米政府機関やセキュリティ企業Rapid7は、多くのメーカーがルーターに認証情報をハードコードしており、攻撃者に悪用される可能性があると指摘した。このバックドアを悪用されると何が起きるのか?
セキュリティ企業の米Rapid7は、DSLルーターのメーカーに対し、認証情報をハードコード(訳注)するという、昔からの脆弱(ぜいじゃく)性を排除するよう呼びかけている。
訳注:特定の動作環境を決め打ちして、その環境を前提とした処理やデータをソースコードに直接記述すること。
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この呼びかけの前にも、米国国土安全保障省の支援を受ける米CERT(Computer Emergency Response Team)が2015年8月に発表した報告書「DSL routers contain hard-coded "XXXXairocon" credentials」の中で、この脆弱性の問題を取り上げている。
CERTの報告によると、多数のメーカーのルーターは、依然として認証情報をハードコードしている。この認証情報を利用して、攻撃者がTelnetサービス経由でデバイスにアクセスし、リモートでデバイスを制御できるようになる恐れがあるという。
「メーカーは、少なくともエンドユーザーがパスワードを変更できるよう最大限努力する必要がある。最初の起動時やファームウェアの復元時に、パスワードがランダム生成されるのが理想だ」と、Rapid7でセキュリティエンジニアリングマネジャーを務めるトッド・ビアズリー氏は話す。
「機器のデフォルトパスワード使用をメーカーが止めるまで、家庭や中小企業で使用されているルーターに対する攻撃は続くだろう」
ビアズリー氏によると、重要なのはこの問題を周知させることだという。資格情報のハードコードはソフトウェアバグではないものの、無数に存在するルーターを悪用できる割には目立たないためだ。
この問題を顕著に表しているのは、スペインObserva Telecomのルーターの機密管理者アカウントパスワード「7449airocon」をインターネットで検索すると、400件近い検索結果が得られることだ。検索結果として現れるのは、ルーターのセキュリティ調査の合法的なブログから、犯罪活動を専門とするサイトまでさまざまだ。
Observa Telecomのルーターはスペインでは一般的で、スペインの主要インターネットサービスプロバイダー(ISP)であるTelefonicaも使用している。だが、そのObserva Telecomのルーターには深刻な脆弱性が幾つもあるとCERTは指摘する。具体的には、永続的なものでなおかつ立証はされていないが、クロスサイトスクリプティング(XSS)やクロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)の脆弱性が同社の多くの機器に存在するという。
CERTの指摘の影響を受けるルーターとして、台湾ASUSTeK Computer、米DIGICOM、フィリピンPhilippine Long Distance Telephone、中国ZTEが挙げられている。
このようなバックドアには通常、インターネットからは直接アクセスできない。バックドアを利用してルーターを再構成するには、攻撃者がLANにいることが必須条件だからだ。だが、だからといって必ずしも安心はできないとビアズリー氏は言う。
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