「NTA」「NDR」で新手の脅威を防ぐ【前編】
新たなセキュリティ対策「NTA」「NDR」はなぜ必要なのか?
「NTA」「NDR」製品といったセキュリティ製品が登場した背景には、サイバー攻撃手法の変化がある。対処のためにNTA/NDR製品が必要な脅威とは、どのようなものなのか。
セキュリティ用語には既にさまざまな略語があるが、さらに頭字語を増やさなければならなくなっている。それは「Network Traffic Analysis」(ネットワークトラフィック分析)を表す「NTA」と、「Network Detection and Response」(ネットワーク脅威検知・対処)を表す「NDR」だ。これらの2つの単語は、これまでの攻撃とは手法が大きく異なる新世代の攻撃を検出するための高度な技術を指している。
かつてのサイバー攻撃は現在と比べて単純だった。例えば悪意ある操作を正規のSQLクエリに挿入して標的のサーバで実行させる「SQLインジェクション」や、マルウェアをメールの添付ファイルとして送り付ける方法などだ。こうした攻撃にはシグネチャ(攻撃パターン情報)があるため、それを発見してシグネチャを定義したファイルと照合することで、攻撃を検出し、防ぐことができた。このタイプの攻撃はなくなっていないが、より新しく、巧妙な手口の攻撃が既に検出されている。
こうした新手の攻撃はステルス性(隠密性)が高く、検出が難しい。「Low and Slow」(少しずつ時間をかけて実行される)と形容されることもしばしばだ。具体的にはトラフィックがほとんど発生しなかったり、数分や数秒ではなく、数日や数週間にわたって継続したりする場合がある。
これらの攻撃が成功すれば、攻撃者は企業の機密データを抜き取り、「Amazon Web Services」(AWS)や「Microsoft Azure」などのクラウドサービスで運用する悪質なWebサイトに送ることが可能になる。通信先のシステムがどのようなものかを評価することで攻撃を検出する従来の脅威検出メカニズムは、こうした手口による通信を正規のクラウドサービスとの通信だと判断して問題ないと見なし、脅威を見逃す恐れがある。
NTA/NDRはなぜ必要なのか
新手の攻撃は、従来のセキュリティ対策をすり抜ける正規のサービスや、ステルス性の高い手法を採用する。以下の手法による攻撃が現実で発生する可能性は十分あり、こうした新種の攻撃に対して、NTA/NDRなどの新たな防衛策を講じる必要がある。
- IoT(モノのインターネット)デバイスを通じたデータ窃盗
- 監視用ビデオカメラに悪意あるプログラムを仕込む。このビデオカメラが長い期間をかけて社内LANからデータを収集し、正規のクラウドサービスでホストされている悪質なWebサイトにデータを送信する
- Webブラウザを乗っ取る「Man in the Browser」攻撃によるデータ窃盗
- 公式のWebストアに登録されていないWebブラウザの拡張機能によって、標的となるエンドポイントの閲覧履歴およびcookie(Webブラウザが情報を記録するためのファイル)内の情報を収集。正規のクラウドサービスでホストされている悪質なWebサーバに、収集した情報を送信する
- DNS(Domain Name Server)操作ツール「dnscat2」によるデータ窃盗
- dnscat2を使用し、ファイアウォール内のエンドポイントに存在する悪質なプログラムが、DNSの標準ポートである53番ポートを介してファイアウォールをすり抜けるようにする。それによりクラウドでホストしている悪質なサーバとの不正な通信が可能になる
こうした脅威に対抗するには、新しいアプローチが必要だ。そこでNTA/NDR製品の出番となる。これらのシステムが新手の脅威にどう有効なのか。後編で紹介しよう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「NTA」「NDR」で新手の脅威を防ぐ
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
SNS認証や多要素認証も数分で実装、IDaaS基盤でデジタルビジネスはどう変わる? -
製品レビュー
「電子帳簿保存法対応」実践術:タイムスタンプ付与などの要件の手軽な実現方法 -
事例
「大企業のデジタル化」成功事例集【コクヨ、九州電力、ヨネックスなど21社】 -
製品資料
“顧客管理の課題”を簡単に解決する方法とは? -
製品資料
契約管理の“あるある課題”をノーコード開発で解決するためのポイント
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
2
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
3
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
4
多要素認証導入済みでもランサムウェア被害に 復旧費用は平均2億7000万円
-
5
脱VMwareの最適解 NTTデータと日立製作所が示す国産仮想化基盤
-
6
Synologyがエンタープライズ向けユニファイドストレージを投入 その実力は
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
「脱Excel」はなぜ現場に潰されるのか 反発を封じる“3つの論理”
-
9
ランサムウェア、暗号化の89%は深夜 情シスが備える「夜間の空白」対策
-
10
ランサムウェア「The Gentlemen」急拡大 21経路の「同時多発的」内部侵略を試みる
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
7
PostgreSQLの「機能」「性能」「運用」「拡張性」に関する悩みの解消法
-
8
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
9
Macの安全神話は崩壊? 最新の脅威動向から見えた攻撃のトレンドと有効な対策
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー