は、Amazon Web Services(AWS)の同名パブリッククラウドにアプリケーションを移行することで、インフラではなく顧客対応のイノベーションにリソースを集中できたと語る。同社がAWSを導入した当時、大手企業や金融機関は総じて、セキュリティ上の懸念から、パブリッククラウドへの移行に二の足を踏んでいた。Capital Oneは、大手企業や金融機関の中でも、パブリッククラウドをいち早く導入した企業となった。
Capital Oneが重要視したクラウドの特性
2015年にCapital Oneがクラウドを導入してから4年がたった。「クラウドは、インフラの調達や準備、使用に関するルールを変える、新しい手段になる」とゴールデン氏は語る。同氏はクラウドの特性として、社内のコンピューティングリソースの取得と使用に関する競合が事実上なくなることを挙げる。
Capital Oneは、自社を「金融サービスを提供するテクノロジー企業」と位置付けている。同社がサービスを継続的に転換し、サービスの提供速度を加速できている要因は、コンピューティングリソースの競合がないというクラウドの特性を使いこなしていることにある。
「全ての企業が、この特性を活用する方法を把握すべきだろう」とゴールデン氏は主張する。「どの業界の企業も、事業の運営方法や自社の商品・サービスを確認して、クラウドがどう生かせるか再考する必要がある」(同氏)
Capital Oneのクラウド戦略
Capital Oneがクラウドへの移行で最初に着手したのは、リスクへの対処方法の策定だ。オンプレミス環境と同じセキュリティとコンプライアンスの標準を満たすガバナンスをクラウド向けに整えた。同時に経営陣は、事業目標に合わせた形で5年分のクラウド戦略のロードマップを策定した。これはクラウドファーストのアプローチへの、社内外の同意を得るのに役立った。
テクノロジー部署の規模も拡大させた。クラウドへの移行プロセスの一環として、Capital Oneはアプリケーション開発にアジャイル開発とDevOps(開発と運用の融合)の手法を取り入れている。
ゴールデン氏は「Capital Oneは戦略駆動型の企業だ。これまでも物事がどう進んでいくかを評価し、目標に向かってまい進してきた」と話す。
Capital Oneのクラウド戦略は新たな展開を見せている。新しいテクノロジーが、同社の製品やサービスに、より多くのイノベーションをもたらしている。
ゴールデン氏は、高度な手法やテクノロジーを導入して、イノベーションの実現に貢献した。サービス同士の連携のために構成する「サービスメッシュ」のようなネットワークアーキテクチャやコンテナ、SRE(サイト信頼性エンジニアリング)の手法、機械学習などを導入している。「これらの手法やテクノロジーを使用するには、クラウドコンピューティングが適していた」と同氏は話す。
Capital Oneのクラウド戦略には、効率的なアプリケーション導入/運用のために、機械学習を使用することが含まれている。同社は機械学習を使用して、信用評価や信用供与、不正使用の検出などの効率化を試みている。顧客からの問い合わせ対応に機械学習を導入することも検討している。
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