仮想ルーティングソフトウェアは多くのメリットがあるが、セキュリティや接続に潜在的な課題があることを理解する必要がある。一方で、物理ルーターの方が優位性を発揮できる領域もある。
サーバやスイッチなど、インフラを構成するコンポーネントを仮想化する動きは近年、一般的になっている。だが、仮想ルーター(仮想ルーティングソフトウェアを使用するルーター)は依然として少ない。ルーターを仮想化できないわけではなく、本稿執筆時点でも利用可能な仮想ルーターは数多く存在する。仮想ルーターは物理ルーターアプライアンスと比べても可用性にはほとんど問題がなく、仮想ルーターを導入する際の主な問題は、ルーターが実行すべき機能にある。
本稿では、企業ネットワークでルーターサービスを仮想化するメリットとデメリットを考える。最終的には、どのような環境が仮想化に適していて、どのような場合に従来の物理アプライアンスを導入すべきかを見極める手助けにしてほしい。
仮想ルータープラットフォームに移行してすぐに得られるメリットは、柔軟性とスケーラビリティだ。物理ハードウェアが仮想ルーティングソフトウェアをサポートできるのであれば、仮想ルーターインタフェースを多数追加して、大規模インフラの導入に踏み切ることができる。
マルチテナント環境を運用する場合にも仮想ルーターが役立つ。テナントごとに物理ルーターアプライアンスを購入する必要はなく、企業や部門ごとに仮想ルーティングソフトウェアインスタンスを稼働するだけでよい。そうすれば、構成とファームウェアのメンテナンスもIT部門が管理できる。
仮想ルーターしか選択できない場合もある。これは、Amazon.comの「Amazon Web Services」(AWS)、Microsoftの「Microsoft Azure」、Googleの「Google Cloud Platform」などの大手パブリッククラウドサービスのほぼ全てが該当する。
仮想ルーターは、あらゆる種類の業務にとって、安価で長期間利用できる選択肢でもある。データセンターのブレードサーバシャシーに既に多額の費用を負担している場合は、物理アプライアンスへの設備投資を控え、低コスト(場合によっては無料)の仮想ルーターを選ぶ方法もある。仮想化すればデータセンターの占有面積も少なくなる。ブレードサーバに統合する機能を増やせば、電力を供給する物理ラックスペースやデバイスが少なくなる。これは、大企業には無視できないコスト削減になる。
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