新手の攻撃「Roaming Mantis」「セクストーションスパム」とは?フィッシング詐欺も過去最大規模で拡大

ルーター設定を書き換え悪質サイトに誘導する「Roaming Mantis」や、ソーシャルエンジニアリングを使った脅迫メール「セクストーションスパム」など、新たに観測されたサイバー攻撃事例を取り上げる。

2019年03月22日 05時00分 公開
[大久保 心織TechTargetジャパン]
画像

 サイバー犯罪の手口は日々進化を続けている。カスペルスキーの報告では、2018年に国内外で、それまで観測されなかった攻撃手法「Roaming Mantis」「セクストーションスパム」による被害の発生が明らかになった。トレンドマイクロが2018年のサイバー攻撃に関する調査をまとめた「2018年年間セキュリティラウンドアップ」によると、「フィッシング詐欺」が過去最大規模で観測されたという。本稿ではこれら3つのサイバー攻撃について、2018年に見つかった攻撃例と併せて紹介する。

勝手に悪質サイトへ誘導するルーター

 2018年3月に国内で観測されたRoaming Mantisは、ルーターのDNS(Domain Name System)設定を書き換え、そのルーターを介した通信を攻撃者のサーバに接続させる攻撃手法だ(図1)。攻撃者はサーバに悪質なWebサイトを設置し、アクセスした端末にマルウェアを勝手にインストールさせる。このマルウェアを使って、端末に保存されている個人情報やパスワード設定などを盗み出す。攻撃対象のOSはWindowsをはじめ、iOSやAndroidといったモバイル端末向けのものも含まれている。攻撃者はOSだけでなく悪質サイトで使用する言語も充実させており、日本語を含む27言語を扱っていることが判明している。

画像 図1 Roaming Mantisの概要。攻撃者は侵入したルーターのDNS設定(赤枠内)を書き換える。汚染ルーター経由のアクセスを悪質なDNSに飛ばし、悪質Webサイトに接続するように仕向ける(出典:カスペルスキー)《クリックで拡大》
画像 カスペルスキーの石丸 傑氏

 攻撃者がRoaming Mantisで用いているAndroid向けマルウェアは「facebook.apk」や「chrome.apk」など既存のアプリケーションをかたったものだ。これらのマルウェアには、宅配会社の公式アプリケーションに見せかけたマルウェア「sagawa.apk」と共通のプログラムが使われていた。sagawa.apkは2018年1月に、不在通知を装った偽SMS(ショートメッセージサービス)を通じての拡散が確認されている。WindowsやiOSに対しても、仮想通貨マイニング(採掘)を勝手に実行するマルウェアやフィッシングサイトへの誘導など、「攻撃手法は進化し続けている」とカスペルスキーの石丸 傑氏は語る。

 石丸氏はルーターの設定を定期的に見直す、ファームウェアを更新する、といったセキュリティ対策を提案する。ファイアウォールなどのネットワークセキュリティ対策ソフトウェアを導入したり、悪質なWebサイトへのアクセスを禁止するフィルタリング機能を利用したりすることも対策になる。Androidのセキュリティ対策については「公式のアプリケーションストアで配信されていない『提供元不明アプリ』のインストールを許可しないように設定することも有効」だと付け加える。モバイル端末のビジネス運用向け管理ツール「EMM」(エンタープライズモビリティー管理)製品を使った管理も可能だ。EMM製品を利用することで端末の管理者は、アプリケーションのインストール制限をはじめ、端末の暗号化の義務化や業務用アプリケーション内のデータ管理などを実行できる。

「根拠のない脅し」に乗せるセクストーションスパム

ITmedia マーケティング新着記事

news079.jpg

狙うは「銀髪経済」 中国でアクティブシニア事業を展開する企業とマイクロアドが合弁会社を設立
マイクロアドは中国の上海東犁と合弁会社を設立。中国ビジネスの拡大を狙う日本企業のプ...

news068.jpg

社会人1年目と2年目の意識調査2024 「出世したいと思わない」社会人1年生は44%、2年生は53%
ソニー生命保険が毎年実施している「社会人1年目と2年目の意識調査」の2024年版の結果です。

news202.jpg

KARTEに欲しい機能をAIの支援の下で開発 プレイドが「KARTE Craft」の一般提供を開始
サーバレスでKARTEに欲しい機能を、AIの支援の下で開発できる。