「IEEE 802.11ax」「IEEE 802.11ay」に備えて
無線LANを快適に使うための「エッジスイッチ」5大選定ポイント
エッジスイッチのアップグレード時には、さまざまな項目を検討する必要がある。高速化や性能向上が進む無線LANの恩恵を十分に受けるために必要な、エッジスイッチの選定ポイントとは。
ネットワークを配管に例えるアナロジーは、誰にとってもなじみ深い。全ての建物に張り巡らされている配管は、目に見ることができない。ただし極めて重要だ。
現在のネットワークの構成要素で、イーサネットスイッチ以上に、この関係にうまく当てはまる要素はない。至る所に存在しているが、ほとんどの人の目に触れることはない。
スイッチは、さまざまな役割を果たす。その役割の中には、
- プリンタやサーバ、無線LANアクセスポイント(AP)などのデバイスの相互接続
- 必要に応じた電力供給
- セキュリティとトラフィック制御メカニズムの実装
が含まれる。
デバイスと直接接続する「エッジスイッチ」は、中核スイッチの「コアスイッチ」に接続し、コアスイッチはWANとつながったルーターに接続する。運用上、スイッチは非常に重要だ。ただし配管業者、つまりネットワーク運用の専門家を除き、ほとんどの人はスイッチを見ることがない。
ネットワークの負荷増大や技術進歩(一般にポート当たりのスループットで表される)などにより、スイッチをアップグレードする必要性が出てくるとしよう。そうなるとネットワーク運用の専門家は、スイッチ、特にエッジスイッチに非常に関心を持つようになる。
エッジスイッチのアップグレードで決定すべき事項
無線LANの通信速度の高速化や性能向上が進むにつれて、無線LANを下支えするために、エッジスイッチのアップグレードをすべき時期かどうかを見極める必要が生じる。実際の見極めには、多くの意思決定が求められる。その際に決定すべき事項として、これから述べる項目が含まれる。
- ポートの数と仕様
- 管理コンソールの互換性
- PoE(Power over Ethernet:イーサネット経由での給電)規格
- スループット(最大データ伝送速度)
- ケーブルと配線
ポートの数と仕様
今後、エンドユーザーの要求に応えるためにAPの数が増え、より多くのIoT(モノのインターネット)デバイスがネットワークに接続するようになる。そのためスイッチのポートがさらに必要になる可能性が高くなる。
選択するエッジスイッチにもよるが、光ファイバーや銅線など多様なケーブルを接続可能な「SFPトランシーバー」経由で、ポートのモジュール(入れ替え可能な部品)化を検討することをお勧めする。SFPトランシーバーを用いると多くの場合、スイッチの大規模な交換を必要とせずに、配線設備を拡張できる。
管理コンソールの互換性
管理コンソールの互換性は、常に重要だ。イーサネットの中核をなす多種多様な組み合わせ(ミックス&マッチ)の相互運用性は、依然として確保されている。ただし複数の管理コンソールが混在する環境では、意図しない非互換性の結果として、問題が発生する可能性がある。
PoE規格
新しいエッジスイッチは、十分な電力が常に供給可能であることを保証するために、適切なPoE規格に準拠していることを確認すべきだ。従来型の標準PoE規格「IEEE 802.3af」やベンダーの独自規格ではなく、拡張規格の「IEEE 802.3at」、さらには今後発売される次世代規格「IEEE 802.3bt」に準拠している必要がある。
スループット
業界団体Wi-Fi Allianceが定めた無線LAN認定規格「802.11ac Wave 2」以降では、MAC層(メディアアクセス制御層:無線チャネルへのアクセスを制御する層)におけるスループットで、1Gbpsを超えることが可能だ。スループット向上の一般的な答えは、複数のリンク(回線)を束ねて仮想的な1本のリンクにする「リンクアグリゲーション」となる。多くの企業では今後3~5年を通して、エッジスイッチ側で10Gbps、恐らくは100Gbpsのスループットが、無線LAN配備の要件となると考えられる。
ケーブルと配線
スループットが2.5Gbpsおよび5Gbpsの新たなイーサネット規格は、既存のカテゴリー5e(Cat5e)またはカテゴリー6(Cat6)ケーブルを利用し、スイッチの各ポートで1Gbpsを超えるというシンプルな目標を念頭に置いて規定された。この場合においても、新しいスイッチは依然として必要となる。ただしスループット10Gbpsのカテゴリー6A(Cat6A)ケーブルのような、新しいケーブルは必要ではない。
こうしたタイプのエッジスイッチへのアップグレードは得策だろうか。それは場合による。
現世代のAPを利用する限り、2.5Gbpsと5Gbpsというスループットが有効であり続けるのは確かだ。では次世代の無線LAN規格である「IEEE 802.11ax」「IEEE 802.11ay」はどうだろうか。どちらもスループットが5Gbpsを超える可能性が高い。「現時点では配線設備をアップグレードしない」という決断は、ここ数年間は正しいだろう。ただしアップグレードをする時までには、新規の配線工事に関わる人件費が、大幅に高くなっている可能性がある。
適切なパフォーマンスを見定める
エッジスイッチのアップグレードは、複数台のスイッチを1台のように扱える「スタッカブルスイッチ」を使用すれば、実に簡単に進めることができる。一方で新たな設置場所、消費電力、冷却の要件も確認する必要がある。
電源用銅線を内蔵した光ファイバーによるAPへの接続が、最終的には最良の方法になり得る。Cat6Aケーブルの導入でさえも、長期的には無線LAN配備には最適ではない可能性がある。ただしCat6Aケーブルの導入が最適となることも考えられる。10Gbpsは大部分ではないにしても多くの組織にとって、この先何年もの間、十分なスループットとなるはずだからだ。
より高速な通信速度で、古いケーブル接続を試みることもお勧めする。この方法は、特に配線経路が短い場合、そこそこ機能する傾向がある。今のところ、簡単な回答はない。留意してもらいたいのは、現在はスループット10Gbps以上が一般的なコアスイッチについて、アップグレードが必要になる可能性もあるということだ。
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