個人ユーザーには当たり前の無線LANもオフィスでは意外と普及が進んでいない。しかし、モバイルコンピューティングの業務利用拡大で無線LANを導入しなければならないケースが増えてきた。さあ、どうする? どうやる?
BYOD(私的端末の業務利用)が普及して久しい。最近では「社員が所有する機器の業務利用は“黙認”」という企業が相当数ある。IT予算を潤沢に使える企業なら社員向けにスマートフォンやタブレットを配布して「BYOD禁止」という対策を打ち出すケースもある。
どちらにしても、業務におけるスマートフォンやタブレットの利用は確実に広がっている。またクライアントPCであっても、このところのモバイルノートPCは薄型ボディーを実現するために本体の有線LANを廃止して無線LANだけを搭載したモデルがほとんどだ。こういう状況になってくると「いやうちはまだ導入しない」と拒んできたIT担当者でも無線LAN環境のオフィス導入を検討せざるを得ないだろう。
別なケースとして目立ち始めているのが、個人やスタートアップのような少人数のグループで小規模なオフィスを新規に立ち上げる場合のネットワークインフラの導入だ。有線LANを利用する場合、ケーブルなどネットワーク関連敷設工事の手間やコストが意外と高くつく。中には「別に敷設工事なしで床の上をLANケーブルがはい回っていてもいい」という考えを許容する人もいるかもしれない。だが乱雑なケーブル配置は「引っ掛けて抜けた」「引っ掛けて吹っ飛んだ」という事故を誘発するだけでなく、「ネットワークが安定しないと思ったらケーブルが傷んでいた」という意外と気が付きにくいトラブルも招く。
通常なら、オフィス内にパーティションを設けて共用のワークスペースを用意する中でネットワーク工事を必ず行っておきたいが、費用も掛かる。通常はパーティションなどの工事と合算になるので単独での費用算出は難しいが数十万では収まらず数百万以上のコストになることが普通だ。
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